10月の三連休。
土日曜とハッピーマンデーのスポーツの日。
日経新聞掲載のFINANCIAL TIMESの記事。
「トランプ再選 米中緩和も」
コメンテーターのジャナン・ガネシュ記者が、
痛快にトランプ前大統領をこき下ろす。
「自分の都合で政策を振り回し、
“世界などどうにでもなれ”と外交を軽視し、
米国を内向きにさせるかと思えば、
“世界に我々の強さを思い知らせてやる”と
やたら強気の外交姿勢をとるような人物だ」
その通り。
「トランプ政権が再び誕生すれば、
ロシアに対する制裁の
規模縮小や緩和に動くだろう。
ウクライナへの物資の輸送ペースは
鈍る公算が大きい」
「これらは
“米国第一”主義を実行しているとして
正当化されるだろうが、
実際のところ逆の効果を生むことになる」
「1990年の第1次湾岸戦争以降、
ウクライナ支援ほど米国の存在感を
国際社会で高めたものはない」
それは確かだ。
「米国から武器の供給を受ければ、
世界3位の軍事費を誇るロシアの侵攻を
食い止め続けられると
世界に知らしめたからだ」
たとえばベトナムはこの9月、
「米国との外交関係を
中国と同格の最上位に引き上げた」
ウクライナ支援のリーダーとなることで、
アメリカは世界のリーダーの地位を取り戻した。
しかし厄介なことに、
「ナショナリストは誰よりも
国益を見極めるのが下手だ」
「ナショナリスト」とはトランプらのこと。
「よってトランプ前大統領も
その取り巻き議員らも
ウクライナを見捨てるだろう」
これは避けたい。
つまりトランプ再選は困る。
「安全保障面では
北大西洋条約機構に加えて、
韓国や日本との2国間協定」が、
その矛先となるだろう」
これはアメリカの地位に、
致命的な影響を与える。
「経済面では当然、
世界貿易機関(WTO)が攻撃対象となる」
これも困った事態を招く。
そこでトランプ再選の場合、
「世界が驚くような展開は1つしかない。
ただ、その1つは最も重要な意味を持つ」
中国問題だ。
「中国に対する前大統領の不満は、
あくまで経済的なものに限られていた」
それは台湾問題に表れている。
「トランプ前大統領の関心が、
いかに狭いかといえば、
半導体生産の”ビジネスを我々から奪った”
というふうにしか台湾をみていない」
「哀れなほどに凡庸で、
お金でしかものごとを考えられない男について、
その支持者も敵対者も
様々な幅広い発想を常に持っている人物だ
などと思い込んでいる」
「また、彼はとにかく
集中力が持続しないため、
行政府内に存在する筋金入りの
対中強硬派に対するコントロールを
徹底させられない可能性もある」
こんな酷い前大統領だが、
第2次トランプ政権が誕生したら、
「驚くべき展開は
米中のデタント(緊張緩和)を
もたらすかもしれないという点だ」
ん~。
世界にとっては米中デタントよりも、
それ以外の打撃の方が悲劇的に大きすぎる。
賢明なアメリカ合衆国国民が、
世界全体のことを考えてくれることを、
プロテスタントの神に祈りたい。
ガネシュ記者は、
「エコノミスト」から「FT」に移籍して、
2018年6月にロンドンからワシントンに移った。
英国政治を厳しく評論し、
今度はアメリカの政治の論評をしている。
著書は『The Austerity Chancellor』など。
日本の政治ジャーナリストにも、
ガネシュレベルのユーモアと鋭さが欲しい。
流通ジャーナリストにも、
ユーモアと鋭さが望まれる。
私自身も例外ではない。
〈結城義晴〉
イギリス生まれの政治ジャーナリスト。
「もし第2次トランプ政権が誕生したら」
そうならないことを願うものだが、
ガネシュの物言いは、面白い。