結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年10月20日(日曜日)

ユヴァル・ハラリ「エルシノアのスーパーマーケット」の再起動

自宅のインターネットが、
急に繋がらなくなった。

今ある状況に慣れてしまって、
それに頼っていると、
基本や根本を忘れる。

どうやって繋げればいいかが、
わからない。

パソコンも使いはじめのころは、
フリーズすると困った。

しかし今は、
「まずは再起動」

家のインターネットは、
2011年にリフォームした時に、
ちょっと変な場所にセットして、
日頃のなじみが薄くなった。

それでも何とか再起動して、
環境は元に戻った。

「再起動」は英語で「reboot」(リブート)。
動作中のコンピュータシステムが、
故意または意図せずに再度始動するプロセス。

コンピュータの電源をシャットダウンする。
もしくはソフトウェアを一度終了する。

そして再び起動させる。

するとエラーが回復したりする。

人間も組織もときどき、
再起動する必要がある。

会社もチームも定期的に、
再起動するニーズがあるに違いない。

「再起動」を社内用語にして、
原点回帰などしてみるのもいい。

リブートはシンプルな新陳代謝だ。

衆議院の解散と総選挙も、
その意味で再起動なのだろう。

投開票はあと1週間に迫った。

アメリカの大統領選挙は、
2週間後に迫った。

かつての最悪の時点に、
再起動してもらっては困るけれど。

ユヴァル・ノア・ハラリ、
「21lessons」
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「無数の不安な人間たちに、
何千年にもわたって語られてきた、
人気抜群の物語がある」

うまい表現だ。

なんだろう、その物語は、と引き込まれる。

「それによると、わたしたちはみな、
生きとし生けるものを、
網羅して結びつける、
永遠のサイクルの一部だという」

「どの生き物にも、
このサイクルの中で果たすべき
特有の機能がある」

「人生の意味を理解するとは、
自分ならではの機能を理解することであり、
良い人生を送るとは、
その機能を果たすことだ」

ヒンドゥー教の聖典、
「バガヴァッド・ギーター」

神の化身クリシュナは、
迷う王子に対して言う。
「洗濯女の道を熱心にたどる洗濯女は、
王子の道を逸(はぐ)れる王子よりも、
はるかに優れている」

マーク・トウェイン。
「人生でとても大事な日が二日ある。
あなたが生まれた日と、
なぜ生まれたかがわかった日である」

ハラリは20番目の章のなかに節をつくる。
「エルシノアのスーパーマーケット」
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エルシノアは、
シェイクスピア「ハムレット」の舞台となる、
城のことだ。
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「近代社会は過去から受け継いだ
膨大な数の物語を退けなかった。
そうする代わりに、
物語のスーパーマーケットを開いた」

ヒンドゥー教の物語も、
マーク・トウェインも、
その一つだ。

「近代以降の人間は、
そのすべてを自由に味見して、
自分の好みに合うものなら何でも、
選んだり組み合わせたりできる」

「近代以降の人の大半は、
このスーパーマーケットが好きになった」

「人生の何たるかも、
どの物語を信じたらいいのかも、
わからないときには、
どうするべきか」

「選ぶ能力そのものを神聖視するといい」

「あなたは何でも自分の好きなものを
選ぶ力と自由を持って、
そのスーパーマーケットの通路に、
いつまでも立ち、目の前に並ぶ製品を吟味し、
そして……そのフレームでフリーズ。
カット。ジ・エンド。
クレジットを流して。」

映画は終わる。
しかし問題は解決されない。

ここで再起動しなければならない。

しかしハラリは断言する。
「スーパーマーケットの棚に並ぶ物語は、
すべて偽物だ。
人生の意味は既製品ではない」

「何であれ私の外にあるものは
私の人生に意味を与えられない」

「私こそが、
自分の自由な選択と自分の感情を通して、
すべてのものに意味を吹き込むのだ」

この章の最後。
「もしこの世界や人生の意味や、
自分自身のアイデンティティについての、
意味を知りたければ、
まず苦しみに注意を向け、
それが何かを調べるのにかぎる」

「その答えは物語ではない」

再起動して、
再び苦しみに注意を向け、
それが何かを調べる。

人生も経営も、
この繰り返しである。

〈結城義晴〉

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