結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年07月11日(木曜日)

セブン&アイ第1四半期の「増収減益」と国際会計基準の統一

大阪出張から帰って、
商人舎オフィスで最新号を手に取る。

この瞬間が何とも言えない。
至福のときだ。
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その[Message of July]
一人は万人のために

“One for All, All for One”
「一人はみんなのために、みんなは一人のために」
アレクサンドル・デュマの「三銃士」の合言葉。

日本では石田三成の家紋。
「大一大万大吉」の意味は、
「万民が一人のために、一人が万民のために尽くす」

生協運動の祖・賀川豊彦。
コープこうべの前身の神戸購買組合をつくった。
「一人は万民のために、万民は一人のために」

ピーター・ドラッカーは、
2人以上の集団を「組織」と呼んだ。
これをマネジメントの基礎単位とした。

そしてマネジメントの型を示した。
トップマネジメントはテニスのダブルス型。
大勢の現場の場合はオーケストラ型。

このときにも基本は、
「1人は2人のために、2人は1人のために」
「One for All, All for One」

その根本精神は「利他」であると思う。
そしてさらに「無私」である。
自らを犠牲にして他者に幸せを供することだ。

商売の原点は利他と無私である。
顧客を第一にする考え方である。
それが不思議に組織の原則と同期している。

「One for All, All for One」
利他と無私。
一人は万人のために。

売場でも、店でも、会社でも。
産業でも、社会でも、国でも。
一人は、万人のために。
〈結城義晴〉
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日本スーパーマーケット協会設立25周年で、
パネルディスカッションを聞いていて、
ふっと思い浮かべたことを、
Messageにした。

デュマの「三銃士」では、
主人公のダルタニアンと三人の銃士が、
この合言葉で励まし合う。
un pour tous, tous pour un

それがラグビーの合言葉になって、
最近の日本で流行った。

さて今日は午後3時半から、
㈱セブン&アイ・ホールディングスの、
第1四半期決算オンライン記者会見。

これまでは電話会議だったが、
ZOOMが導入された。

しかしパソコンのZOOM画面には、
パワーポイントの画像が写っているだけ。
そして音声が聞こえる。
経営者の顔は映らない。

これは不親切だと思う。
いや、会社が損をしている。
人がある情報を語るとき、
その表情や態度は大事だ。

情報とコミュニケーション。
情報は論理の対象であり、
コミュニケーションは知覚の対象である。

その意味でセブン&アイのオンライン会見には、
情報はあるがコミュニケーションが不足している。

最後はこの画面になった。seven_ir01

その2025年2月期第1四半期決算。

商人舎流通スーパーニュース。
セブン&アイnews|
第1Q売上高2兆7348億円3.2%増・経常利益25.4%減

営業収益2兆7348億円、
前年同期比3.2%増。

営業利益593億円(27.6%減)、
経常利益550億円(25.4%減)、
親会社に帰属する当期利益214億円(49.3%減)。

増収減益。

セブン‐イレブン・ジャパン、
セブン‐イレブン・沖縄、
米国7-Eleven, Inc.、
コンビニ事業のグループ売上げは、
4兆2886億円(3.0%増)。

国内コンビニエンスストア事業の営業収益は、
2249億7900万円2250億円(1.8%減)、
営業利益は612億5400万円(4.4%減)。
既存店売上げは前年並み。
国内は停滞気味だ。

ただしチェーン全店売上高は1兆3270億円、
0.2%増。

海外コンビニエンスストア事業は、
営業収益2兆294億円(6.8%増)、
営業利益44億7300万円(78.7%減)。

海外コンビニの営業利益が激減した。

スーパーストア事業の営業収益は、
3592億3200万円(0.3%減)、
営業利益は21億5100万円(35.1%減)。

相変わらず。

㈱イトーヨーカ堂は、
昨2023年9月、㈱ヨークと合併して、
増収となったが、
営業損失は6億6200万円。

㈱ヨークベニマルは既存店が増収。
営業利益は43億8200万円で4.3%減だった。

通期の見込みは、
営業収益11兆2460億円(2.0%減)、
営業利益5450億円(2.0%増)、
経常利益5020億円(1.0%減)。
親会社に帰属する当期利益2930億円(30.4%増)。

たらればを考えるのは意味がないが、
もし米国コンビニを傘下にしていなければ、
今、セブン&アイはどうなっていたのだろう。

日経新聞一面トップ記事。
「国際会計基準、
『営業利益』ルール統一」

国際会計基準。
本業の儲けを示す「営業利益」の計算ルールが、
2027年度から統一される。
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考えてみれば当然のことだが、
これまで開示義務がなかった。
定義も厳格ではなかった。

略称は「IFRS」。
「イファース」あるいは「アイファース」という。
私は後者を使っている。

欧州連合(EU)が2005年度から、
EU内の上場企業に適用を義務づけた。
それ以降、世界に広がった。
現在は140以上の国と地域で義務化されている。

日本では東京証券取引所に上場する272社が採用。

東証上場企業は6月末段階で、
プライムが1644社、
スタンダードが1603社、
グロースが589社。

だから社数ベースでは10%未満がIFRS。

だが時価総額では5割になる。
大企業は国際企業だということだ。

新しいルールの「営業利益」の定義は、
「本業から得られる儲けを主体とする利益」。

それを12月期決算の企業は27年12月期から、
2月期、3月期決算企業は28年2月、3月期から、
強制適用される。

最も大きく変わるのは、
「持ち分法投資損益」の扱いだ。
すなわち持ち分法適用会社の利益を、
本体の営業利益に含めないことになる。

これまでは、
含める企業と含めない企業に分かれていた。
それが許されていた。

日本の上場企業では、
「収益認識に関する会計基準」が、
採用され始めている。

これもIFRSに準じた基準だ。

セブン&アイもイオンも、
いまのところ日本基準である。

ファーストリテイリングがIFRSだ。

基準を設け、ルールを統一することも、
“One for All, All for One”の第一歩である。

〈結城義晴〉

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