商人舎はデザインを大切にしています。
デザイナーはずっと七海真理さん、
アメリカで勉強して帰国した、
超一流のアーティスト。
最近はもうおひとり、
玉川昭子さんに加わっていただいた。
たとえばこのページ。
ヤオコー武蔵浦和店のページです。
いかがでしょう。
オレンジ色の床が映える。
ページデザインがそれを印象づける。
ポジショニングとは、
「とんがり★こだわり」である。
ドラッカーに言わせれば、
「何によって憶えられたいか?」
“What do you want to be remembered for?”
そう言うからには、
商人舎の表紙だって、誌面だって、
とんがり★こだわりでなければいけない。
かつては『販売革新』や『食品商業』を、
自分で編集していた。
そのころから言っていた。
「チェーンストアマンが持って歩いて、
電車の中で誌面を開いて読んでいても、
カッコよくて、誇れる雑誌にしたい」
現在の商人舎も変わりません。
COVID-19パンデミックによって、
施工が遅れていた。
しかし、
まるで「街」のような新本社。
日経新聞のニューヨーク特派員が報告した。
シリコンバレーのアップルの本社、
グーグルの本社。
シアトルのアマゾンの本社。
それらをスケールで圧倒している。
ウォルマートのオフィスはもちろん、
道路など都市インフラも整えられる。
何しろ田舎だ。
「アーカンソー州北西部ベントンビル」
記事。
「創業者のサム・ウォルトン氏が
1950年に開いた小さな食料品店
『ウォルトンズ』
これがウォルマートの始まりだ」
この表現は間違っている。
サムが始めたのは、
ベンフランクリンのフランチャイジー。
つまりバラエティストア。
ウォルトンズ・ファイブ&ダイムストア。
非食品雑貨のツーコインストアだ。
食料品店ならばグロサリーストアである。
業態が全然違う。
私はこういった点はうるさい。
一般記事に細かいことを言って、
御免なさい。
「それから70年あまり。
同社は売上高6480億ドル(約100兆円)、
従業員210万人の巨大企業に成長した」
新本社キャンパスは2025年末の完成予定。
総面積は130ヘクタール、東京ドーム28個分。
植栽が充実し、公園のような空間。
これはすでに報じられていた。
本社部門1万5000人の社員が、
全米から集められる。
3つの主要なオフィスビル、
もちろん十二分の駐車場、
納入業者との商談スペース。
アソシエーツ向けに、
レクリエーション施設は充実している。
プールは競泳用とファミリー用、
テニスコートは屋内だけで5面。
そしてキャンパスの中心にあるのが、
サム・ウォルトン・ホール。
新しいアメニティホール。
ここで大会議やイベントが展開される。
シンディ・マルシグリオ上級副社長。
「最高の人材をひき付けることが最大の目的」
創業家ウォルトン・ファミリーも寄付をした。
2億2500万ドル以上(3億3700万円)。
この新キャンパスは、
サム・ウォルトン一色といった印象だ。
ベントンビルの街は、
十数年前まで人口3万人程度だった。
それが22年には5万8000人まで増加。
特派員。
「西海岸のシリコンバレーのような雰囲気だ」
「25年末に人口100万人に達するとの予測もある」
アーカンソー州の州都はリトルロック市。
人口は20万2591人(2020年)で州内最大。
周辺を合わせた都市圏人口は約74万人。
それを超える州内第一の都市圏となる。
立派過ぎる本社は、
ウォルマートには似合わない。
ずっと、そう考えられてきた。
サムの根本哲学は質素倹約。
総資本の回転を上げる。
しかしこの新しいキャンパスは、
ウォルマートのポジショニングのためにある。
そしてサム・ウォルトンによって、
とんがり★こだわりを表現する限り、
ウォルマートの立ち位置は変わらない。
それを強く感じた。
イオンもイトーヨーカ堂も、
日本のチェーンストアも、
このとんがり★こだわりは、
見習うべきだと思う。
〈結城義晴〉