結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年04月28日(金曜日)

将棋名人戦/藤井聡太の「落ちつき」と渡辺明の「格下の闘い方」

明日からゴールデンウィーク。

新茶をお送りいただいた。
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㈱伊藤園最高顧問の江島祥仁さんから。
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毎年のことで、心から感謝している。
そしてすごく楽しみにもしている。
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「夏も近づく八十八夜」

八十八夜は、
立春から数えて88日目。
今年は5月2日。

春から夏に変わる。

いい季節です。

伊藤園には、
「ティーテイスター制度」がある。
1994年に始まった社内資格制度。

年に1回、希望者が勉強して受験する。
そして厳正な審査によって合格者が決定。

試験科目は学科、検茶、口述で、
茶文化からおいしいお茶のいれ方などまで、
幅広い知識と技能が求められる。

2017年には厚生労働省から、
社内検定の認定を受けた。

資格保有者は昨年5月段階で、
1級が17名、
2級が390名、
3級が1914名。

新茶は二番茶に比べると、
栄養にも優れているし、
おいしさも格別だ。

ありがたいことだ。

さて第81期将棋名人戦。
将棋界で最も重要な棋戦。
名人位は江戸時代から続く。

その2023年度は、
渡辺明名人対藤井聡太挑戦者。

第1局は藤井が勝利して第2局。

静岡県静岡市の料亭「浮月楼」。
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27日の朝9時に開始。
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後手の渡辺名人が、
「雁木」という戦型に持ち込んで、
初日が終わった。

封じたのは藤井竜王。

二日目の朝、立会人の青野照市九段が、
その封じ手を開封。
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青野は私と同年の70歳だが、
まだ現役の棋士だ。

その封じ手は「1六香車」
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そして対局再開。
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藤井の朝の「初手(しょて)」、
つまり第一手は「お茶」。
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ここで江島さんからお送りいただいた新茶を、
私は思い出した。

静岡だけに藤井の初手は新茶だったのだろう。
そう私は「読んだ」。

互いに持ち時間は9時間。
その半分ほどを初日に使って、
42手まで進んでいた。IMG_298933

藤井はいつも手が進むと羽織を脱いで、
書生のような姿で手を読み、
駒を動かす。
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誰かに習ったのか、
自分で考えたのか。

私はとても好ましく思っている。

私も講演のときには、
マクラの話が終わると上着を脱ぐ。
肩が凝るからだ。

藤井はまだ20歳で、
そんなことはないのだろうが、
リラックスして考えるために、
羽織を脱ぐのだろう。

その姿がいい。

朝10時のおやつ、
12時の昼食休憩、
3時のおやつ、
そして夕方6時の軽食をとって、
手はどんどん進んだ。

渡辺も大胆な手を指した。
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中盤で藤井の読み違いがあった。
しかし軌道修正して終盤に突入。

その終盤は藤井の読みが冴えに冴えた。

渡辺の夫人は漫画家の伊奈めぐみさん。
その作品が「将棋の渡辺くん」
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このなかのエピソード。
渡辺棋聖に藤井が挑戦した棋聖戦。

渡辺はあっさりと2連敗した。

しかし第3戦は序盤を研究し尽くして、
「格下の闘い方」をした。
それで勝った。

しかし渡辺は正直に、
伊奈めぐみのインタビューに答えている。

「藤井くんは 難しい局面で
ひとりごとを言うんだけど」
(「いやぁー」)
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「勝ちになってくると
ぴたっと落ち着くんだよね」watanabekunn
伊奈めぐみ、
「怖いね」^^

このシーンと同じように、
藤井は87手目で、
「3四歩」と相手の玉頭に打ち付けた。
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そして「すーん」と落ち着いた。

これをしばらく見ていて、
渡辺明が深々と頭を下げた。
藤井聡太もそれに合わせて頭を下げた。IMG_29933
午後7時51分、渡辺の投了である。

これで藤井の2連勝。

名人戦は七番勝負で7局を戦う。
先に4勝すれば勝利して、
タイトルを獲る。

藤井はあと2勝。
渡辺が不利になった。

インタビューに答える藤井聡太。
あくまで謙虚だ。
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渡辺は無念そうだったが、
こちらも淡々としていた。

将棋界には現在、
8つのタイトルがある。

そのうちの6つを藤井が持っている。
竜王、王将、王位、棋王、棋聖、叡王。

渡辺は2019年度と2020年度は、
3冠を保持して実力ナンバー1だった。

それらは次々にすべて藤井に奪われて、
現在は名人位のみという状況になった。

そして最強の挑戦者を迎えて、
2連敗を喫してしまった。

39歳。

人間は変人だが、
人柄はすこぶるよろしい。

第3戦は渡辺の「格下」の狂気の指し手が見てみたい。
それもまた渡辺明には良く似合う。

私は将棋名人戦をちらちら見ながら、
一日中原稿執筆に勤しんだ。

小売業の店舗競争でも、
「格下の闘い方」に徹すると、
活路が見えてくる。

渡辺明は凄い。

〈結城義晴〉

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