喉が痛い。
ガラガラ声を通り越して、
かすれ声。
体温は37.9℃。
このところ疲労が溜まっていたのだろう。
それでも1日、活発に動いて、
夕方、大阪から帰浜。
富士の姿もくっきり。
まだ頂のあたりは雪をかぶっている。
箱根を超えても富士は見える。
車中では久しぶりに、
何もせずに静養した。
日経新聞「大機小機」
リーダーに必要な「実践的知性」
コラムニストは客人さん。
静岡県の川勝平太知事と、
熊本県の蒲島郁夫知事を比べる。
15年にわたった川勝県政が幕を閉じる。
蒲島知事も16年の県政から去る。
川勝、75歳。
蒲島、77歳。
ほぼ同じ時期の学者出身の知事。
「川勝氏は人気があった。
知事として初挑戦の選挙こそ
辛勝であったが、その後、
3度の選挙ではいずれも圧勝だった」
「人気の背景の一つに学者出身という経歴、
そして数々の著書から推察される
知性や見識に対する評価と期待があった」
だが15年の県政を見ると、
その期待に見合う成果はなかった。
リニア中央新幹線の2027年開業は延期させ、
富士山の世界文化遺産登録をした。
このくらいしかない。
一方の蒲島知事。
「台湾積体電路製造(TSMC)の工場進出の
受け入れ体制整備に奔走し、
国の川辺川ダム着工にメドをつけ、
県のPRキャラクターくまモンを大成功させた」
その落差は大きい。
川勝知事の問題点。
「関係者とのコミュニケーションや
それを通じた信頼構築を経ることなく
一人で大きな意思決定を行う傾向があった」
「その結果、川勝氏の意思決定は
関係者の理解を得られないものとなりがちだったが、
固執して不毛な対立が長期化した」
蒲島知事は、
「企業や国と信頼関係の構築に成功して
成果をあげた」
コラムニスト。
「心理学・教育学は、
知能が多面にわたるものであることを指摘している」。
「学者として高い評価を得ていた川勝氏が、
優れた分析的知性や創造的知性を
持っていたことは間違いない」
「一方、新しい状況の中で
適応的に対処する能力である実践的知性、
その重要な一部と考えられる
対人的知性は十分でなかった」
実践的知性。
対人的知性。
これは経営者や経営幹部に必須だ。
いや店長もバイヤーもチーフも、
実践的知性と対人的知性をもたねばならない。
それが知識商人の本来の在り方だ。
蒲島知事は農協の職員から東大教授に就任した。
異色の学者だ。
民間での就労経験、米国での農業研修など、
幅広い経験を有する蒲島知事は、
優れた実践的知性を持つ。
「学者だと言えばありがたがるような人は
分析的知性を過度に重視している」
その通り。
「企業を含む社会のリーダー選出にあたっては、
そうしたバイアスは危険だ」
結論。
「実践的知性の必要性を認識し、
それを見極める力を磨く必要がある」
分析的知性だけではなく、
実践的知性が必須である。
実践の中から知性が磨かれる。
商売の世界でそれを実現するのが、
知識商人である。
今年の商人舎1月号。
[Message of January]
みんなで学べ。
「まなぶ」は「まねぶ」から生まれた。
学ぶことは真似ることから始まる。
創意を尊びつつ良いことは真似よ。
商人は商売と仕事から学ぶ。
会社と上司と仲間から学ぶ。
顧客と取引先と地域から学ぶ。
話を聞いて学ぶ。
本を読んで学ぶ。
体験して学ぶ。
みんなが学ぶ。
しかし優先されるべきは、
個人が学ぶことだ。
個人が人生をかけて学ぶ。
それが組織学習の基礎となる。
個人の学習なしに組織の学習はない。
「みんなで学ぶ」とは、
「チーム学習」とは、
学んだ者同士が対話することだ。
対話を通じて、
ビジョンを共有し、
成果を最大化させることだ。
ポストコロナの2024年。
学習する組織をつくろう。
みんなで学ぼう。
個人が人生をかけて学ぶ。
それが組織学習の力となる。
個人の学習なしに組織の学習はない。
「商人は商売と仕事から学ぶ。
会社と上司と仲間から学ぶ。
顧客と取引先と地域から学ぶ」
これが実践的知性である。
実践しつつ考える。
考えては実践する。
そしてまた考える。
限りなくそれを繰り返す。
そこから実践的知性が生まれる。
学歴は全く関係ない。
大学教授であったことも、
実務家としては全く関係ない。
川勝平太と蒲島郁夫。
皮肉な取り合わせで、
同時期に知事を務めた。
そして実践的知性の重要性を教えてくれた。
〈結城義晴〉