訃報です。
特発性間質性肺炎による心不全で、
12月17日(火)に永眠。
1952 年4月27日生まれで、
私と同年の72歳。
言葉がない。
早稲田大学政治経済学部を卒業して、
1977年、国分㈱入社。
私が㈱商業界に入社したのと同じ年だ。
1998年には、経営統括室部長兼流通本部長、
2003年に取締役に昇格して、
グループ企業統括本部長。
2005年には廣屋国分㈱代表取締役社長に就任。
食品卸売業の幹部として、
流通に関する知見を積み上げてきた。
そして2011年、
ジャパン・インフォレックス取締役副社長、
2012年、代表取締役社長、
2024年、代表取締役会長。
多摩大学大学院客員教授、
早稲田大学アジア太平洋研究センター特別研究員。
コーネル大学RMP講師、
流通問題研究協会理事を歴任。
2023年に、
日本食糧新聞制定食品産業功労賞授賞。
(最後列左から2人目が西田さん)
2017年3月には、
月刊商人舎にご登場いただいた。
食品産業「商品マスタ」DB(データべース)センター譚
これは西田さんの独白形式になっているが、
今読んでも、とてもいい内容だ。
ジャパン・インフォレックス(JII)は、
食品製造業と卸売業の商品マスタセンターだ。
前身は2001年に設立された㈱ジェフネット。
国分グループ本社と日本アクセスの両社が、
プロジェクトを組んで検討し、
営業支援のコンテンツ情報を共有化し始めた。
営業マンが積み重ねてきた暗黙知の情報を、
データベース化して活用する目的をもっていた。
5年後の2006年4月、
国分、日本アクセス、三菱食品、三井食品、
加藤産業㈱、日本酒類販売、
食品卸6社の共同出資によって、
ジャパン・インフォレックスが設立。
「商品マスタ・データベースセンター」の誕生だった。
一方で、㈱ファイネットは1986年に設立。
酒類・食品VANとして30年以上の歴史をもつ。
そのファイネットは2002年に、
商品マスターのデータベースを立ち上げる。
「ファイネットデータベース」(FDB)。
こちらはメーカー会員企業がつくった会社だ。
つまりメーカーから料金を徴収するビジネスモデル。
一方のJIIは卸各社が、
コストセンター的な位置づけで、
費用を持ち合って運営される。
2016年4月にJIIがファイネットから、
データベースを事業承継して、
食品業界に1つのデータベースセンターが生まれた。
西田さんは社長として、
この事業を推進した。
これこそ西田邦生の功績だ。
いま「2024年問題」をきっかけにして、
SM物流研究会が活動をしている。
その先にあるのは、
「商品マスター」の統一という問題だ。
ジャパン・インフォレックスが、
ここで社会的な機能を果たすはずだ。
私は2022年にユーザー会に呼ばれて講演した。
西田さんがその前座を務めてくださった。
インカムを使って、カッコいいスピーチだった。
消費情報基盤としての食品の商品マスターは、
8合目まできた。
西田さんは言う。
「メーカーと卸は共通化しているが、
小売りとの共通化が足りていない。
製販と小売りの溝はまだ大きい」
今後はメーカー起点のデータ化とともに、
小売業起点のデータ化が必須だ。
小売業視点ではデータ絞り込みと、
カテゴリー化が求められる。
「日本型流通のメリットを残して、
さらなる仲間づくりをしていきたい」
「食品に携わるすべての人が協力し、
食品すべてのジャンルが揃う、
商品マスターのプラットフォームをつくりたい」
西田邦生の遺志は継がれねばならない。
心からご冥福を祈りたい。
合掌。
〈結城義晴〉