結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年10月15日(日曜日)

マンハッタンの老舗店とトレーダー・ジョーの「シビアな戦い」

イスラエルが、
パレスチナ自治区ガザを砲撃している。

この地区を支配しているのが、
イスラム組織のハマス。

そのハマスが民間人を殺傷している。
それに対してイスラエルが報復をする。

こちらのテレビニュースでも、
トップの扱いだ。
IMG_85843

アメリカとイギリス、フランスは、
イスラエルを支持し、
ロシアと中国はパレスチナを支援する。

世界は二つに分かれて、
戦争や紛争は終わらない。

私たちはアメリカに来てから5日目となる。
ニューヨークは3日目だ。

今日はマンハッタンを巡る。
伝統的なスーパーマーケットと、
大人気の全国チェーンの闘い。

ブロードウェイを歩いて、
比較しながら視察する。

これも3年ぶり。
どんな変化が起こっているのか。

朝8時過ぎに、
ゼイバーズ。
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ユダヤ人のゼイバー兄弟が開いた店。
はじめは珈琲とスモークフィッシュの店だった。
それが独特の商品を増やしていって、
スーパーマーケットになった。
1店舗しかないけれど、
マンハッタンの人たちから愛されている。

入口を入るとこの対面のチーズ売場。IMG_83423

セルフサービスのチーズ売場。IMG_83433
珍しいチーズにも、
それぞれに顧客がついている。

売れるから並べる。

惣菜売場も対面方式。
ゼイバーズだけの味を提供する。
不思議なことに私たち日本人も、
とてもおいしく食べられる。IMG_83453

そして圧巻のスモークフィッシュ対面売場。IMG_83463

今日は二人の調理人。
IMG_90593

福島道夫さんが注文したのが、
スモークサーモンと、
ホールのスモークトラウト。
すぐに食べやすく調理してくれる。IMG_83493

いかがでしょう?
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福島さんはベーグルも20個買って、
それに合う味のクリームチーズも購入。IMG_83583
みんなに振る舞ってくれた。
食べなければわからない。
だから食べる。

パン売場も独特の味が揃う。
近くの工場から届けられる。IMG_83513

この品揃えと対面サービス。IMG_83563

一番奥が珈琲売場。
私も必ずこのコーヒーを買って帰る。
みんなにもお薦めした。IMG_83533

売場でポジショニングについてレクチャー。IMG_90733

それぞれに次の店に歩いていく。
私はゼイバーズカフェに入った。IMG_83623

先ほどのコーヒーが飲めるし、
パンやペストリーが食べられる。IMG_83633

私はコーヒーを一杯。
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歩いて5分ほどでシタレラ。
マンハッタン育ちのデリショップ。IMG_83643
デリを核商品にするけれど、
どの店も総合化していって、
スーパーマーケット形式になる。

隣接して、
フェアウェイマーケット本店。IMG_83903
マンハッタンの王者。
典型的な地元スーパーマーケット。
生鮮食品の鮮度と価格で他を圧倒していた。

そこで次々に支店を出した。
投資会社に会社を売却して、
ニュージャージーなどにも出店した。

そしてナスダックに上場した。

そこでまた多店展開を図った。

しかし郊外では、
フェアウェイの良さは発揮できなかった。

上場3年で倒産。
チャプター11を適用申請。

その後、二度目の倒産。

店頭と入口に青果のボリューム陳列。IMG_83653

通路奥のコーナーにオーガニック野菜。IMG_83673
しかしコロナ前までは、
中2階にオーガニック専用売場があった。

野菜と果物の売場からは、
ボリューム感がなくなった。IMG_83693

以前の売場はこんなにすごかった。???????????????????????????????

惣菜は対面売場で独特の味を提供する。
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チーズ売場も、
ゼイバーズに引けを取らなかったが、
それが貧弱になった。
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鮮魚と精肉売場もスペースが半減した。
この対面売場にずらりと鮮魚が並べられ、
裏側にこれでもかと精肉が品揃えされていた。

それがこちらの面に、
肉と魚が隣り合わせとなった。
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裏側にはリーチインケース。
ガッカリだ。
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中2階のオーガニック売場は、
飲料コーナーに変わった。IMG_83823

以前はすべてがオーガニック青果だった。
そしてオーガニックは毎年3割伸びていた。???????????????????????????????

変わらないのはエレベーターの写真。
ジョディ・フォスターが微笑む。IMG_83853

チェックスタンドには、
セルフレジが導入された。
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改装とは本来、店をより良くするものだ。
ところがフェアウェイは、
店の魅力を削ぐ方向で、
何度も改装が加えられた。

悲しいくらいだ。

その理由の一つが、
この店の登場だ。

5分ほど歩くと、
トレーダー・ジョー。

地下1階と地下2階の2層店舗。
地上1階と2階にはデュアンリード。
マンハッタンのドラッグストア。
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エスカレーターで地下1階に降りる。
花と乳製品から始まる。
まだ朝の9時前だ。
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それから青果部門。
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通路の真ん中にバナナの島陳列。
1本19セントの売り方は変わらない。
キングコングがバナナを持って、
エンパイヤステートビルを登るイラスト。IMG_83993

平台の青果は精肉部門の前まで広がった。
完全にフェアウェイから青果を奪っている。IMG_84013

BUTCHER SHOPは多段ケース。
すべてセンター供給だ。IMG_84023

エスカレーターで地下2階に降りると、
グロサリー売場が広がる。
全品がプライベートブランドで、
人気が高い。
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今は、パンプキンのアイテムが、
売場を席巻している。
ハロウィンを控えて、
トレーダー・ジョーの客数はさらに増える。
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冷凍食品もすべてプライベートブランド。
生鮮以上に評価が高い。
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冷凍冷蔵アイテムも、
頻繁に新製品が開発され、
強くアピールされる。
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エスカレーターで地下2階に上がる。
カート用のエスカレーターも並んで設置されている。IMG_91083

チェックスタンドからは、
朝の9時過ぎなのに、
長い行列ができている。IMG_91133

久しぶりの買物で、
私も120ドル以上買ってしまった。IMG_91123
ワイン抜きでこれだけ買うことは、
あまりない。

私はコロナ前に年間30回ほど、
トレーダー・ジョーを訪れた。
長いブランクもあって、
家のトレジョ在庫が切れた。
だから大量に買ってしまった。

ありがとう。

フェアウェイ本店が負けてしまうのも、
よく理解できる。

伝統の老舗も、
「良いものを安く」のPBにはかなわない。

地上1階のデュアンリード。
ここはコンビニエンスストア機能を果たす。
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2階が日用雑貨と化粧品。IMG_84123

そして調剤薬局。
この売場はウォルグリーンの店名。
ディアンリードが、
ウォルグリーン傘下にあるからだ。IMG_84163

そしてトレーダー・ジョーと、
デュアンリードは、
ネイバーフッド型の商業集積である。

フェアウェイの単独店は、
利便性の面でも負けている。

フェアウェイは歯を食いしばってでも、
生鮮三部門を縮小してはいけない。

鮮度と安さを追求し続けねばならない。

トレーダー・ジョーには、
生鮮の強みはないからだ。

私たちはシタレラの、
やや大型の店を訪れた。
フェアウェイの隣の店は、
2層で300坪ほどである。

こちらは1フロアで400坪くらい。IMG_84333

入口に精肉部門。
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そして圧巻の鮮魚部門。
これはトレーダー・ジョーとも戦える。IMG_49523

そしてデリ部門。
シタレラの味は他の真似を許さない。IMG_84303

しかしこの店はセルフデリの売場をつくった。
ホールフーズが開発した販売方式だ。IMG_84293
しかしそれは失敗した。
セルフデリの売場のままに、
パック商品が並んでいた。

自分の強みを忘れて、
ホールフーズの真似をしても、
顧客が離れていく原因をつくるだけだ。

青果部門はもともと狭い。
それなりに維持しているが、
全体に普通のスーパーマーケットに、
近づいてしまっている。IMG_84273

グロサリーなどは、
マンハッタンの店らしい、
密度の濃い品揃えだ。

しかし「自分の強み」を喪失した店は、
限りなく普通になっていく。
IMG_49763
シタレラとフェアウェイが、
そのことを示している。

ゼイバーズは絶対に方針を変えない。
ブレることがない。
1店だけだがしっかり顧客を捉える。
それがサバイバルの道だ。

自分の強み、他との違い。
それを堅持することこそ、
ポジショニングの本質である。
(つづきます)

〈結城義晴〉

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