万代知識商人大学第9期。
その3回目の講義。
5月に第2回講義があった。
ヒューマンリソースマネジメント。
修了後、全員がレポートを提出する。
そのレポートの内容報告、
さらに実践結果の紹介、
取り組みへの決意などが発表された。
7月の講義テーマは、
「フィナンシャルマネジメント」
最初に先ほどのB班の報告の評価。
アルバート・メラビアンという米国の心理学者。
「メラビアンの法則」などと言われる。
フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションには、
三つの要素がある。
第1は言語的要素、
つまり話すことの内容。
第2は聴覚的要素で、
声のトーンや口調など。
第3は視覚的要素、
つまりボディーランゲージ。
第2と第3が非言語的要素だ。
メラビアンは調査を繰り返して、
これらの伝達における割合を調べた。
すると言葉の要素が7%、
聴覚的要素が38%、
ボディーランゲージは55%となった。
7‐38-55の原則である。
プレゼンテーションにおいても、
視覚的要素と聴覚的要素が大切だということ。
B班の発表でも、
それが出来ている者と出来ていない者、
両方がいた。
言語要素が7%というのは少なすぎるが、
コミュニケーションにおいては、
いつも視覚要素と聴覚要素を、
意識していなければならない。
それから講義に入る。
自著『メッセージ』から、
「数字はすきですか」。
それからフィナンシャルの3つの言葉の意味、
伊藤雅俊の「商人の才覚と算盤」、
岡田卓也の「見競(みくらべ)勘定」、
さらにウィークリーマネジメント。
数字には3つのタイプがある。
上げる数字、下げる数字、
そして一定に保つ数字。
1時間の講義だが、
フィナンシャルマネジメントの
戦略的な意義づけを解説した。
財務諸表のB/S、P/L、C/Fの基本と、
その分析についての講義だ。
B/Sは貸借対照表、
P/Lは損益計算書、
C/Fはキャッシュフロー計算書。
詳細で豊富な圧巻のデータを用意してくれた。
これらのデータをもとに、
フィナンシャルマネジメントの基本を講義し、
スーパーマーケット産業における、
万代の経営数値的なポジショニングと、
経営の実際を明らかにしていく。
ありがとうございました。
昼食をはさんで、
午後の第4講義は再び結城義晴。
損益計算書と貸借対照表の基本、
それらの関係性と循環の拡大生産の意味。
商売の原則「実地棚卸し」の重要性、
ピーター・ドラッカーの利益の考え方、
経営数値・経営尺度などなど。
日米のチェーンストアの経営数値を挙げながら、
2時間の講義。
私は現場の改革につなげる視点から、
総資本経常利益率(ROA)を重視している。
これは故川崎進一先生や故渥美俊一先生から、
しっかりと受け継ぐ思想だ。
BSとPLの重要指標をクロスして、
一つの指標にするとROAとなる。
Return on Assetである。
そして第5講義は小宮秀友さん。
テーマは「管理職が管理すべき数値について」。
万代伊丹荒巻店店長。
一番店をさらに伸ばし、全店を牽引する、
部長店長でもある。
エリアマネジャーなどを歴任して、
フラッグショップ店長となった。
そして万代大学第3期生だ。
店舗経営者である店長として、
予算の考え方、
コスト削減と利益の確保、
人件費コントロール、
ロス削減などを、
具体的な数値を示しながら講義。
9期生たちはすぐに役立つ、身近な内容に、
熱心に聞き入った。
フィナンシャルマネジメントを、
しっかり身に着けて、
「数字を変える」ことに邁進してほしい。
すべての講義が終わると、
和久正樹取締役の講評。
和久さんは店舗運営管掌。
わかりやすくて的確な講話だった。
総資本の回転をパチンコに譬えた。
これは秀逸だった。
一番最後に、
昨日の土用丑の日の対応を語った。
日本のスーパーマーケット全体に、
同じような現象が発生した。
午後4時段階で鰻の売れ行きが芳しくなかった。
暑さの影響も大きかっただろう。
「今日は負けか?」と考えた人も多かった。
和久さんは全店の水産チーフに、
シフト替えして、
最後まで店に残るように指示した。
そして「部門で一番人件費の高い人間」が、
夕方に「負け」を小さくする仕事を、
してはいけないと言った。
つまり「見切り」をしてはいけない。
チーフの力量を発揮して、
最後の売込みに専念せよ。
夕方、涼しくなってから、
顧客が押し寄せ、どんどん売れた。
その時にチーフたちが、
全力を挙げて売りまくった。
万代のチーフたちの力量が活きた。
それが万代の土用一の丑商戦の成果となった。
いつも感心させられる。
ありがとう。
昨日24日と今日25日は大阪天満宮の天神祭。
フィナーレの今日は「奉納花火」が行われる。
約100隻の大船団のかがり火と、
3000発の花火が夜を彩る。
天神界隈は交通規制。
新大阪に向かうタクシーから
川面に浮かぶ船の様子が見えた。
万代知識商人大学第9期。
「数字を変える」喜びを知ってほしい。
それが願いだ。
〈結城義晴〉