結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年09月16日(月曜日)

敬老の日の「人生は楽ではない・しかしそこが面白い」

Everyone, Good Monday!
[2024vol㊳]

2024年第38週。
9月第3週。

その第3月曜日は、
敬老の日の祝日。

太平洋戦争の敗戦から三年目の秋に、
兵庫県多可町が「としよりの日」を設けた。

それが国民の祝日となった。

今年、65歳以上の高齢者は3625万人。
最多記録が更新された。

朝日新聞「天声人語」
武者小路実篤を引用した。

雨が降った
それもいいだろう
本が読める

有名な言葉だ。
私は中学から高校のころ、
武者小路に嵌(はま)った。

「友情」「愛と死」「お目出たき人」、
「真理先生」「武者小路実篤詩集」など、
新潮文庫のほとんどを読み漁った。

私は勝手に「武者先生」と呼んで尊敬した。

学習院中等科で志賀直哉と親友になり、
東京帝国大学を卒業すると、
文学同人誌『白樺』を創刊した。
有島武郎、里見弴(とん)、柳宗悦なども誘って、
「白樺派」をつくった。

人道主義、理想主義を標榜し、
自ら理想郷「新しき村」を設立した。
自給自足の理想的な村の実践運動である。
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そして92歳まで生きた。

私ももうじき
満八十五歳になる。

よくも生きていたものと思う
生きている事は嬉しいものだ
死ぬ事はいやなものだ

米寿を過ぎたころからは、
耳が遠くなり、手の震えも目立った。
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それでも創作を続け、
死去の半年前、こう記した。

わたしはまだ生きている
本気になって生きている
嘘をついて生きてみたいとは思わない
真から本気になって生きてみたい

人生は楽ではない
そこが面白いとまあしておく
人生は楽ではない

人生は楽ではないから、
武者小路実篤は、
迷走し続けた。

そしてその迷走を、
率直に作品にした。

幸せな人だった。

私はその後、「白樺派」を卒業し、
「無頼派」に傾倒した。
とりわけ坂口安吾に。

一方、天声人語は、
ジャン・ジャック・ルソーを思い出す。
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その『エミール』から。
「もっとも多く生きた人間は、
もっとも多く年をかさねたものではなく、
もっとも多く生を感じたものである」

コラム子。
「生と死を考え続けた先達たちの姿は
力強く、そこはかとなく美しい。
彼らの大いなる励ましを受けつつ、
自らの老いもまた、
しずかに見つめてみたい一日である」

私も静かに一日を過ごした。

人生も仕事も楽ではない。
しかしそこが面白い。

この「楽ではない面白さ」こそ、
ルソーの言う「生を感じる」ことだ。

三連休の成果は上がったのだろうか。
仕事は楽ではない。
しかしそこが面白い。

彫刻家の平櫛田中。
「今日もお仕事、
おまんまうまいよ」

このあとの続き。
「びんぼうごくらく、
ながいきするよ」

楽な仕事は面白くはない。
生を感じることもできない。

では、みなさん、今週も、
生を感じたい。

Good Monday!

〈結城義晴〉

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