結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年05月19日(日曜日)

「心は燃やせ、頭は冷やせ」の「オプチミズムとペシミズム」

何かの機会があって、
自分のブログを検索する。

みなさんもぜひ、
やってみてください。

この商人舎公式ホームページの、
タイトルの下の横長の□のところ。
[検索]と薄い文字が入っている。

検索しやすいようにと、
結構大きなスペースをとってある。

ここに単語を打ち込む。
できれば二つくらい。
あるいは三つくらい。

そうすると、
その二つや三つの言葉を使った投稿記事が、
ずらりと出てくる。

読んでみると面白い。

現在の時点で6622のブログがある。

あと9年ちょっとで大台の1万になる。
80歳のときだ。

それまでは書き続ける。

さてウォルマートの記事を探していたら、
2016年12月1日のブログに行きついた。

『パリはわが町』という本。
ロジェ・グルニエ著、2016年10月刊。
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発刊元のみすず書房は、
いい出版社だ。

哲学、科学、心理学、社会学、
それに現代史、西洋史などの専門書を発刊。
学術出版社のジャンルに入る。

出版界のマーケットニッチャーだ。

資本金1500万円で、
2023年2月期の売上高6億2000万円。
従業員28名。

㈱商業界よりもずっと小さな出版社だが、
頑張って経営を維持している。

創業は1947年。
創業者の小尾俊人(おびとしと)は、
大東亜戦争から復員して、
「出版社か農業をやろう」と考えた。
そうして最終的に出版社を設立した。

そのみすず書房発刊のグルニエの本。

グルニエは、
フランスのジャーナリストで作家だ。
第2次大戦中には、
パリ解放のレジスタンス活動に身を委ねて、
英雄的な働きをした。

あるインタビューに答えて語った。
「小さなことについては
オプチミスト、

大きなことについては
ペシミスト」

オプチミストは楽観主義者、
ペシミストは悲観主義者。

小さなことは楽観する、
大きなことは悲観する。

これは革命家の心構えだというが、
着眼大局・着手小局の極意に通じる。

先週木曜日の日経新聞「大機小機」
タイトルは、
「冷静な頭脳と温かい心」
コラムニストは九転十起氏。
学者だろうか。

「国内の消費が振るわない。
国内総生産(GDP)の実質個人消費は
3四半期連続でマイナス、
家計調査による消費支出は
実質で13カ月連続のマイナスである」

悲観的な材料がそろう。

「背景にあるのは物価高だ。
相次ぐ値上げによる”値上げ疲れ”が、
消費者の買い控えや節約志向につながっている」

同感だ。

月刊商人舎5月号では、
「円安不況」と表現して、警告を発した。
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実質賃金は3月まで24カ月連続でマイナス。

今年の春闘で連合のベアは全体で3.57%、
中小組合でも3%を超えてきた。

「しかし、昨年の春闘も、
30年ぶりの高い賃上げ率だったはずだ」

連合の最終集計ベアは2%強だった。
一方、毎月勤労統計の所定内給与は、
パートも含めた全体の平均では1.4%増。

今年の上昇率は、
「前年比で3%に達するかどうか」

「物価上昇にやっと追いつく程度だ。
消費者がインフレを上回る賃金増を感じるには
ほど遠いだろう」

そこでコラムニストの専門の、
日銀の金融政策。

「緩和的な金融環境を維持し、
企業・家計のマインド悪化と
景気の腰折れを防ぐというのが
最善策であろう」

「それにもかかわらず、
年内の利上げが既定路線のように議論されている」

「データは大事だがあくまで数字でしかない。
より重要なのは国民生活の実態だ」

同感だ。

ここでアルフレッド・マーシャルの有名な言葉。
近代経済学の祖にしてメイナード・ケインズの師匠。
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マーシャルはロンドンの貧民街を歩き、
困窮する人々のために
経済学を役立てるべきだと主張した。

そしてそのために、
「冷静な頭脳と温かい心」が必要だと説いた。
「Cool head but warm heart」

マーシャルから直接ヒントを得たわけではないが、
私は商業界の社長を退任した2007年から、
同じような言葉を自分の標語にしている。

「心は燃やせ、頭は冷やせ」

九転十起氏。
「経済学者をトップに頂く日銀は、
今こそ冷静な頭脳と温かい心で
我が国の現状を分析し、
臨機応変に対応する柔軟さが必要だ」

そしてこの際、大切なのは、
グルニエの言葉だと思う。
「小さなことにはオプチミスト、
大きなことにはペシミスト」

よろしく頼みます。
植田さん。

今の小売業や製造業の経営にも当てはまる。
いや、現場をもつ者にとってはもともと、
この心構えが必須なのだ。

〈結城義晴〉

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