年寄りの病気自慢。
その心理。
労(いた)わってほしい。
頑張っている自分をアピールしたい。
ほかのことで失敗などしても許してほしい。
達観しているところを見せたい。
いろいろ考えられる。
私は病気自慢などしたくない。
午前中は来年のことを考えて、
レジュメをつくった。
着眼大局のときには、
PEST分析を使う。
特別に意識しなくとも、
自然にそうなる。
PESTのPはPolitical。
そう、政治の分析。
日本では自民党も立憲民主党も、
総裁や代表が変わる。
アメリカでは大統領が変わる。
それがどんな影響を与えるか。
PESTのEはEconomics。
経済の動き。
円安が進み、株価は乱高下を繰り返す。
国の経済状態、産業、企業の経済はどうか。
PESTのSはSociety。
社会の動静、人々の心理。
コロナ禍は脱したが、
国民は需要と消費に積極的か。
そしてPESTのTはTechnology。
それらの問題を解決する技術革新は起こっているか。
革新された技術を上手に使っているか。
そんなことを考えつつ、
さらに消費産業、流通業の2025年を、
見通してみる。
難しい。
午後2時ごろ、東京駅に向かう。
大気は暑いけれど、雲は秋模様。
いつもの大手町プレイスタワー。
その大手町プレイス内科。
田嶼尚子医院長。
毎月の血液と尿の検査、
血圧検査、身長・体重測定。
そして数値を見ながらの診察。
尿酸値は4.8まで下がっている。
ビールもそこそこに飲める。
中性脂肪も血糖値も安定している。
血糖値は98だった。
肝心のヘモグロビンA1cは、
今回も6.2。
血糖値の低い状態が続くと、
ヘモグロビンA1cの比率が低くなる。
血糖値の高い状態が続くと、
ヘモグロビンA1cは高くなる。
ヘモグロビンA1cは一定期間の実績。
成人の平均は4%から6.2%。
高齢者は6.5%や6.8%ならば合格だと、
田嶼先生は言う。
けれど私は2カ月連続で6.2。
病気自慢ではなくて、
健康自慢になってしまうかもしれないが、
体調はいつも科学的に追及する。
そして精神的にも追い込まれないように。
私はもともと楽観的だ。
それが自分の特長だと考えている。
悲観的にはならない。
いや、悲観的な期間があっても、
それを最短で乗り切る。
けれど科学的、分析的でありつつ、
楽観的でありたいと思っている。
診察を受けて、
トモズで薬を手に入れて、
タワーのスタバでゆっくりとお茶を飲んで。
それから銀座へ。
銀座ろくさん亭。
大切な懇談会。
とても著名なお二人だが、
なんと直接会ったことはないという。
そのお二人を引き合わせて、
経営の神髄にかかわる話をした。
とてもいい時間だった。
食事が終わると解散。
私は銀ブラをして、
ユニクロに行った。
しかしマンハッタン五番街の店よりも、
ずっと小さい、
ロンドンのユニクロ、
パリのユニクロ、
ミラノのユニクロ、
上海のユニクロ。
いずれも素晴らしい。
そしてキッズのマネキン。
「わあ、かわいい!!」と、
思わず近づいてしまう商品と演出。
それがなければならない。
1階で写真。
満足げな顔つきです。
外国からの顧客が、
圧倒的に多い。
日本のユニクロ。
円安によって超お買い得の店になっている。
さて日経新聞電子版。
田中陽編集委員の記事。
セブン&アイにやってきた
真夏の「幽霊」の正体
「お盆が過ぎたというのに、
まだ俗世で彷徨(さまよ)っている
『幽霊』がいるのか」
文章家の記事はタイトルと掴みがいい。
田中さんはもちろんそれが巧みだ。
「北米を地盤に展開するコンビニチェーンが19日、
セブン&アイ・ホールディングスに対して
買収を提案したニュースを知った
率直な感想だった」
「なぜ、日本最大の流通企業に
食指を動かす相手を
『幽霊』と名付けたのか」
「キーワードは『サークルK』だ」
セブン&アイに買収を提案したのが、
アリマンタシォン・クシュタール(ACT)」
そのコンビニ店舗の看板は、
1990年に破綻した「サークルK」である。
日本のサークルKは、
ユニーが運営していた。
ローソンはダイエー、
セブン-イレブンはイトーヨーカ堂。
サークルKは、
サンクスやファミリーマートとの統合を経て、
2018年にその看板は姿を消した。
「そんなサークルKが再び、
消費者、投資家の関心を集める存在として
真夏のニッポンに現れた」
それを田中さんは「幽霊」と表現した。
ACTは、
「コンビニ業界で全米No.1になる夢を実現しようと
友好的買収として秋波を送るが、
当のセブン&アイにとっては悪夢に違いない」
その通り。
この後の詳細は原文を読んでほしい。
勉強になります。
結論。
「ACTによる今回の買収は成就するだろうか」
欧州の投資銀行の日本法人の首脳の断言。
「現金による買収しか成功の道はないだろう」
それもない、と私は思う。
米国の独占禁止法に触れる可能性もある。
今から20年前、
米セブン-イレブンの実質的な責任者で、
破綻から再建までを見守った鎌田誠晧氏。
「アメリカで生まれたセブン-イレブンは、
アメリカにお返しした方がいいかもしれない。
小売業は地場産業だから」
ん~、今のセブン-イレブンは、
バナーと原点的コンセプトだけはあちら製で、
中身は完全日本製だ。
返す必要などない。
田中陽さんの最後の一言。
「揺さぶられるセブン&アイ。
寝苦しい夜は続く」
2000年にカルフールが日本に上陸した。
私は取締役販売革新編集長だった。
その店を見て特集を組んだ。
タイトルは、
「正体見たり枯れ尾花」
科学的、分析的で、
なおかつ楽観的であれば、
ぐっすり眠れるはずだ。
〈結城義晴〉