無性にカレーライスが食べたくなる。
漫画「孤独のグルメ」原作者の久住昌之さん。
「家でカレーを食べる際は、
絶対に2皿以上。
腹いっぱいになるまで、
食べないと納得しない」
同感。
「具材が何か分からないほど煮込まれているのを、
がつがつ食べるのが流儀」
(ARCO出版『アンソロジー カレーライ!!」)
日経新聞の一面記事。
「セブン創業家、米ファンドに参加打診」
日経はこの話が好きだ。
ニュースソースもあるようだし、
興味をもつ読者も多いのだろう。
セブン&アイ・ホールディングス創業家。
㈱伊藤興産。
米国の大手投資ファンドに参加を打診した。
西友の筆頭株主のKKR、
それからベインキャピタル、
アポロ・グローバル・マネジメント、
ブラックストーン・グループなど。
伊藤興産はセブン&アイ全株式を取得して、
非上場化を目指している。
その際には7兆円以上が必要となる。
今のところ伊藤忠商事から融資を受け、
三井住友、三菱UFJ、みずほの3銀行からも、
買収資金を調達する方向で検討に入っている。
しかしそのうえに、
米国の投資ファンドからも、
普通株による出資ではなく、
融資に近い性質の資金を出してもらう。
オール・ジャパンに加えて米国ファンドも。
いずれもまだ確定しているわけではない。
アリマンタシォン・クシュタールは、
約7兆円の買収提案をしている。
セブン&アイの株価は2556.5円、
時価総額は約6兆7000億円。
伊藤興業を中心に特別目的会社(SPC)を設立して、
セブン&アイの株式を公開買い付け(TOB)する。
SPCは資金の出し手と詰めの調整を進める。
成功するか否かは、わからない。
セブン&アイの社員、従業員、
セブン-イレブンの加盟店オーナーたち。
どんな気分で見守っているのだろうか。
すべての日々の業務をつつがなく進めねば、
この案件そのものの価値が崩れていく。
日経新聞「大機小機」
「なぜ将来世代の存在が大事か」
米哲学者のサミュエル・シェフラーが、
思考実験で指摘した。
「自分の死後すぐに
隕石(いんせき)の衝突で地球が消滅すると
事前に分かってしまったら、
私たちは人生に
価値を感じられなくなるだろう」
「日々の生活を楽しめるのは、
過去から無限の将来へと続く
人類の営みという大きな文脈の中に、
私たちの人生が位置づけられているからだ」
セブン-イレブンも、
イトーヨーカ堂も、
ヨークベニマルも。
その社員や従業員が、
人生に価値を感じられなくなってしまったら、
意味がない。
隕石の衝突のごとき大事件は、
すでに起こってしまっている。
家のカレーライスを2皿以上、
腹いっぱいまで食べる幸せは、
過去から将来へと続く文脈の中に、
位置づけられている。
誰でも安心して、
カレーライスを楽しみたいのだ。
それをいつも考えて、
経営に臨まねばならない。
頑張ってほしい。
〈結城義晴〉