寒露です。
今日の関東地方は雨で、
余計に寒露を実感させてくれます。
膝の痛み訴へて来し寒露かな
〈村越化石〉
村越化石(むらこし かせき)は、
「魂の俳人」と称された。
1922年生まれ、2014年没。
ハンセン病と闘いながら句作を続けた。
寒露は膝の痛みが出てくるころだ。
東京新聞の一面コラム「筆洗」
「子どもがまだ
食っている途中でしょうが!」
子ども二人がラーメンを食べている。
ラーメン店の女性店員が閉店時間だからと、
器を下げようとする。
これに田中邦衛さん演じる父親が声を荒らげる。
邦衛さんを応援したくなるシーンだが、
コラムは「店員さんの方も気になる」
「閉店時間とはいえ、どうして
あんなに店を閉めたがったか」
「ひょっとして、この人にも夜、
一人で帰りを待っている子どもが、
いたりして…」
店員と顧客の関係。
全国初の条例が東京都議会で、
全会一致で可決、成立した。
カスタマーハラスメント防止条例。
この条例はカスハラを定義した。
「客から就業者に対し
その業務に関して行われる著しい迷惑行為で、
就業環境を害するもの」
そして規定する。
「何人もカスハラを行ってはならない」
運用にあたっては、
客の権利を不当に侵害しないよう
留意しなければいけないとしている。
ただし条例に罰則はない。
来年4月1日から施行される。
コラムは人をなるべく怒らない方法を教えてくれる。
「相手の生活や家族を空想すること」だそうだ。
「たとえば目の前の従業員が
どんなお正月を過ごすかを頭に浮かべる。
家族で笑っている光景か。
あるいは仕事で正月どころではないかも…。
なるほど、ちょっとは優しくなれるか」
顧客も従業員も対等。
それが本質だ。
リッツカールトンのクレド。
We are Ladies and Gentlemen Serving Ladies and Gentlemen.
私たちは、紳士淑女にご奉仕する紳士淑女です。
互いに紳士淑女であればいいのだが、
客の側が紳士淑女でないから困る。
厚生労働省もカスタマーハラスメントを定義する。
「顧客や取引先などからのクレーム・言動のうち
社会通念上不相当なものであり、
その手段・態様により、
労働者の就業環境が害されるもの」
労働組合のUAゼンセンは、
「悪質クレームの定義と
その対応に関するガイドライン」を、
具体的に発表している。
(ア)社長をだせ、責任者を呼べ、上の者をだせのリピート
(イ)対応の悪さを執拗に指摘
(ウ)不快感を晴らすために、
叶いそうにない要求をあえてストレートに主張
(エ)文章をよこせ、一筆入れろとの請求
(オ)長時間の監禁
(カ)普通の顧客なら受け入れる対応を拒絶しつづける
(キ)店頭・事務所に居座り、大声で非難し、帰らない
UAゼンセンは、
「以上のような行為があれば、
悪質クレームの可能性が高い」としている。
このUAゼンセンのガイドラインをもとに、
小売企業が「カスハラに対する基本方針」を、
掲げる例も増えた。
東京都の条例には罰則はないが、
こういった小売業、サービス業側の、
カスハラ方針には味方をしてくれる。
月刊商人舎は最後に言い切る。
「カスハラ頻発と悪質化の時代には、
防御的政策では足りない」
「攻撃的対策が必須である」
「それが働く人たちの
人格と尊厳を守ることに
直結するからだ」
わが商人舎は、いつも力強い。
〈結城義晴〉