横浜商人舎オフィスに戻ると、
裏の遊歩道に、
ハナミズキが咲いた。
花は次々に咲き乱れる。
季節は移ろっていく。
しかしこのところ心は晴れない。
午後2時半ごろ突然、
㈱プログレスデザインの皆さんが来訪。
大歓迎。
中が社長の西川隆さん。
右が取締役営業部長の柳本浩三郎さん、
左がエグゼクティブアドバイザーの工藤敏晴さん。
3時には北村純一郎さん来社。
商業界元営業部長。
現在は広告プランナー。
月刊商人舎の営業も担当してくれている。
さて ニューヨーク・タイムズ。
有名な「コラムニストの眼」
ポール・クルーグマン博士が書いている。
ニューヨーク市立大学大学院センター教授。
2008年度ノーベル経済学賞受賞。
このコラムが「市場を動かす」と言われるほど。
日経新聞に掲載。
タイトルは、
「なぜトランプ氏を支持する
億万長者たちがいるのか」
面白い。
「トランプ前米大統領の陣営が
資金繰りに行き詰まっていると報じられている」
「そこで、彼は右派の億万長者たちを口説いている」
たとえばイーロン・マスク。
「少なくとも一部の億万長者たちが、
前回の選挙を覆そうとし、
司法省を使って政敵を追及したり、
何百万人もの不法移民を一網打尽にして
収容所に入れたりするなどの
権威主義的な意図を隠そうともしない人物に、
多額の資金を提供することはかなりありそうだ」
「なぜ億万長者たちは
そのような人物を支持するのか」
「単純な答えの一つは、
バイデン氏が再選する場合より
トランプ氏が勝つ場合のほうが、
富裕層の納税額がほぼ確実に減り、
企業の規制も緩和されるということだ」
「しかし、億万長者が
トランプ氏を支持するには、
減税の見込みだけでは十分ではないはずだ」
いろいろと理由を上げる。
だが言いたいことはこれだ。
「トランプ氏が政権に返り咲けば、
米国はもっと恐ろしい場所になるだろう」
「それは億万長者にとっても、
税率が数%下がることよりも
ずっと重要なはずだ」
「トランプ氏が米国の民主主義にもたらす危険は明白だ」
クルーグマン教授は主張する。
「プーチン大統領が権力の座につくのに貢献した、
ロシアのオリガルヒたちの経験から学ぶべきだ」
「オリガルヒたちは結果的に、
ひとたび独裁者を擁立してしまえば、
自分たちの富は思ったほど盾にならず、
シベリア送りになる可能性があることを知った」
クルーグマンの言い回しが面白い。
翻訳がもうちょっと上手なら、
もっと面白いのに。
結局、トランプは、
「億万長者からの支持を得るだろう」
「もしトランプ氏が勝てば、
彼らは自分たちの選択を
後悔することになるだろうか」
「私の推測では、そうなるだろう。
だが、その時にはもう手遅れだ」
クルーグマン、悲観的だ。
米ミリオネアたち、
露オリガルヒの轍を踏むな。
頼む。
一方、日経新聞の「大機小機」
こちらはコラムニスト一直氏。
匿名コラムニストだが、
多分、経済学者。
「成長力アップに政治改革不可欠」
「規制緩和といえば、
英国のサッチャー政権の”小さな政府”、
新自由主義の考え方のもとで、
第2臨調が進めた国鉄民営化を思い出す」
その後、経済的規制の原則自由化、
社会的規制の最小限化を目標に、
規制緩和が行われてきた。
細川政権も橋本、小泉両政権も、
経済構造改革を重要な政策課題に掲げた。
小売業にとっては、
大店法の規制緩和、
酒類免許の緩和や薬事法改正などなど。
「しかし、第2次安倍政権以降、
規制緩和や規制改革という声を
あまり聞かなくなった」
そして岸田政権の「新しい資本主義」も、
規制緩和から離れている。
「現在の政治構造では
これが簡単ではない」
「自民党など主要政党が
それぞれ強力な利益集団や組織を
選挙母体としているからだ」
今回の自民党の派閥と裏金問題も、
規制緩和できない構造をあぶり出している。
根本はそこにある。
一直氏。
「現在の選挙制度に問題があるのなら
国民が声をあげなければならない」
同感だ。
福沢諭吉は150年以上も前に述べている。
「政治が悪いのは
政治家を選んだ国民が悪いのだ」
米国ミリオネアたちも、
日本国民も、
学ぶことができないのか。
このまま悲観していていいのか。
心が晴れない理由は、
世界の政治にある。
せめて規制の緩和だけでも、
頼む。
〈結城義晴〉