円の下落が止まらない。
どこまで下がるのか。
どのように対処するのか。
そして誰が、いかに責任をとるのか。
日経新聞の社説。
「小売りは消費変化に賢く動け」
「大手小売業の2024年2月期の決算が出そろった。
軒並み好業績となった」
「ただ足元の消費は力強さに欠ける」
はてさて、
「力強さに欠ける」といった程度のものか。
私はもっと深刻に考えている。
「実質賃金はマイナスが続き、
消費者には”値上げ疲れ”の雰囲気も漂う」
そこで、
「機動的な価格戦略と、
消費を喚起する付加価値の高い商品開発が
各社には求められる」
これがこの社説の主旨だ。
コンビニエンスストア業界の決算が好調。
高級ブランドを扱う百貨店も好調。
「値上げが相次いだ食品スーパーも、
ライフコーポレーションが
純利益を27%増やすなど堅調だ」
「外食業界は値上げをてこに、
新型コロナウイルス禍以前の利益水準を
上回る企業が増えてきた」
足元での消費者の節約志向の高まりを、
客数や購入点数の現象に求める。
そしていつもの言い回し。
「賃上げが広く波及しなければ、
物価高で生活防衛に動く消費者は増えるだろう」
賃上げは残念ながら、
広く波及はしない。
「とはいえ、過度な低価格競争は
経営体力を削りかねない」
このあたりが実に無責任だ。
具体的に説明しなければ解明しない問題を、
一般化して表現してはならない。
消費者は生活防衛に動く。
だから価格対応しなければ、
顧客の支持が得られない。
しかし過度な価格競争は、
経営体力を削る。
社説子は結論をもっていない。
そこでイオンにそれを求める。
「4年ぶりに営業利益が過去最高となったイオン」
「プライベートブランドで
一部商品を値下げする一方、
高価格帯のチルド食品も拡充している」
「節約とこだわりという消費の二極化に対し、
賢く動くことが重要になる」
この、「節約とこだわり」という、
イオンの二極化対応が、
社説子が言う「賢く動くこと」の内容だ。
中学や高校の先生たちが、
生徒たちに「賢く動けよ」などと言ったら、
日本はどうなるのだろう。
会社でも上司が部下に、
「賢く動けよ」と声を掛けたら、
どうなるのか。
日経は社説でそれを言っている。
昨年の1月から私は、
「トレードオン」を言い続けている。
それが今も必須であるとも言い続けている。
最後の一言。
「小売り各社は中長期の成長に向けた
戦略づくりも急ぐ必要がある」
いつものことだが、
締まりのない結論だ。
月刊商人舎5月号で、
この増収増益決算続出の問題と、
「円安による消費不況」に対して、
鮮明な主張を考えている。
今、その執筆中である。
ご期待いただきたい。
さて今日は、
「そよら横浜高田」が、
グランドオープン。
商人舎流通SuperNews。
イオンリテールnews|
都市型SC「そよら横浜高田」4/26オープン
私の体温は昼は36.7℃だが、
夕方から37.5℃。
だから自宅で仕事しつつ、静養。
亀谷しづえ商人舎GMが取材に行った。
場所は横浜市港北区、
地下鉄グリーンラインの高田駅から徒歩1分。
工場跡地に開発した。
イオンリテールが、
都市型ショッピングセンターを開発し、
フード&ドラッグを核店舗に据えた。
アメリカのそれを研究し、
そのうえでイオンらしさを出している。
1階が食品フロアで、
2階がイオン薬局とH&BCと日用品など。
そしてテナントのキャンドゥやバーガーキング、
大戸屋などの飲食店、全14のテナントで構成する。
地下鉄グリーンラインは2008年に開通した。
周辺はファミリー世帯を中心に人口が増加。
一方で駅周辺には商業施設や飲食店が少ない。
周辺住民の期待は大きい。
グランドオープンでは、
1日中入場規制が続いた。
食品売場、とくに鮮魚、畜産の売場には、
顧客が押し寄せた。
館全体で年間200万人の来場者を目指す。
ここには「節約とこだわり」や「賢く動く」などという、
薄っぺらな言葉を超えるものがある。
賢くなど動くことはない。
そんなことで今を乗り切ることはできない。
信念をもって行動せよ。
そして、初心忘るべからず。
この精神を全員が貫徹してほしい。
消費は現場が必死に喚起するものだ。
〈結城義晴〉