朝、7時半に東大阪の㈱万代本部。
隣接する会議棟大会議室。
万代知識商人大学第8期修了式の日。
日本のスーパーマーケット産業で、
一番最初に生まれた企業内大学。
それがこの万代の知識商人大学だ。
ナレッジマーチャントカレッジ。
2016年4月開校。
それ以来、これまで210名の修了生を輩出してきた。
今年29名が加わる。
世界の歴史上はじめて、
企業内大学が創設されたのは1956年だった。
米国ゼネラルエレクトリック(GE)社。
通称「クロントンビル」と呼ばれる。
「ジョン・F・ウェルチ・リーダーシップ開発研究所」
GEは幹部教育と、
次世代のリーダー教育こそ、
会社の存続と繁栄にとって、
もっとも重要なことだ考えている。
そのGEの人財に対する考え方は、
“Big Thinker”
すなわち「大きな考え方の人」
「大きな視野をもって考える人」
アメリカでは、
GEに続いて多くの大企業が、
企業内大学を開校した。
ゼネラルモーターズ、モトローラ、
コカ・コーラ、インテル、
ディズニー、マクドナルドetc。
日本でもアメリカの影響を受けて、
日本を代表する製造業に、
企業内大学はブームのように広まった。
小売業ではイオンの故小嶋千鶴子さんが、
1969年に「ジャスコ大学」を創設した。
私は万代の企業内大学が生まれるとき、
そのカリキュラムなど全内容をつくった。
そして学長に就任した。
私にとって誇らしい役割である。
“Big Thinker”であってほしい。
すなわち着眼大局・着手小局。
8期生全員がひとりずつ、
与えられたテーマに沿って、
修了レポートを提出している。
卒論のようなものだ。
今日は一人ひとりが、
その要約を6分以内にまとめて、
発表する。
全役員は事前にレポートを読んでいて、
発表されたことに対して、
厳しい質問を投げかける。
4人一組となっていて、
一人ひとりの発表が終わると、
4人が登壇して役員からの質問を受ける。
質問の口火を切ったのは、
中筋浩二取締役。
ドライグロサリー・デイリー担当。
後列に控える8期生たちは
そのやり取りを聞きながら、
自分の番を待つ。
大学院の修士論文審査なども同じ形式だ。
主査一人と副査二人、ないし三人が、
一人ひとりに質疑応答をして、
論文を審査する。
主査は論文指導教員で、
副査はそれ以外の教員。
副査はいろいろな角度から突っ込む。
主査は黙って見守りつつ、
ときに助言をしたりする。
ここで昼食休憩。
今朝、店長就任の辞令を受けたばかりの岡出さん。
右は先輩店長の高山さん。
そこで質問は、
コーポレート統括の加藤健常務。
口調は優しいけれど指摘内容は厳しい。
最後の7グループはベテラン揃い。
店長と人事部やセンターのマネジャー。
昨年3月の開講のときに話したこと、
1年間繰り返してきた内容を、
少しだけおさらいしてから、
最後はMessage。
総評ではあるものの、
不破さんの講話はいつも中身が濃い。
「いい論文だと思って読んでいたら、
平凡な発表だったし、
論文はつまらなそうだったが、
発表は元気だったりした。
どちらもいい内容というのが少なかった」
厳しい。
不破さんは学び続けよ、と言った。
そしてPractice、つまり実践せよ。
最後にResult、結果を出せ。
行動提起である。
ここまでが第1部。
15時半までかかったが、
全員が修了した。
そしていよいよ、
第2部の修了式。
阿部秀行社長が壇上で、
一人ひとりの名前を読み上げて、
修了証書を手渡す。
私は万代大学オリジナルのピンバッジを手渡す。
嬉しそうな笑顔で証書を披露する。
今期新任店長としての業務をこなしながら、
受講しつつ修了にこぎつけた高山さん。
発表もとても良かった。
辞令を受けたばかりの岡出さんと、
ツーショットの写真。
頑張ってほしい。
修了証書の授与が終わると、
阿部社長の総評。
会場はピリリと引き締まった。
修了したからと言って、
終わりではない。
次の幹部候補生たちにとっては、
今日こそがスタートのときだ。
阿部社長の講話は、
どんなときにも必ず、
顧客のためになっているかという視点を失わず、
そのうえで仕事への真摯な向き合い方を諭す。
論文や発表の際には、
緊張などもあって、
ときに甘さが出てくる。
その甘さは、
顧客の前で出てしまう。
部下の前で露出してくる。
それを諫める。
万代大学を修了したけれど、
ここからが本当のスタートだ。
大いに期待しよう。
これにて万代知識商人大学第8期、
終了。
第一級の寒波が到来した日。
大阪の空は青く、
会議棟は日差しを受けて輝いていた。
第8期生を無事に送り出すことができた。
それを支えてくれたのは、
人事部の皆さんだ。
左から津田陸さん、
8期生として学んだ海野正敏さん、
裏方で支えてくれた入江功二さん、
そして司会進行を務めた石川慎也さん。
ありがとうございました。
どこよりも学習する組織、
学び続けるチェーンストア。
商売と仕事から学ぶ。
会社と上司と仲間から学ぶ。
顧客と取引先と地域から学ぶ。
話を聞いて学ぶ。
本を読んで学ぶ。
体験して学ぶ。
今も昔も、
確かな成長を支える要件は、
学ぶ組織である。
ただし個人の学習なくして、
組織の学習はない。
〈結城義晴〉