結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年05月24日(金曜日)

万代渋川店の定点観測とオーケー関西本部&1号店の物件拝見

万代知識商人大学第9期。
毎年30名から32名が選抜されて、
この企業内大学に入学する。

8期までにすでに延べ240名が修了して、
取締役や部長、店長に登用されている。

講義の合間のランチタイムには、
必ず本部に併設されている渋川店を見る。

定点観測だ。
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一丁目一番地の農産の平台。
何時も必ずとびきりの商品が並ぶ。IMG_6178 (002)

万代の強みの一つ水産部門。IMG_6181 (002)

今日は真鯛が399円で販売されている。IMG_6177 (002)

私は魚好きだが、
とりわけて真鯛の煮物は好物だ。
このアラの298円は買って帰りたい。IMG_6176 (002)

刺身は平台にずらりと並ぶ。IMG_6172 (002)

真ん中の「旬盛おつくり」500円は、
これも買って帰りたい。IMG_6174 (002)

「おさかな屋さんの鮨」は、
壁面の多段ケースから、
刺身の横にもってきた。IMG_6173 (002)

6月1日は大創業祭。
朝8時オープンで凄い特売が展開される。IMG_6185 (002)

店舗の奥主通路中央に惣菜売場がある。
昼時にはこの弁当売場が活気づく。
私も必ずここで購入する。IMG_6182 (002)

畜産部門は万代の核売場だ。IMG_6186 (002)

そしてコーナーを曲がると日配部門。IMG_6183 (002)

一番最後にパン売場。
テレビでも放映された「明日のパン」売場。IMG_6184 (002)
万代の旗艦店の一つ。
渋川店は今日も魅力的だった。

それから夕方、東大阪市高井田本通7丁目へ。
オーケー㈱の関西第1号店と関西本部ができる。IMG_4551 (002)

ゼネコンは㈱イチケン。
かつてダイエーと業務提携していたし、
現在はパチンコホールの㈱マルハンが筆頭株主。IMG_4556 (002)
オーケー店舗保有㈱がこの物件の持ち主となる。
オーケーはそのテナントとして入る。
道路占有使用許可は、
今年の10月30日までと記載されている。
つまり躯体の工事期間が10月末まで、
オープンは年末か来年になりそうだ。

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地下1階地上5階建ての鉄骨構造。
駐車場は192台、駐輪場は316台。
商圏は広くはない。

2ブロック離れたところに、
ライフ高井田店の大きな看板が見える。
さらに万代森河内店も近い。IMG_4552 (002)

東大阪市は万代のドミナントである。
ライフコーポレーションも多数の店を出している。
その中にオーケーが関西本部を設けつつ、
最新店で舞い降りる。

「東大阪の陣」――大いに楽しみだ。

私は昼前の新幹線に乗った。

静岡に入ると富士の頂が雲の上に見えた。IMG_4565 (002)

三島のあたりでも、
頂上だけ見える。IMG_4567 (002)

毎年の富士の開山日は、
山梨県側の吉田ルートが7月1日、
静岡県側の3つのルートは7月10日だ。

富士山に
一度も登らぬ馬鹿

二度登る馬鹿

一度は登っておくほうがいい。IMG_4569 (002)

東京駅でのぞみを降りた。IMG_4587 (002)

富士山と東京駅を見ると、
得した気分になる。IMG_4588 (002)

そして大手町プレイスタワー。
毎月の検査と診察は大手町プレイス内科。a780a007-12e6-4859-bbe6-e369fbcc8837
私の主治医の田嶼尚子先生。

糖尿病の検査とともに、
1カ月間の咳の状況も見てもらった。
軽い気管支炎になっている。
薬を処方してもらって、
安心した。

さて商人舎流通SuperNews。
日本フードサービス協会news|
新会長に久志本京子氏、50年で初の女性会長

一般社団法人日本フードサービス協会。
1974年設立。

初代会長は故藤井和郎さんだった。
㈱不二家の元社長、会長。

その伝統の協会会長に、
久志本京子さんが就任した。
㈱アールディーシー会長。
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協会は創立50周年を迎えるが、
初の女性会長の就任となる。

アールディーシーは、
「がってん寿司」が主力フォーマットだ。

1986年12月、歯科医の故大島敏さんが、
元禄寿司のフランチャイジーとして創業。

1987年からがってん寿司を直営で展開し始めた。
久志本さんはその妹で薬剤師だった。

現在は世界6カ国・地域に、
30のフォーマット・約250店舗を展開。

元薬剤師の女性経営者。
面白い外食産業だ。

外食産業は、
食品小売業の水先案内人である。
ずっと言い続けている。

協会のリーダーという面でも、
水先案内人になるに違いない。

〈結城義晴〉

2024年05月23日(木曜日)

「カスハラ対策」と万代カレッジ講義の「働く人たちの尊厳」

読売新聞の「社説」

「カスハラ対策」を取り上げた。
「働く人の尊厳をいかに守るか」

理不尽なクレーム。
「カスタマーハラスメント」
略して「カスハラ」

「商品やサービスへの不満を延々となじり、
土下座を強いるなどの行為が典型例だ」

「最近では、薬局で薬の購入を断られ、
店員らを『殺すぞ』と脅したり、
買った弁当に因縁をつけて
店員に暴行を加えたりして、
刑事事件に発展したケースもある」

「度を越す要求には、
警察に通報するなど
毅然と立ち向かうべきだ」。

連合の2022年の調査。
全体の4割が直近の5年間で、
「カスハラが増えた」と回答。

カスハラを受けて、
「出勤が憂鬱になった」が4割、
「心身に不調をきたした」も3割。

企業は、苦情を従業員個人に抱え込ませない。
これが重要だ。

対応策を出した2社。
ANAホールディングス。
「カスハラには2人以上で対応し、
相手の承諾を得て録音・録画を行う」
そんなマニュアルを作成した。

JR東日本。
「不合理または過剰なサービスの要求には
応じない方針を示している」

「各企業は、カスハラへの対処方法を
明確にすることが重要だ。
被害を受けた従業員の
相談窓口を設けることも欠かせない」

店長や現場に任せていてはいけない。
会社として方針を明確にして、
組織として対応する。

働く人の尊厳を守る。
これが何よりも大切なことだ。

今日は万代カレッジ。
正式名称は万代知識商人大学。
企業内大学として2016年に開校され、
今年は9期目。

その第2回講義。

㈱万代本社に隣接する会議棟。
この1階大ホールが講義会場だ。
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司会運営責任者は石川慎也さん。
人事部マネジャー。
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はじめに9期生のA班6名が、
先月の第1回講義のレポート発表。
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万代カレッジでは、
受講後にレポートを提出させる。

4月の講義は「ミッションマネジメント」だった。
何を学んだか、何を決意したか。
それを発表する。

今年は1年をかけて、
受講生32名全員が発表する。
楽しみだ。

第2回の講義テーマは、
「ヒューマンリソースマネジメント」

その第1講座は「ロジカルシンキング」
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講師は津田睦さん。
人事部マネジャー。
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津田さんはカレッジ1期生。
その後、ロジカルシンキングの講師を務めている。
スライドを用意して、実にわかりやすく、
論理的に講義を進める。
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2時間の講義は、素晴らしかった。
社内講師がこれだけの講義ができる。
講師自身も成長する。
企業内大学のメリットだ。
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第2講義は結城義晴。
講義テーマは、
「戦略的人的資源管理」
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いつものように、
6つのマネジメント体系を説明して、
そのなかにヒューマンリソースを位置づける。IMG_6165

人材マネジメント論の3段階の変化、
ヒューマンリソースマネジメント理論の変遷。
どうすればいいかを教える前に、
その意義を確認する。

そのためには歴史を学ぶのが一番いい。
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昼食休憩をはさんで、
第3講義は再び結城義晴。IMG_6187

日本の大企業やチェーンストアは、
現在の定石とは異なるマネジメント論を、
ベースにしている場合が多い。

根本の問題はそこにある。

その背景とその理由。
ここにヒューマンリソースマネジメントの、
問題解決の糸口がある。IMG_6189

アダム・スミスから、
フレデリック・テーラーへ。
アンリ・ファヨールへ。
そしてピーター・ドラッカーや、
ヘンリー・ミンツバーグへ。IMG_6191
のプロセスを学ぶことで初めて、
ヒューマンリソースマネジメントの本質を、
理解することができる。

第4講義は河野竜一取締役。
人事管掌。
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「人事労務管理について」がテーマ。
安全配慮義務、その労働環境対策と、
健康管理対策。
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リーダーに求められる労働時間管理、
安全衛生管理、そしてハラスメント対策。

難しいテーマをスライドを使って、
論理的にわかりやすく講義してくれる。
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毎年河野さんの講義は聞いているが、
いつも感心する。IMG_E6205

万代人事部の二人が担当した講義。
とても良かった。

第5講義、最後のまとめは結城義晴。
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ピーター・ドラッカーのマネジメントのエッセンス。
マネジメントの役割、
組織づくり、
仕事と労働、
自己管理による目標管理。

さらにコミュニケーションと、
リーダーシップ論。IMG_6212

最後はケン・ブランチャード。
リーダーシップの方法。
今日は4時間の講義。
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声は出た。
咳はでなかった。IMG_6225

ずいぶん体調が戻っている。
ありがたい。

講義の締めくくりは、
阿部秀行社長の訓示。
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すべての講義を見守ってくれた和久正樹取締役と、
三人で写真。
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講義が終わると、
夜は9期生との懇親会。
布施駅近くの居酒屋。IMG_6255

コロナ下で4年間、懇親会は中止していた。
やっと交流することができた。
取締役の吉田秀史さんも駆けつけてくれた。
生鮮部管掌。
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楽しい交流が終わると、
店の前で全員で大阪締め。
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そして腕を組んで全員写真。
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万代知識商人大学第9期。

「働く人たちの尊厳」こそが、
もっとも大切なものだ。

〈結城義晴〉

2024年05月22日(水曜日)

成城石井社長交代と伊藤園陳列コンテスト・万代大学前夜夕食会

㈱成城石井の社長が交代する。

商人舎流通SuperNews。
成城石井news|
後藤勝基氏社長就任/ローソン竹増社長が会長に

営業収益は大台の1000億円を達成。
生え抜きの原昭彦社長は退任する。

大久保恒夫さんの後を受けて、
2010年から現在まで、
親会社がくるくる変わった同社を、
精神的にも営業的にも支え続け、
成長させ続けた。
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新社長は後藤勝基さん、51歳。
コミュニケーション本部本部長代行、
兼マーケティング部長。
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三菱商事㈱から㈱ライフコーポレーション、
さらに英国の食品メーカー「Princes」などに出向。
商事の中ではもっとも、
食品分野とスーパーマーケットに強い。

私もヨーロッパ研修やアヌーガなどで、
大いに世話になった。
懐かしい。
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竹増貞信ローソン代表取締役社長が、
成城石井の取締役会長を兼任するが、
さらに三菱商事色が強くなる。

原昭彦さんは56歳。
コーネル大学RMPジャパン「奇跡の第2期生」。
まさに成城石井の奇跡を起こした。
まだまだこれからだ。

私が㈱商業界を辞したのが55歳だった。

原さんを応援しよう。
ひとまずはお疲れ様でした。
これからです。

後藤さんも、
成城石井をよろしく頼みます。
あなたの双肩にかかっている。

今日の私は、
東京・清水橋の伊藤園本社へ。
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2024年春季お~いお茶陳列コンテスト、
その最終審査会。

いつもの地下会議室ではなく、
今日は上階の役員室。
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この春は2回に分けて、
陳列コンテストが開催された。
第1回が1月22日から2月29日まで、
第2回が3月4日から3月7日まで。
昨年以上の応募作品が寄せられた。

審査委員長の私と、
本庄大介社長、
本庄周介副社長、
神谷茂専務の伊藤園トップ3人、
松井康彦商人舎エグゼクティブプロデュサー、
そして月刊食品商業の三浦慶太編集長が、
各賞を選考する。
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司会は土井貴文さん。
伊藤園マーケティング本部販売促進部第六課長。
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会場のテーブルには各賞候補作品が、
ずらりと並べられている。
それらを審査員が丁寧に見て、
選んでいく。
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大介社長と結城義晴。
大介さんの大きな背中。
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この春は飲料メーカー各社が、
主力ブランドを一斉にリニューアルした。
そのなかで伊藤園が陳列コンテストを行った。
そして多くの応募があった。

参加してくれた企業の皆さんには、
審査委員長として感謝したい。
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得票数が拮抗していると、
皆が集まって議論する。
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いい作品ばかりで、審査が難しい。
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店舗賞のすべての賞が決まって、
伊藤園のスタッフが、
応募作品を片づけていく。IMG_6117

そのあと企業賞を決めて、
最後に審査員各自が総評を述べる。

最後の最後は雑誌掲載用写真撮影。
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私の右隣は本庄大介社長、
本庄周介副社長、神谷茂専務。
左隣が松井康彦さん、三浦慶太さん。
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最後は恒例のスタッフ全員が揃っての記念写真。
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今回も力作、秀作が揃いました。
発表を楽しみにしてください。

大谷翔平がグローバルアンバサダーとなって、
伊藤園の社内には活力があふれる。

陳列コンテストが終わると、
私は急ぎ品川駅へ。
新幹線のぞみに飛び乗り、
大阪・上本町へ向かう。

明日23日は万代知識商人大学。
9期の第2回講義だ。

前夜にいつも講師陣との会食がある。
近鉄百貨店の「美濃吉」。IMG_6130

美濃吉らしいおいしい食事をいただきながら、
アメリカの動静や日本全体の食品小売業、
そして大阪マーケットの情勢などを語り合った。
さらに万代の取り組み、課題などを聞いて、
私の見方や考え方を話した。IMG_6134

左から和久正樹取締役店舗運営担当、
河野竜一取締役人事担当、
そして津田睦人事部マネジャー。

第2回講座は、
ヒューマンリソースマネジメント。

和久さんが総括講話、
河野さんは労務管理問題、
津田さんはロジカルシンキング。
それぞれ講義してくれる。

企業内大学はトップや幹部が講義する。
それが何よりいい教育になる。

会社は変わらねばならない。
トップも変わり、幹部が変わり、
社員自身も変わる。

「自ら、変われ!」

立場や役割は変わるものだし、
そのために自分自身も変わる。

原昭彦。
変わることこそ、
喜びだ。

頑張れ。

〈結城義晴〉

2024年05月21日(火曜日)

井上淳の「窮屈な世界」と伸びる惣菜の「本当の危機」

イラン・イスラム共和国大統領。
セイエド・エブラヒーム・ライシ、63歳。
ヘリコプターの墜落によって死亡した。

こんなことが起こるのか。
一国のトップの墜落死。

イランに対して米国は経済制裁をしている。
物価は急上昇し、国民は生活苦境に陥っている。

そんな社会不安が募る中での大統領の死。

1979年、アヤトラ・ホメイニ師によって、
イラン革命が成就した。

皇帝による王政は廃されて、
宗教上の最高指導者が、
国の最高権力をもつ体制になった。

しかしそのイランのサッカー代表チームは、
現在、FIFAランキング世界第20位。

24位のジャパンの上にあって、
アジアナンバー1。

私たちから見ると、
不思議な国だ。

アランの「定義集」で、
[宗教]に関してアランは言う。
「宗教は哲学ではない。
それは一つの歴史なのだ」

宗教が支配する国。
宗教がリードする国。

私たちはその歴史を、
認めなくてはならない。

今日は1日、横浜商人舎オフィス。
井上淳(あつし)さんが訪ねてくださった。
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日本チェーンストア協会副会長を、
先週の総会で退任されて、
今はサポート企画ラボ代表、
開志専門職大学客員教授。

井上さんは2008年7月から、
2024年5月まで16年間、
日本チェーンストア協会の専務理事・副会長だった。

東京大学法学部卒業後、
通商産業省(当時)に入省し、
流通、消費者保護から、
エネルギー、経済協力、貿易金融、
中小企業振興などまで、
幅広く行政分野に携わった。

その後、チェーンストア協会に転じて、
協会運営の中枢を担った。

その間に東日本大震災があった。
COVID-19パンデミックも起こった。

大変な時代だった。

ライフコーポレーションの故清水信次さん、
カスミの小濵裕正さんなど、
専務理事として支えた会長の話に花が咲いた。
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月刊商人舎2022年7月号には、
特集の中に登場してもらった。
井上淳の独白
時代の「八方ふさがり」と転換期のチェーンストア
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井上さんの現在の時代の見方。
「今、流通業にとって、
窮屈な世界になりつつある」

自由にやれる環境が広がるかのように見えるが、
じわじわと選択肢は狭まっている。

同感だ。

こんな時代だからこそ、
井上さんのキャリアと見識は、
まだまだ産業にお役立ちするに違いない。
その機会はあるだろう。
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ひとまず、言っておこう。
お疲れさまでした。

さて商人舎流通SuperNews。
日本惣菜協会news|
2023年度惣菜市場11兆円/食品スーパーがシェア伸ばす

一般社団法人日本惣菜協会の調査。
2023年度の惣菜市場規模は10兆9827億円。
前年比104.9%で伸びている。
11兆円が目前となった。

コロナ前の2019年に比べても、
106.4%で完全復調。

業態別の構成比では、
トップはコンビニの3兆4631億円、
構成比31.5%。
二番目がスーパーマーケット、
3兆2586億円で29.7%。
三番手が惣菜専門店で、
2兆9426億円、26.8%。

しかし伸び率は、
スーパーマーケットが105.7%、
コンビニ105.6%、
総合スーパー104.4%。

わかる。

調査は100 社、6万8683店。

「2024年版惣菜白書」の巻頭言にある。
「コロナ禍で巣ごもり消費が増え、
ライフスタイルが大きく変化した。
消費者も賢くなっている。
中食も外食も進化しないと、
以前のままでは選ばれない。
大きな変化はビッグチャンスでもある」

しかし月刊商人舎5月号。
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惣菜マーチャンダイジング第一人者の「大警告」
惣菜の本当の危機
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林廣美の警告。
「売上げが小さい時の惣菜は、
値入れが大きいから儲かる商品でした」

「しかし世の中が惣菜ブームと化した今では、
値入れがあるから少々のロスは気にせずに
大きな売場をつくり、
『最後は半額にして残ったら捨てればいい』
という商売道に反した売場に
なってしまっています」

「近い将来、このしっぺ返しが来ることを
私は心配しています」

「『酸化』がこのしっぺ返しを早める
導火線になっていることを
知ってほしいと思います」

ここでも人間万事塞翁が馬。
いいことが起こると、
それが原因となって悪いことが起こる。

惣菜の原理をこそ、知らねばならない。

〈結城義晴〉

2024年05月20日(月曜日)

「’24紀文正月フォーラム」と尾﨑英雄チェーンストア協会長登場

Everyone, Good Monday!
[2024vol㉑]

2024年第21週。
5月の第4週。

今日は雨。

出社するときに道端の木の葉に、
雨粒が残っていた。
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自然は美しい。
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芸術的な雨粒の残り方。
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「天気の悪い時にはいい顔をせよ」
アランは教えてくれている。
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しかしそんなことも考える必要はない。
観察する気があれば悪い天気の中でも、
美しいものを見ることができる。

今日は講義のテキストづくり。

夕方、㈱紀文食品の面々が来社。

紀文正月フォーラムの打ち合わせ。
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高柳謙一郎さんと堀内慎也さん、
そして、丸山綾奈さん。IMG_6062

恒例の紀文正月フォーラム。
「業界の風物詩」

今年の開催は8月28日と29日。
必ず水曜日と木曜日。
場所はいつも東京・東銀座の時事通信ホール。

その打ち合わせ。

高柳さん(中)は営業企画部部長、
丸山さん(右)は営業企画部員で管理栄養士。
堀内さん(左)は事業企画室正月ユニット部部長だった。

「一年を二十日で暮らすよい男」
江戸時代の相撲取りを皮肉った川柳。
江戸の定場所は春と秋の二場所だった。
しかも場所は10日興行だった。
だから「二十日で暮らす」

堀内さんは正月専任部長だった。
いわば1年を正月で暮らすよい男。
それだけ紀文は年末年始に力を入れていた。

しかしこのたび、
マーケティング本部マーケティング部長に就任。
もちろん正月担当でもあって、
営業企画部長の高柳さんと二人三脚。

紀文のマーケティング本部長は、
堤裕代表取締役社長。

堤さんは慶応義塾大学の村田昭二ゼミ出身で、
村田先生から直々にマーケティングの神髄を学んだ。

紀文食品全体が歴史的に、
マーケティングカンパニーである。

高柳さんから、
今年度の方針が出され、
堀内さんからは、
提案の骨子が説明された。

私が講演で語ろうと思っていたことと、
見事に一致した。

今年の年末年始商戦は、
完全なコロナ明け後で、
しかも円安不況の中の一大商戦だ。

豊富な情報と的確な分析を提示し、
そのうえで決定的な方針を出す。

ご期待ください。
今から予定を入れておいてください。

さて商人舎流通SuperNews。
日本チェーンストア協会news|
5/17尾﨑英雄フジ会長が新会長に正式就任

第25代日本チェーンストア協会会長に、
尾﨑英雄さんが就任した。
㈱フジ代表取締役会長。

おめでたいし、大いに期待したい。
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尾﨑さんは1951年8月27日生まれ。
私の一つ先輩。

1976年3月にフジに入社したプロパー。
順調にチェーンストアを学び、実績を積んで、
2001年5月、取締役、
2005年4月、取締役常務執行役員、
2006年5月、代表取締役専務執行役員。
そして2006年7月、代表取締役社長、
2018年5月、代表取締役会長兼CEO。

2021年12月にはイオン㈱のもと、
フジとマックスバリュ西日本が経営統合に合意し、
今年2024年3月1日に、
フジを存続会社として、
マックスバリュ西日本を吸収合併した。

大仕事を終えて休む間もなく、
日本チェーンストア協会会長に就任。

実にエネルギッシュな仕事ぶりだ。

そのチェーンストア協会は、
初代会長がダイエーの故中内㓛さん。
二代目会長は当時のジャスコの岡田卓也さん、
三代目はイトーヨーカ堂の故伊藤雅俊さん。
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その後、イトーヨーカ堂からは、
鈴木敏文さん、亀井淳さん、三枝富博さん。
ジャスコからは二木英徳さんと岡田元也さん、
ユニーからは西川俊男さんと佐々木孝治さん、
西友からは高丘季昭さんと渡辺紀征さん、
ニチイ時代とマイカル時代の小林敏峯さん。

東急ストアからは中原功さんと川島宏さん、
さらに小川信行さん。
ライフコーポレーションの清水信次さん、
イズミヤの林紀男さん。

関東・関西・中京のビッグチェーンのトップが、
日本チェーンストア協会の会長を務めてきた。

例外はカスミの小濵裕正さんと、
今回のフジの尾﨑さん。

小濵さんは「らしい」会長であったし、
堂々たる協会運営だった。

尾﨑さんは初めての、
地方からの会長就任だ。

地方創生をはじめとして、
円安不況の中のチェーンストアの在り方など、
課題は多い。

そしてチェーンストアの責務は重い。

日本チェーンストア協会の目的は、
「チェーンストアの
健全な発展と普及を図ることにより、
小売業の経営の改善を通じて、
わが国流通機構の合理化、
近代化を促進するとともに、
国民生活の向上に寄与する」

先輩に向かってまことに僭越ながら、
尾﨑英雄でなければできないことを、
やっていただきたいと思う。

いい時期の、いい会長の登場である。
みんなで応援していきたいものだ。

では、みなさん、今週も、
エネルギッシュな仕事を。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2024年05月19日(日曜日)

「心は燃やせ、頭は冷やせ」の「オプチミズムとペシミズム」

何かの機会があって、
自分のブログを検索する。

みなさんもぜひ、
やってみてください。

この商人舎公式ホームページの、
タイトルの下の横長の□のところ。
[検索]と薄い文字が入っている。

検索しやすいようにと、
結構大きなスペースをとってある。

ここに単語を打ち込む。
できれば二つくらい。
あるいは三つくらい。

そうすると、
その二つや三つの言葉を使った投稿記事が、
ずらりと出てくる。

読んでみると面白い。

現在の時点で6622のブログがある。

あと9年ちょっとで大台の1万になる。
80歳のときだ。

それまでは書き続ける。

さてウォルマートの記事を探していたら、
2016年12月1日のブログに行きついた。

『パリはわが町』という本。
ロジェ・グルニエ著、2016年10月刊。
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発刊元のみすず書房は、
いい出版社だ。

哲学、科学、心理学、社会学、
それに現代史、西洋史などの専門書を発刊。
学術出版社のジャンルに入る。

出版界のマーケットニッチャーだ。

資本金1500万円で、
2023年2月期の売上高6億2000万円。
従業員28名。

㈱商業界よりもずっと小さな出版社だが、
頑張って経営を維持している。

創業は1947年。
創業者の小尾俊人(おびとしと)は、
大東亜戦争から復員して、
「出版社か農業をやろう」と考えた。
そうして最終的に出版社を設立した。

そのみすず書房発刊のグルニエの本。

グルニエは、
フランスのジャーナリストで作家だ。
第2次大戦中には、
パリ解放のレジスタンス活動に身を委ねて、
英雄的な働きをした。

あるインタビューに答えて語った。
「小さなことについては
オプチミスト、

大きなことについては
ペシミスト」

オプチミストは楽観主義者、
ペシミストは悲観主義者。

小さなことは楽観する、
大きなことは悲観する。

これは革命家の心構えだというが、
着眼大局・着手小局の極意に通じる。

先週木曜日の日経新聞「大機小機」
タイトルは、
「冷静な頭脳と温かい心」
コラムニストは九転十起氏。
学者だろうか。

「国内の消費が振るわない。
国内総生産(GDP)の実質個人消費は
3四半期連続でマイナス、
家計調査による消費支出は
実質で13カ月連続のマイナスである」

悲観的な材料がそろう。

「背景にあるのは物価高だ。
相次ぐ値上げによる”値上げ疲れ”が、
消費者の買い控えや節約志向につながっている」

同感だ。

月刊商人舎5月号では、
「円安不況」と表現して、警告を発した。
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実質賃金は3月まで24カ月連続でマイナス。

今年の春闘で連合のベアは全体で3.57%、
中小組合でも3%を超えてきた。

「しかし、昨年の春闘も、
30年ぶりの高い賃上げ率だったはずだ」

連合の最終集計ベアは2%強だった。
一方、毎月勤労統計の所定内給与は、
パートも含めた全体の平均では1.4%増。

今年の上昇率は、
「前年比で3%に達するかどうか」

「物価上昇にやっと追いつく程度だ。
消費者がインフレを上回る賃金増を感じるには
ほど遠いだろう」

そこでコラムニストの専門の、
日銀の金融政策。

「緩和的な金融環境を維持し、
企業・家計のマインド悪化と
景気の腰折れを防ぐというのが
最善策であろう」

「それにもかかわらず、
年内の利上げが既定路線のように議論されている」

「データは大事だがあくまで数字でしかない。
より重要なのは国民生活の実態だ」

同感だ。

ここでアルフレッド・マーシャルの有名な言葉。
近代経済学の祖にしてメイナード・ケインズの師匠。
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マーシャルはロンドンの貧民街を歩き、
困窮する人々のために
経済学を役立てるべきだと主張した。

そしてそのために、
「冷静な頭脳と温かい心」が必要だと説いた。
「Cool head but warm heart」

マーシャルから直接ヒントを得たわけではないが、
私は商業界の社長を退任した2007年から、
同じような言葉を自分の標語にしている。

「心は燃やせ、頭は冷やせ」

九転十起氏。
「経済学者をトップに頂く日銀は、
今こそ冷静な頭脳と温かい心で
我が国の現状を分析し、
臨機応変に対応する柔軟さが必要だ」

そしてこの際、大切なのは、
グルニエの言葉だと思う。
「小さなことにはオプチミスト、
大きなことにはペシミスト」

よろしく頼みます。
植田さん。

今の小売業や製造業の経営にも当てはまる。
いや、現場をもつ者にとってはもともと、
この心構えが必須なのだ。

〈結城義晴〉

2024年05月18日(土曜日)

アラン「上機嫌療法」の「悪い天気の日にはいい顔をせよ」

朝はゆっくり起きて、
ゆったりと過ごす。
昼ごろには午睡、
3時過ぎにはまた夕寝した。

よく眠ることができる。

少しずつ自分の心身が治癒していくのがわかる。

作家の宇野千代。
若いころは個性的できれいだった。
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1996年に98歳で没した。
恋多き女流作家だった。

後輩の瀬戸内寂聴にたびたび、
アランの言葉が好きだと言っていた。

寂聴がそれを弔辞で披露した。

「世にも幸福な人間とは、
やりかけた仕事に基づいてのみ
考えを進めていく人であろう」

やりかけた仕事があること。
日々、それだけに集中して、
さまざまな考えを進めていくこと。

今の私も同じ状況にある。
だからアランと宇野千代に共感した。

『定義集』で著名なアラン。
エミール・オーギュスト・シャルティエ。
「20世紀のソクラテス」と称された。
フランスの哲学者。

アランはペンネーム。

そのアランの『幸福論』
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訳者が串田孫一と中村雄二郎という、
贅沢な本だ。

串田は詩人、随筆家。
中村はパスカルの研究者で哲学者。

「仕事というものが、
心を楽しませる唯一のものであり、
それだけで十分である」

本当にそう思う。

例証として使われるのは、
ドストエフスキー『死の家の記録』
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徒刑囚たちは労働している。
その仕事はおよそ無益なものである。

なんの期待もなく働いているかぎり、
彼らは怠け者で、もの悲しく、不器用である。

だが一日がかりの仕事、
つらく困難な仕事を与えると、
たちまち彼らは器用で、巧妙で、陽気になる。

ドストエフスキーがシベリア流刑された時の、
四年間にわたる獄中の体験と見聞の記録。

「役に立つ仕事はそれ自体楽しみである。
それ自体なのであって、
そこから引き出す利益によってではない」

「人間的な楽しみの最大のものは、
協働でやる困難で自由な仕事であることは
まちがいない」

だからウォルマートは、
テレワークを廃止し、対面での仕事に変える。

CEOダグ・マクミロンは言う。
「対面で集まることで
協力やイノベーション、
迅速な意思決定がしやすくなる」
Photo by Iron Lotus Creative / Stephen Ironside

「協働」や「協力」が、
仕事そのものをより楽しいものにする。

アラン。
「私のいう仕事とは、
力の結果であると同時に、
力の源泉でもある、
自由な仕事のことである」

「繰り返して言うが、
いやいやながらがまんするのではなく、
行動することである」

これにも同感。

アランのお薦め。
「ぐっすり眠って、
よく食べよ」

私は今、そうしている。

アランの「上機嫌療法」
「呪いの言葉でも言いたくなるような
すべての不運や、
取りわけてつまらぬ物事に対して、
上機嫌にふるまうこと」

だから教える。
「悪い天気の日には、
いい顔をすること」

「笑うのは幸福だからではない。
むしろ、笑うから幸福なのだ」

アランの上機嫌療法。
今日はこれだけで幸せだ。

〈結城義晴〉

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