大阪滞在3日目。
どういうわけか大阪に来ることが多い。
万代知識商人大学の講義もあるし、
阿部秀行さんと会うことも多い。
ロピアの関西進出というエポックもあった。
46年前は毎月のように、
江坂のダイエー本部に取材に来た。
その次はまた毎月のように、
関西スーパーの故北野祐次さんに会いに来た。
そのあとはニッショーへ。
故井上靖之さんと話しに来た。
私は九州・福岡の出身である。
東京方面から関西に来るのではなく、
九州からやって来る人間という印象が、
あるかもしれない。
関西には友人も多いし、
商人舎のファンも多い。
ありがたいことだ。
昨日はよく寝て、爽快な気分。
大阪・弁天町のアートホテル。
48階から見下ろす大阪南港。
良い天気になりそうだ。
フードストアソリューションズフェア2023。
南港のインテックス大阪で2日間の開催。
今日はその2日目。
10時の開場に合わせて、
多くのビジターが来場する。
コロナが明けて、活気を呈している。
地方産品が数多く出店している。
これが重要な点だ。
アメリカのFMIのフェアは衰退した。
入口にコカ・コーラとネスレが、
ドカンとブースを構えていた。
こんな世界的な食品メーカーの展示は、
それぞれが独自にやればいい。
営業マンも数多くいて、
それぞれに販売戦略を展開する。
しかし中小生産者や中小製造業者は、
それができない。
だから展示会に出展して、
一堂に会して商品をお披露目する。
ドイツ・ケルンのアヌーガ、
フランス・パリのシアル。
どちらもそれが最大の目的であり、
最大のメリットである。
ヨーロッパの村々から、
生産者・製造者が商品を持ち寄る。
それが「市」である。
食品フェアは「市」なのである。
FSSFはそれを目指さねばならない。
私はセミナー控室。
今日は4講座のうち、
3講座に登壇する。
第1講座は中村彰宏さんが講演。
㈱サニーマート社長。
私はそのインタビュアー。
セミナーは10時半にスタート。
サニーマートは1961年創業。
高知県と愛媛県でスーパーマーケット23店舗と、
FC店8店舗を展開する。
代表的なローカルチェーンだ。
さらにとくし丸26台、
ローソン高知高知蔦屋書店なども経営する。
はじめに中村さんが、
サニーマートの経営と、
取り組みを20分ほど紹介してくれた。
会場には多くの聴講者。
それから地域密着と生活密着、
人材育成、店舗づくり、
商品開発、経営哲学、
未来のスーパーマーケット。
さまざまなテーマで結城義晴が質問。
中村さんは一つひとつ真剣に考えながら、
ゆっくりと論理的に答えてくれる。
経営に関しても、
よく考えながら、
論理的に組み立てているのだろう。
既存の考え方に対して、
反骨の精神をもつ。
それがサニーマートという会社に、
独特のポジショニングを与えている。
中村さんの話はとても良かった。
会場の皆さんから大きな拍手をいただいた。
終了後も多くの方から良い講演だったと、
お褒めのことばをいただいた。
中村さんは自分に対して、
誠実な経営者だ。
それを改めて実感した講演だった。
ありがとうございました。
第2講座は、
結城義晴のアメリカ報告。
日本食糧新聞社会長の今野正義さんから、
直々のご要望で登壇。
COVID-19を経て、
アメリカ小売業は大きく変わった。
どのように変わったのか。
ウォルマートやクローガーなどの事例を、
スライドを映しながら解説した。
日本の小売業が学ぶべきことは多い。
それをそっくり真似るというわけではない。
その考え方や論理性を学ぶことは、
本当に有益である。
9月12日発刊の新著を紹介した。
手に持っているのは白焼き校正。
表紙のゲラでくるんで持ち歩いている。
発刊したらぜひ、
手に取ってみてください。
60分の講演だったっが、
5分ほどオーバーしてしまった。
それでも語り足りない。
しかし65分でダイジェストした米国小売業。
逆にわかりやすい整理になったかもしれない。
㈱マツモトの皆さん。
今年5月の商人舎US研修に参加してくれた。
そのメンバー全員が聞いてくれていた。
私の隣の松本隆文会長。
「整理と理解が深まった」と言ってくださった。
マツモトは米国から戻って、
大きく変わりつつある。
「成果を出せ!」
私は励ましつつ、言った。
第3講座は㈱斗々屋の梅田温子社長。
テーマは、
「ゼロ・ウェイストスーパー”斗々屋”の取り組みについて」
ゼロ・ウェイストとは、
「ごみをゼロにする」ことを目標に、
できるだけ廃棄物を減らそうとする活動。
それをスーパーマーケットで取り組んでいる。
時代は変わりつつある。
セミナー最終講座は、
パネルディスカッション。
ディスカッションテーマは
「2023スーパーマーケットの攻めの経営・守りの運営」
パネラーは鈴木國朗さんと新谷千里さん。
鈴木さんはアイダスグループ社長、
新谷さんはサミットリテイリングセンター代表。
私はコーディネーター。
新谷さんが、
どちらかといえば「守りの運営」を担当。
指導先の成功事例を紹介しながら、
営業利益を向上させる核心ポイントを説明。
ノウハウの詰まった説明スライド。
会場の皆さんには私から、
スマホでの撮影を許可した。
無駄な作業をなくすだけで、
営業利益は上がる。
それを徹底していない企業や店が多い。
新谷さんは日々、その無駄との闘いをしている。
だから説得力がある。
鈴木さんは「基礎と基本」の徹底こそ、
攻めの経営であると提案。
月刊商人舎2月号の「凄い売り」の特集から、
攻めの経営の事例を紹介。
ハレの消費とケの消費。
コモディティとノンコモディティ。
禁欲円と享楽円。
「守りの運営」は即効性がある。
しかし「攻めの経営」は時間がかかる。
けれど「守り」だけでは将来はない。
守りと攻め。
これもトレード・オンであり、
「両利きの経営」である。
2日間にわたって開催されたセミナー。
すべてのご清聴に感謝したい。
会場には多くの友人が駆けつけてくれた。
セミナーは大成功だったと思う。
私自身の講演やコーディネートは、
テーマが多岐にわたる。
それらに対してすべて、
整理をつけつつ、語る。
それが私の役割である。
ご出講いただいた皆さんに、
心から感謝したい。
疲れきったけれど、
充実した2日間だった。
〈結城義晴〉