ロピアNY視察第4団。
大雪予報によって夕方羽田発の便に乗り、
8時間遅れでニューヨークに到着。
夜が明けて、早くも滞在2日目となった。
晴天のマンハッタン。
ザ・ニューヨーカー・ウィンダム。
初日の視察時間がほとんど消えた。
第1~3団までは3日の弾丸視察だった。
しかし第4団はさらに特急弾丸の2日間で、
すべての工程をこなさなければならない。
そこで視察時間を捻出するために、
セミナー開始を1時間早めた。
いつものように、
ロピアの理念と7大用語の唱和。
4団の唱和リーダー役は自薦。
アメリカ小売業を学ぶための基本的態度。
さらにアメリカ経済と米国小売業の最新情報。
ニューヨーク市とニューアークの市場分析。
結城義晴の視点から徹底解説する。
興奮してくると、
ハンドマイクに変えて、
手振り身振り。
ロピアはニューヨークから学んで、
独自の成長を見せた。
それを若いチーフたちに再体験してもらう。
そのことを念押しした。
2日目の視察先は、
ニューヨーク州の隣のニュージャージー州。
2月14日、バレンタインデー当日。
入口のプロモーションコーナーのブーケ。
導入部は青果とインストアベーカリー。
青果の平台は、
トマトとアボカド、ナスとライムなど
コントラストのある展開。
しかもそれぞれの商品の組み合わせが、
メニューを連想させる配置だ。
ミート売場からシーフード売場へ。
内装は以前の紺色から明るい青色に変わった。
この店はビジュアルマーチャンダイジングを強化。
ステージを設けて、スポット照明を当て、
マネキンでコーディネートを提案する。
もちろんEDLPの価格政策は変わらない。
「ロールバック」は、
EDLP価格からさらに値下げする。
ターゲットは、
百貨店のデイトンハドソンが祖業。
アパレルは強い。
太めのマネキンを使う。
実にリアル感がある。
レジも壁面も什器も真っ赤。
天井を張って蛍光灯を配し、
明るい店内。
床はP タイル。
ウォルマートとの違いは明確だ。
バレンタインデー商品は、
入り口付近のシーゾナル売場で展開。
ハート形の菓子やチョコレート。
アメリカで2300店となった。
1号店は1978年、シカゴにオープン。
私はそれを取材して販売革新誌に書いた。
それから45年。
青果はずいぶん強化されている。
ロピアの青果チーフたちは、
「品質が悪い」とコメント。
それでも顧客は低価格のアルディにやってくる。
カラフルな段ボールケース陳列。
PB比率9割のアルディだからできる。
PBコーラは12本パック3.0ドル。
コカ・コーラは7.64ドル。
半額以下の脅威の価格。
同じビジネスモデルのライバル、
リドル。
アルディと同じドイツの企業。
2017年にアメリカ上陸、
もう170店に増えた。
長い長い陳列線の青果部門。
段ボールケースのまま陳列して販売する。
リドルはアルディとの違いを出す。
そして非食品のポップアップセール。
毎週水曜日に売り切れ御免の新製品が到着する。
アルディとリドルがそろい踏みし、
しかも互いに競い合うと、
米国のコンベンショナルなスーパーマーケットは、
その過激さについていけない。
イギリスの競争がその前例となっている。
ウェグマンズ。
ウォルマートにもターゲットにも、
コストコにも、
アルディ、リドルにも対策を打っている。
入口の平ケースは、
先週のスーパーボウル向けから、
バレンタイン向けのメニュー提案に一変。
二人前の蟹爪や、魚の切り身のミールキット。
赤いハートをあしらっている。
クラブケーキは2個入り。
これをランチで食べた。
美味かった。
青果部門の先頭には、
いつもはリンゴなど旬の果物を展開するが、
今日はブーケの展開。
インストアベーカリーのスイーツ。
ハート形のパックにチョコレートがけのイチゴ。
全米のバレンタイン商戦は、
クリスマス商戦に匹敵する。
だからウェグマンズは全店をあげて、
バレンタインプロモーションを仕掛ける。
ロゼのスパークリングワインを試飲。
最後はシャンパンまで開けて、大歓迎してくれた。
ストップ&ショップ。
ボランタリーチェーン。
その中でも秀逸の店。
ウェグマンズを丁寧に真摯に学び、
そのうえでウェグマンとの違いを出す。
売場に入る前の広い通路は、
プロモーションスペースだ。
もちろんバレンタイン商品の展開。
こちらもスーパーボウル販促から、
劇的な変化を見せている。
1個ずつ丁寧につくられていく。
目を引くプレゼンテーションだ。
この店のインストアベーカリーには、
力が入っている。
ケーキは対面販売だ。
バレンタインの今日は、
イチゴをメインにした商品化。
デリブランドのボアーズヘッドを導入。
切り立てのハムやチーズを提供する。
レジにもバルーン。
バルーンは広い売場で目を引く。
プロモーションの仕掛けに効果がある。
ストップ&ショップ。
ニューヨーク&ニューアークで、
ショップライトに続いて、
2番目の市場シェアをもつ。
入口のバレンタインプロモーション。
手づくりのミッキーマウスとミニーマウス。
よく見ると張りぼてで、やや粗雑。
常套手段の「Buy1 Get1Free」
1個買うと1個もらえる。
これをやるしかない。
コンベンショナルなスーパーマーケット。
全米4万5000店の中の4万店が、
こうしたとんがりのない店ばかりなのだ。
業態とフォーマットの違いがわかっていない。
フォーマットの実現のさせ方が身についていない。
そんな平均的な店は、
どんどん淘汰される。
何しろ競争は厳しい。
日本も同じだ。
ニュージャージー州の視察を終えて、
マンハッタンのアッパータウンへ。
そのブロードウェイを歩いて、
4店舗を視察する。
たった1店舗の小売業だが、
ニューヨーカーから絶大な支持を得ている。
主要部門が専門特化した品揃えである。
スモークフィッシュはこの店の売れ筋。
さっそく、井上裕一団長が、
夜の親睦のためのつまみとして購入。
惣菜の対面売場。
惣菜はこの店オリジナルの味付け。
その味にファンがついていて、
優良な固定客となっている。
店頭には宅配用の専用バンがあった。
オンラインの売上げは全体の4分の1を占める。
そしてそれが伸びている。
1店でも独自の特長を持つ店は生き残る。
マーケットニッチャーである。
特長をもたないマーケットフォロワーたちが、
ニューヨークの舞台から消え去っていく。
生鮮とデリは対面販売。
鮮魚コーナーの壁面には、
魚のしっぽのデザイン。
おもしろい。
これだけの魚売場はあまりない。
そのうえでニューヨークデリに特徴がある。
シタレラの隣に、
フェアウェイマーケット。
八百屋出身のスーパーマーケット。
スーパーマーケットの多くが、
導入部に果物を配置するが、
フェアウェイは野菜を導入部に配する。
1階・2階には、
ドラッグストアのデュアンリードが入る。
エスカレーターで地下1階に降りると、
壁面いっぱいの切り花や鉢植え。
もちろんバレンタイン仕様。
夕方は大混雑するこの店も、
今日は顧客が少ない。
恋人や家族、友人同士で、
バレンタインデーを祝う人が多いからだ。
冷凍食品は多くのアイテムが欠品している。
顧客の評価で「殿堂入り」した、
人気のマンダリンチキンも残りわずか。
トレーダー・ジョーにしかない、
品質の良いオリジナル商品を、
低価格で販売する。
トレーダー・ジョーは、
周辺のスーパーマーケットを視察すると、
抜きんでていることがよくわかる。
競争は強烈なポジショニングを、
浮き立たせる役割をもっている。
特別弾丸視察の1日。
奇跡的なスケジュールは、
学習効果満点で終了した。
夜はステーキレストランでの会食。
団員は3つのレストランに分かれて会食する。
私は「スパークスステーキハウス」
食事をしながらの会話は弾んだ。
とても良い内容の話ばかりだった。
さまざまな企業から転職してきた、
若いチーフたちが、
よく考えて仕事をしている。
そのうえで真剣に意見を戦わせる。
それがロピアの強みになっていく。
(つづきます)
〈結城義晴〉