World Baseball Classicが終わったら、
今度はGolf 2023 Masters。
ジョージア州アトランタ。
オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ。
一度はラウンドしてみたい。
ゴルフ四大メジャーのトップ選手権。
残る3つは全英オープンと、
全米オープン、全米プロ。
マスターズは1934年から開催されてきた。
球聖と敬愛されたボビー・ジョーンズが、
友人のクリフォード・ロバーツとともに、
企画し、開催し始めた。
世界最高峰のトーナメントとなった。
この本、結構、面白いし、
役に立つ。
今年のマスターズ。
木曜日の初日の始球式には、
ゲーリー・プレイヤーと、
ジャック・ニクラウスが、
現在のスイングを見せた。
それから、
アーノルド・パーマーが亡くなったので、
代理役のトム・ワトソン。
パーマー、プレイヤー、
ニクラウスは、
「ビッグ3」と呼ばれて、
世界中から尊敬された。
パーマーは、
このマスターズを4回、制覇した。
プロトーナメントで95回優勝して、
一番の人気を誇った。
2016年に87歳で亡くなった。
ゲーリー・プレイヤーは、
南アフリカ共和国のプロで87歳。
マスターズは3回の優勝。
四大メジャーを制覇して、
キャリアグランドスラムを獲得。
プロでは165勝。
今回の始球式でも、
驚くほどの素晴らしいスイングをして、
最後に右足をキックして見せた。
プレイヤーはよく、質問を受ける。
「なぜゴルフをするのか?」
それに対しては即答する。
「なぜ君はしないの?」
「今すぐ、1分1秒後にでも、
やるべきだよ」
168センチの身長で、
この偉業を成し遂げた。
私は60年前の高校生のころから、
テレビでビッグスリーのプレーを見ていた。
そして体の小さなプレイヤーが一番好きだった。
かつて荒井伸也さんが南アフリカに行って、
プレイヤーと一緒にラウンドした。
サミット㈱の元会長。
ビッグスリーであるにもかかわらず、
プレイヤーは終始、
荒井さんを「Sir」と呼んで、
サービスに努めてくれた。
本物のプロはこういうマインドを持つ。
日本のプロの片山晋呉など、
プレイヤーの爪の垢を煎じて、
飲ませねばならない。
ジャック・ニクラウスは、
史上最高のゴルファー。
帝王と呼ばれた。
私のホームコースは、
ニクラウスが設計している。
83歳の今、太り過ぎていて、
残念ながらスイングは、
お爺さんのそれ。
トム・ワトソンは73歳で、
私の世代だ。
やはりグランドスラムを獲得していて、
ニクラウスの次の帝王と言われた。
世界最高の美しいフォームだったが、
この始球式ではずいぶんと、
小さいバックスイングになっていて、
これならばなんとか真似ができそうだと、
勇気づけられた。
今年のマスターズでも、
現役の松山英樹は安定している。
一昨年の優勝者。
31歳だが貫禄が出てきた。
2日目がサスペンデッドで終わり、
日没・翌日延期。
3日目はその2日目の残りのホールをこなし、
さらに3日目の18ホールに挑む。
雨の中でも松山のスイングは乱れない。
美しいセットアップ。
最終日、優勝しなくとも、
松山らしいプレーを見せてほしい。
この黄色と灰青色のレインウェア。
流行るだろう。
さて、ボビージョーンズの本。
「ゴルフの神髄」に書かれていて、
私が傍線を引いている箇所がある。
「ゴルファーにとって
もっとも難しいのは、
“精神のうえで”常に
目を覚ましていることである」
では具体的に「目を覚ましている」とは、
どうすればいいのか。
これは「頭脳(あたま)のゴルフ」に書かれている。
作家・三好徹の著作。
三好徹は読売新聞の記者から、
作家になって直木賞をとった。
文壇ゴルフの会長も務めた。
「終わったことを忘れて、
次のショットのことを考えるんだ」
英語で”Next shot”
このとき大事なのは、
次のショットのために、
次の次のショットのことも考える。
こうするとミスしたショットのことは、
すっかり忘れてしまう。
これが1ラウンド連続していれば、
「目を覚ましていること」になる。
私はボビー・ジョーンズと三好徹から、
このことを教わった。
これは商売の極意でもある。
何度失敗しても、
次があるのが商業の仕事だ。
三好徹の本は、
トム・ワトソンの言葉を引用して終わる。
“Never give up!”
ワトソンは続ける。
「もしこのゲームをギブ・アップするなら、
人生もそうするようになるだろう」
「一度ギブ・アップすると、
二度、三度、そして四度と、
ギブ・アップしやすくなるのだ」
松山英樹も今、それをしている。
パーマーもプレイヤーも、
ニクラウスも、
ネバー・ギブ・アップだった。
とくにゲーリー・プレイヤーは、
小さな体ながら、
87歳の今でも、
ネバー・ギブ・アップなのだと思って、
とてもうれしくなった。
〈結城義晴〉