ニューヨーク2日目。
8時にホテルを出発。
最初の視察地はバッテリーパーク。
ハドソン湾に自由の女神が見える。
思い思いにマンハッタンの空気を吸っている。
今日は快晴。
その中にそびえるワールドトレードセンター。
視察の最初の店は、
アマゾンゴー。
ご存知、キャッシャーレス店舗。
最初はアプリがないと入店できなかった。
今、入店は自由。
商品を手に取って、店を出るときに、
クレジットカードかアマゾンゴーアプリを、
スキャンさせて、決済する。
飲料や菓子、サンドイッチなどの、
ほんの限られた商品が並ぶ。
イートインスペースもある。
ホールフーズマーケットのPB「365」を品揃え。
この水はよく売れる。
団員は菓子や飲料を手に取り、
実際に買物体験。
Amazon Goはいま、
ジャストウォークアウトシステムの、
デモンストレーション店舗となった。
向かい側にあるのがイータリー。
ワールドトレードセンター4の、
3階に入居している。
エスカレーターを上がると、
EATALYのロゴが迎える。
店に入って右手に、
コンパクトな青果のセルフ売場。
イタリアン青果と加工食品以外は、
対面方式の売場。
チーズ売場にはさまざまなイタリアンチーズ。
売場をつなぐ通路の壁面には、
調理器具やキッチンウエアが展開される。
壁面には、
イタリアの食文化の紹介パネルがある。
「学び、食べる、買う」が、
イータリーのコンセプトだ。
9時に訪問したので、
レストランはオープンの準備段階。
唯一開店していたカフェ。
エスプレッソとサンドイッチを楽しむ。
貿易センターのツインタワーで、
亡くなった人の名前が刻まれたプール。
そしてターミナル駅舎のオキュラス。
設計はスペインの建築家、
サンティアゴ・カラトラバ氏。
その屋根は毎年9月11日に、
犠牲者を追悼して開かれる。
オキュラスはラテン語の目を意味する。
年に一度、その目が開かれる。
朝の観光を兼ねた視察を終え、
一路ニュージャージー州へ。
マンハッタンを後に、
ハドソン川を越えて約1時間の移動。
その時間を車中講義にあてる。
そして着きました。
ショップライト。
ショップライトはコーペラティブチェーン。
ニュージャージー州の8つ食品店が、
1940年代に協同組合を結成した。
現在はウェイクファーンという会社が、
調達、物流を担っている。
この店は、グループの最高峰店舗だ。
入口入ると右手にファーマシーがある。
顧客が必要とする処方せん薬局を、
店舗奥ではなく、入口に配置した。
青果売場の導入部はバナナの島陳列。
インストアベーカリーで、
ケーキやクッキーなどを提供。
店内加工のスイーツが充実している。
デリカテッセンのコンセ「ボアーズヘッド」。
視察してきた店舗のなかで、
どこよりも大きな看板だ。
イートインスペース。
ウッドのテーブルや椅子が設けられている。
ショップライトのすぐそばに、
リドル。
アルディと並ぶドイツ発のディスカウンター。
リミテッドアソートメントストア。
ドイツ小売業第1位のシュワルツグループの、
有力フォーマットだ。
2017年にアメリカに進出して、
2023年現在、約170店舗を展開する。
入口のインストアベーカリー。
1個79セントが値ごろ。
49セントや99セントのアイテムもある。
しかも「1buy 1get free」「2buy 1get free」の、
プロモーションを展開。
試食をかねて買ってみた。
おいしかった。
ベーカリーから青果部門につながる。
今週のセール品は、
赤い大きなトップパネルで訴求。
エブリデーロープライスが基本だが、
1週間ごとのハイ&ロー販促を加えている。
売場中央に縦に配置された平台プロモーション。
今週の新商品、売り切れ御免の特売品が並ぶ。
商品は100%センターからの納品。
PBの構成比は約6割程度。
アルディよりPB比率は低いが、
その分、品ぞろえは豊富だ。
売場面積は約800坪。
1店当たりの売上げはアルディの約4倍。
強烈な店だ。
トロイヒルズのウェグマンズ。
売場は横長の長方形。
中央に青果、
右翼がフードサービスデリと酒売場、
左翼がグロサリー。
単品量販の平台をセンターに配置。
右翼のフードサービス部門入口は、
中華、チキンなどが島ごとに配置される。
セルフデリコーナーでは顧客が、
設置された蓋つき容器に詰めていく。
サービスデリゾーンに沿って、
惣菜、鮮魚、精肉などの生鮮・準生鮮の対面売場が、
右サイドに並ぶ。
平オープンケースのアイスベッド上に、
鮮魚の丸物や切身が陳列される。
グロサリーゾーンは手を掛けずに、
ローコスト、ロープライスを提案する。
ウォルマートにも負けないマーチャンダイジング。
このエリアのマーケットリーダーだけに、
全方位型のマーチャンダイジングで対応する。
そうしてウェグマンズは1店で、
1億ドル=140億円(1ドル140円)を売り上げる。
ニューヨーク視察2日目の最後は、
ヨンカーズのスチュー・レオナード。
牛乳酪農家が始めた食品小売店。
スチュー・レオナードさん。
今年亡くなった。
その店がスーパーマーケットに転換し、
顧客最優先の楽しいスポットに変わった。
そして1988年代には、
ニューヨークタイムズに、
「ディズニーランドのような店」と評された。
おなじみのポリシーロック。
右上にレオナードさんの遺影。
原則1 顧客はいつも正しい。
原則2 万が一、顧客が間違っていると思っても、
原則1を読み返せ。
売場は完全なワンウエーコントロール。
NEBセントラルマーケットも、
このスチュー・レオナードを真似た。
ベーカリーのケーキ、ドーナツと続く。
買物客を飽きさせない試食、試飲が、
コーナーごとに配置され、実施される。
オリジナルキャラクターが、
ダンスしながら、演奏しながら歌う。
子どもたちは大喜び。
鮮魚の対面売場。
子ども連れのファミリーが、
立ち止まりたくなる仕掛けが、
売場の随所にある。
そしてチェックアウト。
しかし、スチュー・レオナードは、
どこか空しい。
レオナードさんが亡くなったからだけではない。
進化が止まってしまったからだ。
創業者には破壊的イノベーションがあった。
それを持続的なイノベーションで、
少しずつでも進化させねばならない。
それが止まると、
店は下降線をたどる。
残念なことだが、
それが現実である。
ニューヨークで大人気。
浅野秀二先生と福島道夫さん。
今回は受講生とともに参加。
イータリーとウェグマンズ、
そしてスチュー・レオナード。
さらにショップライトとリドル。
ポジショニング戦略のトップ企業を巡った。
コーペラティブチェーンのショップライト、
コロナ禍後も大健闘している。
感動した。
リドルはアルディより強いかもしれない。
そしてスチュー・レオナードさんの逝去に合掌。
(つづきます)
〈結城義晴〉