それ以外にもページを割いています。
創刊した2013年当時は、
特集一本主義でした。
毎月、単行本を一冊書く。
そんな趣旨で、
トレーダー・ジョー特集や、
ホールフーズ特集を組んだりしました。
イータリー特集も。
毎年9月号は、
アメリカ特集。
故渥美俊一先生や、
石原靖曠先生、島田陽介先生が、
米国小売業の単行本を書かれたように、
最新の情報と分析を、
1年に一度特集しました。
もちろん日本国内の問題点に関しても、
そのとき一番大切なテーマを取り上げました。
こうすると、良いことがあります。
ひとつの会社で多くの幹部の人たちが、
同じ商人舎を読んでいると、
その会社が全体で、
同じ問題に関心を持つようになることです。
テーマを絞る。
コミュニケーションの大原則です。
この3年ほどですが、
この特集に特別企画やその他の提案記事を、
加えるようになりました。
これもトレード・オフから、
トレード・オンなのでしょうか。
COVID-19感染が始まって以来、
アメリカの感染者数は、
1億636万3748人。
死者数は115万6898人。
2023年4月8日時点の報告。
アメリカ合衆国は大きく変わった。
政治や経済が変わり、
産業構造が変わり、
社会生活が変わり、
消費も変わった。
小売業も変わったし、
チェーンストアも変わった。
そのなかで一番大きく変わったのは、
実はウォルマートであり、
クローガーである。
大きなものこそ、
変わりにくい。
これは世の常である。
しかしコロナは、
その大きな者を変えた。
大きな者も、
自ら変わった。
ウォルマートの決算。
コロナ前とコロナ後の比較。
2020年1月末決算。
⑴営業収益は5240億ドル。
1ドル130円換算で68兆1200億円。
⑵世界店舗数1万1501店、
米国内店舗数5355店。
3年後の2023年1月期決算。
⑴営業収益6113億ドル(79兆4690億円)
⑵世界店舗数1万623店、
米国内店舗数5317店。
3年間で営業収益は873億ドルの増加。
11兆3490億円。
日本最大のセブン&アイに匹敵する売上高分が増えた。
それでいて店舗数は世界で878店減り、
米国内で38店減じた。
ウォルマートCEOのダグ・マクミロン。
「オムニチャネル・リテーラー」を宣言した。
店数を減らして、
膨大な売上げ増を果たした。
一方のクローガー。
2020年1月期決算。
⑴営業収益1223億ドル(15兆8990億円)
⑵店舗数2757店
2023年1月末の決算。
⑴営業収益1483億ドル(19兆2790億円)
⑵店舗数2719店
こちらも店数を減らしながら、
3年間で3兆3800億円を上積みした。
それでは足りないとばかりに、
2022年10月14日、クローガーは、
アルバートソンとの合併合意を発表。
米国スーパーマーケットの1位と2位が、
歴史的なM&Aを果たす。
5000店2000億ドルの、
巨大スーパーマーケットチェーンが誕生する。
もちろん世界初。
コロナ禍でもっとも大きく変わったのが、
ウォルマートとクローガー。
月刊商人舎6月号は、
その変わった点を明らかにする。
どちらも、
亀谷しづえ商人舎GMが執筆。
それから6月号の特別提案。
こちらは山本恭広編集長の力作。
ポストコロナのサマー商戦
合言葉は「前向き・外向き・上向き」
ほぼ完全にコロナ禍を脱して、
「夏の商戦」がやってくる。
新しいキックオフ。
人の移動は活発になる。
インフレや電気代の高騰、食品値上げ。
マイナス要因なんのその。
人々の消費意欲ははち切れんばかりだ。
もちろんそうではない消費者もいるだろう。
けれどそのはち切れんばかりの消費意欲をもった、
その顧客を捉える。
インバウンド消費もコロナ前を上回る。
ゴールデンウィーク商戦直後に、
マスク解禁とコロナの5類移行。
若いミレニアム世代やZ世代は、
ダブルインカムが激増している。
そして可処分所得は増えている。
生活意欲が旺盛な顧客をターゲティングする。
それが社会全体の消費喚起を牽引し、
経済を回すことになる。
だから「前向き・外向き・上向き」で、
サマー商戦に臨みたい。
「後ろ向き・内向き・下向き」は避けよう。
恐れてはいけない。
前向き・外向き・上向きの会社や店だけが、
2023年に成果を上げる。
ウォルマートとクローガーこそ、
前向き・外向き・上向きなのです。
全社一丸、全店一丸となって、
「前向き・外向き・上向き」を。
〈結城義晴〉