今、とくに全国の地方新聞で話題にしている。
脚本家の倉本聰さんのMessage。
「G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合」が、
札幌市で行われた。
この会合に向けたメッセージだ。
あなたは文明に麻痺していませんか
石油と水は どっちが大事ですか
車と足は どっちが大事ですか
知識と知恵は どっちが大事ですか
理屈と行動は どっちが大事ですか
批評と創造は どっちが大事ですか
あなたは本質を忘れていませんか
あなたは己れの体内のエネルギーだけで
生きるということを忘れていませんか
己れのエネルギーの消費を抑えて
他のエネルギーに縋っていませんか
あなたは結局何のかのと云いながら
他所から奪いとったエネルギーの中で
我が世の春を謳歌していませんか
現境問題は 全てそこから発しています
地球環境を正常に戻すには
今の豊かさ少し犠牲にして
時代を戻すしか方法はありません
文明社会というこのスーパーカーは
プレーキとバックギアをつけ忘れました
こんなスピードは要りません
こんな眩しさも要りません
我々人類は今立止り
地上の植物、けものたちにならい
謙虚につつましく生きましょう
我が世の春を謳歌して、
豊かさを求めるのは止めましょう
環境問題を解決するには
その道しかないと 考えます
石油と水は、どっちが大事か。
車と足は、どっちが大事か。
知識と知恵は、どっちが大事か。
理屈と行動は、どっちが大事か。
批評と創造は、どっちが大事か。
どっちも大事。
どっちかを選んで、
他を切り捨てる行為は、
いけない。
それがトレードオフから、
トレードオンへの転換だ。
しかしそれでも、
どっちが大事かと言えば、
水のほうが大事だし、
足のほうが大事だ。
コロナ感染拡大防止と、
経済の活性化。
どっちも大事で、
どっちもやらねばならない。
それがトレードオンだが、
それでもコロナは直接、
人の命にかかわることだった。
だからコロナ対策が大事だ。
こちらが優先される。
そのなかから経済や消費の活性化の道を探す。
日経新聞が日曜版の1面で記事にした。
「イオン、国内初のCO2ゼロ食品」
イオンは生産や運送過程などで実質的に、
二酸化炭素(CO2)を排出しない食品を売り出す。
凄い。
イオン子会社のイオンアグリ創造が、
島根県安来市と三重県いなべ市で、
生産過程でCO2を出さない構造の温室を建設。
2024年にイチゴを栽培する。
温室の冷暖房には、
冷媒を使ったヒートポンプを活用する。
これは化石燃料を使わないで済む。
低温時にはボイラーを使うが、
その場合は発生したCO2を集めて、
イチゴの葉にあてて吸収するシステムを作る。
ヒートポンプや照明などは、
太陽光などの再生可能エネルギー由来の電気を使う。
まず近畿や東海、中四国地方の、
マックスバリュなどで販売する。
生産量は当初年100トン、
10個前後入りで約100万パック分。
価格は既存のイチゴパックの321円に据え置く。
従来よりも生産量を3倍に増やす。
それによって価格を抑えつつ、
収益を確保して投資を回収する。
国内では初めての試みだ。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)。
世界の温暖化ガスを直接排出する割合では
農業・林業など土地を利用する活動由来が
24%にも上るとしている。
運輸が14%、産業が21%。
戦争は話にならないくらいナンセンスだが。
日本はこの面では、
ヨーロッパに遅れた。
イオンが先陣を切ることで、
農業や食品の脱炭素は加速する。
CO2ゼロ食品はイチゴを皮切りに、
今後、トマトなどにも広げる方針。
脱炭素食品は欧州が先行する。
仏カルフールはECサイトで、
プライベートブランドに環境ラベルを付ける。
ドイツのリドルや、
ベルギーのコルロイトなども、
同様の環境ラベルを導入している。
石油と水は、どっちが大事か。
車と足は、どっちが大事か。
どっちも大事。
イオンのCO2ゼロのイチゴは、
トレードオンである。
環境も大事だし、
収益性も大事だ。
これらは小さく始めてもよろしい。
始めることが大事だ。
倉本聰さんもそう言っている。
〈結城義晴〉