東京新聞の巻頭コラム、
「筆洗」
「教室の花瓶が割れたとする。
学校でこの手の問題が起きた場合、
担任の先生がクラス全員に目をつむらせて
割った者に手を挙げさせる」
昔はよくあった。
「今ではコントのネタだろう」
自動車・二輪車メーカーの、
「型式指定」を巡る不正申請。
「不正を行っていたのは誰ですか」
この問いかけにあの子も、この子も、
次々と手を挙げる。
昨年発覚したのが、
ダイハツ工業と豊田自動織機の不正。
国土交通省の調査に対して、
新たに5社が「実はうちも」と不正を認めた。
「成績優秀」、「不正はない」と、
胸を張っていた「トヨタ君」も、
申し訳なさそうに手を挙げた。
コラム。
「これで国内すべての乗用車メーカーが
品質不正をしていたことになる」
損得より先に善悪を考えよう。
倉本長治は真っ先に教えた。
それを真っ先に学ぶのが、
商人舎Middle Management研修会。
その2日目。
私たちの研修会場は、
茶色の壁面の会議棟。
その2階の大観の間。
青空の下、朝の散策でもしたいところだが、
受講生はそれどころではない。
第1回理解度判定テストが控えている。
研修初日に受講した講義内容から、
設問が設けられている。
結城義晴と鈴木哲男講師の講義は、
内容も分量も多い。
そこから出される5つの設問に、
30分で答える。
すべてが記述式。
丸暗記するのではなく、
学んだことの本質を、
それぞれ自分の言葉で表現する。
前夜は遅くまで、
復習している姿があった。
健闘したと思う。
2日目の講義は長い。
朝9時から夜8時までの長丁場。
結城義晴と山本恭広講師が講義する。
山本君は月刊商人舎編集長。
私は6時間担当する。
朝9時から12時半までのテーマは、
「顧客満足と従業員満足」、
そして「知識商人と商業の現代化」。
重要な「マネジメント理論の歴史」。
回答を解説しながら、
講義になってしまう。
鈴木先生の「作演調」に対しては、
安土敏の例を持ち出して解説してしまう。
脱線や予定外の講義が増えていく。
それでも「Management理論の転換」を語り、
フレデリック・テイラーから、
アンリ・ファヨール、
そしてそれへの批判的研究群と、
ドラッカーとミンツバーグまで。
昼食を済ませた後、
午後1時半から15時45分までは山本講師。
「計数の基礎」を2講座担当。
基礎であるから商品問題と人件費問題。
商品回転率と交叉比率、
人時売上高と人時生産性。
コーヒータイムで一息つくと、
20時までは一気呵成に結城義晴の講義。
テーマはドラッカーの実践論とリーダシップ論。
最初に計数講義の補足。
簿記と会計と財務の違い。
損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)の原理。
そしてそのPLとBSの交叉。
それが総資本経常利益率(ROA)。
商品回転率だけを指標にしていると、
例えばディスカウントの特売が増えてくる。
そして粗利益がどんどん減ってくる。
だから超品回転率と粗利益率を交叉させて、
交叉比率を使う。
ROAはこの考え方と同じだ。
商品問題の交叉比率と、
経営数値の交叉比率。
計数の補講のあとは、
「ドラッカーの使い方」
ドラッカー独特の「責任の組織化」、
目標管理と自己管理。
コミュニケーション。
様々な事例を交えて、
ドラッカーの考え方を、
いかに実践するかを講義する。
夕方になると、
デール・カーネギーや、
ジョンマックスウェル。
たとえば、
「リーダーの致命的な七つの罪」
⑴尊敬を集めるよりも、好かれようとする
⑵チームのメンバーに助言や助力を求めない
⑶技量よりも規則を重視して、
個人の才能を殺してしまう
⑷常に建設的な批判を心がけようとしない
⑸チームのメンバーの間に、責任感を育てようとしない
⑹誰に対しても同じような手法で付き合う
⑺常に情報を知らせるという姿勢がない
夕方になるとケン・ブランチャード。
「4つのリーダーシップスタイル」
どのマネジメントスタイルかを聞いた。
援助型だと考えている人が圧倒的に多かった。
委任型はたった一人。
大事なことはマネジメントされる人たちの、
スキルレベルやモチベーションレベルに合わせて、
対応していくことだ。
最後はゴドフリー・レブハー。
名著『チェーンストア』のエッセンスと、
結城義晴の「五つの利」。
長時間の清聴を感謝して終わった。
夕食後の研修会場。
夜9時を過ぎると、
少しずつ受講生が集まってくる。
明日は第2回目の理解度判定テスト。
再びの健闘を祈ろう。
正しいことを学ぶ。
これは幸せなことだ。
(明日へ続く)
〈結城義晴〉