いずれも立憲民主党が制した。
自民党は東京と長崎で不戦敗。
はじめから候補者を擁立できなかった。
自民王国の島根1区は、
小選挙区制導入の1996年以降、
自民党が負けたことのない選挙区だ。
しかも細田博之前衆院議長の選挙区で、
その死去を受けた選挙だった。
自民新人の錦織功政候補と、
立件民主元職の亀井亜紀子候補との、
一対一の与野党対決。
大差をつけて亀井候補が勝った。
日本維新の会は東京と長崎で候補を立てた。
長崎では立憲民主との対決となった。
いずれも敗れた。
自民党による「一強多弱」の時代は、
完全に幕を下ろした。
その一強の時代を振り返ってみると、
旧統一教会による選挙支援態勢や、
派閥パーティー券キックバックの裏金などによって、
選挙に勝つ体制が生み出したものだ。
亡くなった人のことを悪くは言いたくないが、
この二つの出来事を主導していたのが、
安倍晋三元首相であり、
細田前衆議院議長である。
そのうえ現在の円安による生活の圧迫。
国際的な地位の低下。
これらに対して国民が、
ノーと言った。
しかし立憲民主党の完全勝利とは言えない。
国民は日本のすべての政党に、
襟を正せと言っている。
一からの出直しを求めている。
立憲民主を含めて、
すべてが負けた選挙だ。
投票率は2021年の衆院選を大きく下回った。
長崎3区は35.45%の低レベルで、
前回の60.93%から25.48ポイント下がった。
東京15区は40.70%で、
58.73%から18.03ポイント減。
島根1区は54.62%で、
61.23%から6.61ポイント減。
いずれも過去最低。
すべてが負けた理由はここにある。
国民が政治から離れている。
一番大きかった自民党が、
一番大きく負けた。
もちろん自民党内では、
岸田文雄首相の責任問題も出るだろう。
9月には自民党総裁の任期満了が待っている。
岸田総裁の次はないだろう。
今の立憲民主党では、
政権を担うことはできない。
昨日の日経新聞「あすへの話題」
料理研究家の土井善晴さんのエッセイ。
「つつましい食事」
「世界中の民族には、
毎日食べても大丈夫で、
飽きることのない最低限の
食事のスタイルがあると思う」
同感だ。
「なにを作ろうか、どんな味つけしようか、
といった現代人の迷いや苦しみはない」
「暮らしのリズムを壊さず、
手なりに料理して、
食事を整えればいい」
「飯を炊き、汁を整え、備えの漬物を添える」
「お膳に、箸を揃え、ご飯と汁を装い、
漬物をおく」
「一汁一菜の汁飯香という自然物に、
人間が作ったと言えるものはない」
病気をしているときなど、
一汁一菜の汁飯香が一番いい。
「毎日、『あーおいしい』と言える喜びは、
汁飯香という自然の凄さ。
日常の食事は大自然に向き合う時間だ
と考えてみてはどうか」
汁飯香で大自然と向き合うから、
病との戦いでも力がわく。
建築家ミースの言葉。
「less is more」
(より少ないものはより豊かなことである)
「贅沢もよいが、つつましさは大事への備えだ」
「お金が使いにくくなった今。
それ以上を望んで、喜んで、苦しんで、
喜怒哀楽という情緒が
生まれては消えていく」
政治を行う政治家も、
「less is more」である。
〈結城義晴〉