結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年03月13日(水曜日)

コストコ・ジャパンの「下請法違反」としまむらの「仕入れの憲法」

雑誌を買ったら、
あるいは届いたら、
編集後記から見る。

そんな人が意外に多い。

月刊商人舎3月号の「編集後記」を紹介しよう。
ウェブ版には掲載されていないですよ。
吉本さん!
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[編集後記]
特集「アパレル改革」の切り口は、衣料品を食品のように考えること。食品は衣料品のように思うこと。ファッションを特別のものとは見ないこと。それでも人間が人間であることに「アパレル」は少なからず影響を与える。人と人とが寄りかかって、人ができている。人間とは人と人との間に成り立つものだ。「アパレル改革」を編集しながら、なぜか哲学的な思考に陥った。(義)

「意外といいじゃん」。総合スーパーの衣料品改革を体感すべく、「FOUND GOOD」で試買したボーダーシャツを見た友人の感想。数年前、「そんなの着るなよ」と某ファストファッションで買ったボーダーに対する感想から一変。前向きに評価したい。(恭)

百貨店の棒人間のようなマネキンは、かっこよさはあるものの、親近感は湧かない。その点、ターゲットのふくよかなマネキンは、アメリカ人顧客に寄り添っていると思う。個人的には低身長女性用のマネキンが欲しいなぁ。(綾)

花巻東高校の「目標達成シート」は、目の前の小さな目標をクリアすることによって将来の目標に少しずつ近づく仕組みになっている。だが、このことが実は日々自分を見つめ直すことにもつながっている。深い。(磯)

ファッションブランドに関心の薄い私がターゲットのアパレルブランド戦略!?  何とか形にしたが、いかがだったろうか。ターゲットの衣料品は品質も良くてリーズナブル。だからときどき購入する。ベビー服や子ども服は可愛くて安くてお勧めだ。一方のウォルマートもターゲットに追いつこうとアパレル売場はずいぶん洗練されてきた。両者が刺激しあっている。(亀)

雑誌をはじめたころは、
2行くらいの短い後記だったが、
最近はみんな文章が長くなってきた。

それぞれ勝手に書いているものの、
やっぱり編集後記は面白い。

さて、悪い話。

新聞各紙に載ったし、
商人舎流通SuperNewsにも。

コストコnews|
公取委から下請法違反で勧告
costco

下請代金支払遅延等防止法(下請法)。

食品やその原材料製造委託の下請事業者に対して、
正当な理由もなく下請代金を減額していた。

値引き販売や新店での試食の原資として、
下請代金から差し引いたり、
支払わせたりした。

公正取引委員会が再発防止を勧告。

2021年11月から23年10月まで、
下請け企業20社に値引き分の一部を負担させて、
支払代金を約3350万円減額していた。

ほかには新規出店の際、
初回発注分の全額を負担要請した。

さらに納品時に品質検査を行わず、
瑕疵があったという理由で、
約200万円分の商品を、
下請け企業11社に返品していた。

違反認定された約3550万円分は、
下請け企業に相当分が支払われた。

同社からの返答。
「下請け企業との間で、
合意の上で減額や返品をしていた」

ただし下請法では、
合意があっても、
下請け企業に責任がないのに
発注時に決めた代金を後から減額したり、
商品を返品したりすることを禁止している。

「合意があっても」というところが大事だ。

一方、日産自動車も、
公正取引委員会から、
下請法違反の勧告を受けた。

下請け企業との取引で、
発注時に決めた金額から「割戻金」として、
一部を差し引いた代金を支払っていた。

内田誠社長兼最高経営責任者。
「法令順守の状況について改めて点検をし、
再発防止を徹底していく。
サプライヤーとの信頼関係を再構築するため、
当社が誠意を示していく」

発刊したばかりの月刊商人舎3月号で、
ちょうど私は書いていた。

[特集のまえがき]
衣料品の「Just in Time」を構築せよ!!
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しまむらの「仕入れの憲法」。
「4つの悪の追放」と呼ばれた。

第1が「返品」の悪、
第2が「赤黒伝票」の悪、
第3が「追加値引」の悪。
第4が「未引き取り」の悪。

「赤黒伝票」は伝票の書き換えによって
見かけの売上げを計上する手立て。

「追加値引き」は納品された後に
ベンダーに対してさらに
追加の値引きを要求すること。

そして「未引き取り」は、
発注したにもかかわらず
商品を引き取らないこと。

――衣料品業界では、
そんなことがまかり通っていた。
しまむらはこれらを徹底的に排除して、
ベンダーとの信頼関係を構築していった。
しまむらが全面的にリスクを負って、
値下げ分をしまむら負担で売り切った。

その結果、返品や売れ残りが
当たり前だった衣料品取り引きを
「ジャスト・イン・タイム」に変えていった。

総合スーパーの衣料品は、
このしまむらにも市場を略奪された――。

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イトーヨーカ堂には、
故伊藤雅俊名誉会長が残した、
取引先との「四つのルール」がある。

第1、対等の立場。
第2、約束は必ず守る。
第3、接待は受けない。
第4、返品しない。

これは鉄の掟だった。
しまむらの「4つの悪の追放」に通じるルールである。

そしてこれはコストコにも日産にも通じる、
商売の鉄則だ。

〈結城義晴〉

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