三浦紘一さんが亡くなられた。
惜しい。
数えで85歳だが、満で83歳。
まだまだご活躍願いたかった。
㈱ユニバースの創業者で、
社長、会長。
㈱アークスも創業者のお一人で、
横山清さんが社長、
三浦さんが会長だった。
いつも、にこやか。
そしてじっくり考えながら、
ゆっくりとお話しされる。
しかし厳しい。
三浦紘一さんほど、
「商売に対してストイック」な経営者は、
日本中を探しても見当たらない。
それがユニバースの芯になっている。
そのユニバースの考え方は、
「Customers, our Priority」
「Customers(「顧客」)」とは、
「繰り返し、ご来店してくださるお客様」。
「Priority」は最優先する対象。
だからユニバースはいつでもどこでも、
何かを決める時にも、
日常の行動や新たな行動を起こす時にも、
「Customers, our Priority」を基準にする。
「いつでもどこでも顧客最優先」
コロナ禍でこの数年、
お会いする機会がなかった。
30年近くも前から、
東北CGCで講演をした。
そのときには三浦さんはいつも、
熱心に聴講してくださった。
ときどきドキッとするようなことを、
講師の私にもぶつけて、
私はいつも三浦さんの前で緊張した。
20年くらい前、
私が㈱商業界の社長のころ、
アメリカ研修にご参加くださった。
私がコーディネーターで、
三浦さんには団長になっていただいた。
そのとき三浦さんは一人、
先乗りしてダラスで待っていた。
自分だけでこの都市圏を一巡りして、
予習をしていたのだ。
驚いた。
そして旅の間ずっと、
私の一言ひとことを、
噛みしめるように聴いていた。
消費税増税の直前に、
月刊商人舎でインタビューをした。
2014年4月号。
タイトルは、
「真っ正直商法」&「大台価格セオリー」
「店にとって何が大事か、
企業にとって何が大事か。
価格政策はどうあるべきかと言えば、
価格を第一にして成立できる企業は、
ひょっとしたら日本中で、
1社だけになるかもしれない。
何十年かしたら世界中で、
1社だけになるかもしれない」
鋭い。
その方向に進んでいる。
「だから、価格を第一にというのは
当社にはできないことだし、
やるつもりはない」
「しかし、
スーパーマーケットができ上がったときから
価格は重要な要素だったし、
今でもそうです」
「安さは大事にしていかなければいけない。
だけど価格だけではだめだと思っています」
「Customers,our Priority」の姿勢を貫く。
それが唯一、変えてはならないもの。
変えてならないものは、
絶対に変えない。
しかし変えることに対しては、
誰よりも素早く対面して、
率直である。
それが三浦紘一の真骨頂であった。
これは残された者たちに、
貫かれなければならない。
心からご冥福を祈りたい。
川越(かわこし)純一さんを訪問。
私と同年で、
もう40年くらいの付き合い。
㈱九州テラオカ社長を経て、
今、寺岡精工本社の、
知的財産規格部コンサルタント。
寺岡精工の発明品の数々。
初代・寺岡豊治さんの発明した秤。
レジスターもアンティーク。
秤博物館のようなオフィスで、
資料に囲まれて、
寺岡精工のアーカイブスを整理する。
それが川越さんの今の役目。
一緒に仕事することになった。
松井康彦さんとともに写真。
商人舎エグゼクティブプロデューサー。
それから東京・大手町。
パレスホテル東京。
服部哲也社長のメッセージが書かれていて、
服部さんと竹野浩樹会長の名刺が入っている。
その説明会に登壇するのは、
服部さんと竹野さんのふたり。
実にシンプルな会だ。
会場にはお取引先のトップ・幹部が、
ずらりと揃った。
服部さんの新年度の方針と、
中期計画の説明。
新中期計画のタイトルは、
「頂(イタダキ)2025」
頂はsummitのこと。
服部哲也らしく、
サミットらしく、
本当にわかりやすかった。
「良い会社」であること。
「強い会社」になること。
この二つの会社の要件を掛け合わせると、
「最強の会社」になる。
強い決意が込められていた。
創業60周年を迎えて、
変えないところは貫きつつ、
変えるところを大胆に変えようとしている。
変えないところは、
「良い会社」であること。
変えるところが、
「もっともっと強い会社」になること。
服部さんの説明のパワポに、
『サミットスタディ』が出てきた。
びっくりした。
私が編集長、山本恭広君が編集部員のときに、
食品商業から発刊した。
今、結城社長、山本編集長で、
商人舎は運営されている。
服部さんはいままた、
新たな「サミットスタディ」が必要だと言った。
それもいいことだ。
竹野さんはサミット会長にして、
住友商事㈱執行役員ライフスタイル事業本部長。
サミットとトモズ、
マミーマートを統括する。
その立場から、
サミットのビジョンを語った。
創業60年を迎えるサミット。
100年企業も70年くらいで、
曲がり角が来る。
それは業態に制度疲労が起こるからだ。
だからそれを乗り越えるビジョンが必須だ。
正しい。
休憩が入って懇親会。
挨拶は星野郁夫さん。
取締役常務執行役員サイト開発部・店舗開発部分掌。
サミットの意志を明確に表明するスピーチだった。
乾杯の音頭は、
為田耕太郎さん。
住友商事常務執行役員生活事業・不動産事業部門長。
「サミットは住友商事の宝です」
これはいい一言だった。
服部さんはコーネル大学ジャパン第1期生。
サミットの将来をいろいろと語り合った。
そして三人で写真。
竹野さんとも久しぶりにお会いして、
話は弾んだ。
ライフスタイル事業部の方向性は、
間違ってはいない。
それから星野さん。
最近の業界での企業交流の話をした。
とてもいいことです。
中締めの挨拶は岡田崇さん。
取締役執行役員MD本部長。
しっかりしたスピーチで、
取引先に正しくウィンウィンの関係を要請した。
私は感心した。
サミット方針説明会。
とてもよかった。
三浦紘一さんのことを考えながら、
良い会社×強い会社の在り方を思った。
合掌。
〈結城義晴〉