結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年12月21日(土曜日)

幸田露伴の「あとみよそわか」と「商品マスター&商品コンテンツ」

2024年の冬至。

日一分一分ちゞまる冬至かな
〈正岡子規〉

少しずつ昼が縮まって、
今年も冬至。

これからだんだん、
陽が長くなる。

その微妙な変化が楽しい。

山陽新聞の巻頭コラム「滴一滴」

作家の幸田文の女学生のころのこと。
「豆腐の切り方や雑巾の絞り方を、
父の露伴から習った」

露伴は時の文豪とはいえ生家は貧しく、
何でも手伝いながら育った人。
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自分なりに合理的な手法を編み出した。

掃き掃除一つとっても、
その教えは奥が深い。

「ほうきは筆と心得て、
穂先が利くように
使いならさなければならない」

道具をどう扱い、動きに緩急を付けるか。
畳の目と縁ではどう違うか。

「やらせて見る。
やって見せる。
再度やらせる。
身に付くまで稽古した」

そこで面白いのは、
しまう前に必ず呪文を唱えるように指導したこと。
その呪文は、
「あとみよそわか」

「跡を見よ、つまり振り返って
いま一度確認しなさい」という意味。

「後工程はお客様」と同じ。

幸田露伴が幸田文に、
「あとみよそわか」と教えた。

師走に似合う、いい話だ。

月刊商人舎では、
2017年3月号で特集した。
商品情報Platform
「商品Master/商品Contents」の共有と競争
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もう8年前になる。

[Cover Message]
欧米ではワン・ワールド・シンク(1WorldSync)。日本では非食品のプラネット(Planet)と食品のジャパン・インフォレックス(JII)。商品マスタ(Product Master)が整備され、商品情報の交換と交流によって、数多の商品がつつがなく流通・供給される。そこでは情報をベースとした社会システムの標準化と効率化、合理化、最適化が推進される。製配販のサプライチェーン・マネジメントが貫徹される。さらに商品デジタルコンテンツが充実して、実店舗とElectronic Commerceが融合する時代がやってくる。結果として豊かで、多様で、低価で、オムニチャネルのライフスタイルが保障される。そのためのさまざまな社会インフラが構築される。それが近未来型の「商品情報プラットフォーム」である。この動きを推し進める者、阻む者、そして傍観する者。鍵を握るのは、Platform概念の産業レベルでの社会化と、その「共有と競争」の共通認識に他ならない。
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商品情報のPlatformに焦点を当てたが、
そのベースとなるのが商品マスターだ。
そして商品コンテンツは一元化されねばならない。

店頭での競争はそのあとの話だ。

私はニハット・アーカンさんと、
オンライン対談をした。
1WorldSync Global CEO。
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「もうTechnologyの問題ではない!
Approach&Processの競争時代だ!」

この特集はグローバルな視点だったが、
日本のチェーンストアには早すぎたか。

一部の読者以外にはあまり反応はなかった。

それでも問題意識は変わらない。
いや問題が向こうから近付いてきた。

特集のまえがきの最後に私は書いている。
「かくて、世界のプラットフォーム・ビジネスは、
参画せずにはいられない存在となってしまった。
ガラパゴス化した特殊な世界を除いて」

SM物流研究会はその序章である。

その時に必要なこと。

私が書いた「Message」

「標準化」の呪縛を解け!

これほど誤解されている概念はない。
「標準化」「standardization」
最も標準となる「広辞苑」で調べる。

すると「標準に合わせること」
または「標準に従って統一すること」
その結果、「互換性が高まる」

では合わせるべき「標準」とは何か。
What is the standard?
同じく広辞苑。

①判断のよりどころ。
②あるべき形。
③いちばん普通のあり方。

ところが小売りサービス業、
とりわけチェーンストアでは、
「例外行動をなくすこと」となる。

だから経営者や幹部は嘆く。
「わが社では標準化が進んでいない」
「もっと標準化しなければならない」

コンサルタントは叫ぶ。
「おたくは標準化ができていない。
だから効率が悪い、生産性が低い」

しかし、本当の標準化は、
わが社だけのものではない。
良いものに、全体に、合わせることだ。

その分野の規格に合わせる。
全体最適の基準に従う。
プラットフォームがあればそれに乗る。

そのうえで競争する。
標準化の上で個性を発揮させる。
だから本来、「標準化競争」はおかしい。

標準化の呪縛を解け。
標準化の誤解を正せ。
標準化の亡霊を拭い去れ。

活用できるものは大いに使え。
多くが参画すればコストは飛躍的に下がる。
合理化、効率化が進み、生産性は高まる。

標準化は人類の英知によってもたらされた。
その進化は信頼感と透明性に支えられる。
この標準化の共通認識こそ産業化の礎である。

そして標準化は総体的な経費を削減する。
人々の仕事を軽減させてくれる。
標準の上に展開される個性化は豊かさをもたらす。
〈結城義晴〉
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2017年3月号、もう一度読んでほしい。

物流にも商品マスターの共有にも、
「あとみよそわか」の精神がなければならない。

「公平で中立でわかりやすく」は、
世界共通の認識なのだ。

〈結城義晴〉

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