Everyone, Good Monday!
[2024vol㉒]
2024年第22週。
5月の最終週、
土曜日から6月。
時が行くのが早すぎる。
「時の過ぎゆくままに」なんて、
沢田研二を気取ってはいられない。
時を放置してはいけない。
この夏の3カ月間が私の勝負のとき。
今日は朝9時7分ののぞみで西へ。
三島を過ぎても富士は見えず。
名古屋、京都、大阪。
そして岡山、広島。
今、車窓から見えるのは、
美しい水田のはず。
しかし黄色の麦畑が増えた。
農林水産省が、
「麦・大豆の国産化の推進」をしている。
それが新幹線の窓からよくわかる。
広島駅に着くとすぐにタクシーを拾って、
リーガロイヤルホテル広島へ。
今年の2月12日、
東広島市のご自宅で、急逝。80歳。
本当に惜しい。
6年前の2018年3月に、
㈱大創産業代表取締役社長を退くと、
矢野靖二現社長にすべてを委ね、
4月には会長兼ファウンダーに就任した。
そして1年後の2019年3月には、
すべての役職を退任した。
潔い。
靖二社長には、
大きな責任が圧し掛かったが、
結局、それが一番良かった。
こういった身の処し方をする経営者は、
めったにいない。
頭のいい人だった。
ありがとう
ありがとう
ありがとう
感謝 感謝
ありがとう
ありがとう
矢野博丈
喜寿のときのことば。
「ろまんや夢を語るより
たえずお客様を飽きさせない
けんきょで感謝を忘れない
真の経営者」
いい写真だ。
矢野さんは77歳のときには、
この境地に至っていたのだろう。
素晴らしい。
会場ではビデオが流された。
それがとてもよかった。
私はそのビデオを二回も見てしまった。
献花が終わると幹部の人たちが並び、
最後に矢野靖二ご夫妻。
「いい記事を書いてくださって、
ありがとうございます」
矢野さんが言った。
「素敵な文章で」
美しい奥様も言った。
「なんというか明るいお別れの会で、
すごくいいですね」
結城義晴。
月刊商人舎23年9月号。
矢野博丈さんが健在のときに、
この特集を組むことができた。
それが私もうれしかった。
会場には「大創産業の歩み」が、
写真とともに展示されていた。
「従業員とともに築き上げた」と、
添えられていた。
「仕入れは商談相手との格闘技」
お客さまに良い商品をお届けするために、
少しでも妥協すれば失礼な商品が増えると
言い続けてきた。
矢野博丈の商売哲学だ。
「みんなで一緒になって働く」
70歳をこえてもなお従業員と共に
毎朝デバンニングを行った。
懇親の会場には写真やグッズが展示され、
生前のビデオが流されていた。
伊藤雅俊さん、岡田卓也さん、鈴木敏文さん、
家田美智男さん、山西義政さん、
山西泰明さん、夏原平和さん。
大髙善二郎さん、善興さん。
柳井正さん、似鳥昭雄さん、安田隆夫さん。
矢野博丈さんも、
ツーショットの写真が好きだった。
最後に「矢野博丈の哲学」
この写真の言葉は、
すべての商人が忘れてはならない。
「ありがとう」
「恵まれない幸せ、
恵まれる不幸せ」
「お客さま第一主義」
「飽きられたら終わり、飽きとの戦い」
「寄ってたかってやる」
「楽しさを売る」
いいお別れの会だった。
最後に、
矢野博丈さんに贈った私のことば。
[Message of September]
商売は値段をつけることだ。
突き詰めると、
商売とは、
値段をつけることだ。
商品を仕入れる。
あるいは調達する。
さもなくば自分でつくる。
そして経費を見積もり、
ギリギリの利益を見込んで、
売価をつける。
お客は喜ぶか。
買ってくれるか。
売れ残るか、利益は出るか。
そのリスクを背負って、
値段をつける。
ここに商売の醍醐味がある。
しかしウールワースは、
ダラーゼネラルとDAISOは、
はじめから値段が決まっていた。
その値段に商品を合わせる。
原価と経費を見定め、
お客が大いに喜ぶ品質にする。
値段を下げることはない。
売価を上げることもない。
このチョッキリ価格で、この商品。
それだけに勝負をかける。
やがて本当の価値にのみ、
組織は目を向けるようになる。
1ドルで提供できる価値。
100円で生み出せるご利益(りやく)。
その最大化だけを考えるようになる。
これが真の商売である。
マーチャンダイジングの本質である。
そしてこれが真の顧客主義である。
〈結城義晴〉
矢野博丈、歴史に残る商人だった。
心からご冥福を祈りたい。
では、みなさんも、
ありがとうと感謝で。
徳を積み、運を付けよう。
Good Monday!
〈結城義晴〉