結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年10月28日(月曜日)

第50回衆院総選挙の「公人は敵とともに生きる」

Everyone, Good Monday!
[2024vol㊹]

2024年第44週。
10月最終週。

木曜日の10月31日がハロウィン。
金曜日から11月。

今年もあと2カ月余り。
頑張ろう。

さて、第50回衆議院総選挙。
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自民党が大敗。
「裏金」とレッテルを張られたが、
パーティー券収入キックバックの「不記載」。
これは厳密に言えば脱税だ。

金庫番だけが罪を被らされたが、
政治家本人が責任を取るのが本筋だ。

その党の在り様が国民から厳しく問われた。

自民党安倍派、二階派などには、
いずれにしても国民の審判が下るはずだった。

それに与した公明党も敗北した。

当たり前の結果である。

しかし日本維新の会も、
共産党も民社党も、
激しく後退した。

「55年体制が消滅した」と表現した新聞もあるけれど、
すべからく古い政党が支持を失ったと思う。

その意味では維新も古い政党となっていた。
その古くなるサイクルが早まった。

一つには政党の在り方そのものが、
ひどく古くなった。
そして政策に関しては、
似たり寄ったり。

政党政策のコモディティ化現象である。

二つには既存支持者が高齢化した。
とくに共産党など、
後期高齢者の集団かと思うほどだ。
公明党も自民党も、
かつての日本社会党の民社党も。

比較的古くない立憲民主党と国民民主党には、
自民党の「政治とカネ」を拒否した票が流れた。

結果として見れば、
リベラルが勝ったように見える。
連合という労働組合の勝利のようにも。

しかしそれも割り切れない。

リベラルと言っても、
保守化したリベラルだからである。

つまりは「中道」だ。

塩野七生の『ローマ人の物語』
「勝利とは、
自ら勝ち取るものではない。
敵から恵んでもらうものだ」

今回の立憲民主も国民民主も、
自民党の敵失によって勝った。

党派別の獲得議席数。

自民党191議席。
立憲民主党148議席。

少しだけ二大政党制に近づいたのかもしれない。

日本維新の会38議席。
国民民主党28議席。
公明党24議席。

れいわ新選組9議席。
共産党8議席。
参政党3議席。
日本保守党3議席。
社民党1議席。

無所属12議席。

現在の与党は、
自民党+公明党で215議席。

衆議院の議席数は465だから、
過半数は233議席。

このあと首班指名はどうなるか。

1993年の細川護熙内閣は、
「非自民・非共産」8党派連立によって誕生した。
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1994年の羽田孜内閣は、
7党連立政権で64日しかもたなかった。

その直後の村山富市内閣は、
自民党、日本社会党、新党さきがけの連立。
「自社さ」政権と呼ばれた。
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今回も、過半数は得られない。

決戦投票となると、
石破茂自民党に軍配が上がるのだろうが、
どっちに転ぶかはわからない。
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あの1990年代前半の常態に戻るのか。

ずっと言ってきたが、
岡目八目で見れば、
実に面白い。

少数与党政権が生まれることは間違いない。
そして政権は極めて不安定になる。

今年7月7日のフランス国民議会総選挙。
事前の予想に反して、
左派連合が極右を抑えて最大勢力になった。
けれど過半数には届かないがら、
連立政権となった。

ハングパーラメント。
「宙づり議会」

2021年9月のドイツ総選挙。
第1党となったのは中道左派の社会民主党(SPD)。
SPDのオラフ・ショルツは、
緑の党、自由民主党(FDP)と、
3党連立政権を樹立した。

その結果、首相となった。

米英以外は似たようなもんか。

しかし少数与党では、
円のレートも株価も、
乱高下するだろう。

国民の生活も不安定になるし、
先行きが見えなくなる。

総務省が投票率を発表した。
小選挙区は53.85%。
戦後3番目の低さ。

最低は2014年の52.66%、
その次は2017年の53.68%。

前回の2021年の55.93%からは、
2.08ポイントの低下。

投票率が下がれば、
自民・公明の与党が有利だったが、
そのセオリーも崩れた。

期日前投票は2095万5435人。
過去2番目の水準だった。
前回の2021年衆院選に比べると、
1.83%増加した。

日経新聞の奥村茂三郎政策報道ユニット長。
「各世帯の所得を上から下まで並べたときに、
真ん中にくる『中央値(メディアン)』の低下を、
新興政党が批判し、支持を伸ばした」

国民民主やれいわ。

「この数字は過半数の世帯が
所得低迷に不満なことを示唆する」

複雑系科学者ピーター・ターチンが、
「政治不安の先行指標」として重視する指標だ。
ターチンは2010年に、
今日の米社会の分断を予言した。
著書は『エリート過剰生産が国会を滅ぼす』
(この本、面白い。まだ読み始めだけれど)
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「ポピュリズムの台頭や民主主義の危機を避けるには、
分配を増やす必要がある」

どんな政権でも、これだけは死守したい。
小売業も消費産業も、これには貢献したい。

朝日新聞「折々のことば」
第3247回。

公人は、
「敵とともに生きる。
反対者とともに統治する」
のが仕事です。
(内田樹)

「民主政下の選挙は、
勝って『高笑い』するような
類のものではない」

だから野田佳彦は高笑いなどしない。

「『公人』とは、
自分に投票しなかった人をも含めて
有権者を代表するもの」

「痩せ我慢してでも
そういう役を務めることになった
当選者の不満顔と、
『一番まし』と思える人を
選ぶしかなかった有権者の不満顔とが
対(つい)になってはじめて民主政は成り立つ」
〈Xへの投稿(10月22日)から〉

少数与党や連立政権の民主政は、
敵とともに生きねばならないし、
反対者とともに統治するものなのだ。

「対」となった「不満顔」によって、
成り立つということである。

経営においても時にはそんなことが起こる。
私はそれを経験した。

では、みなさん、今週も、
社会的「分配」に貢献しよう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

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