OICグループのニューヨーク研修。
3泊5日の弾丸ツアーだ。
座学と視察で充実している。
早くもニューヨーク3日目の朝を迎えた。
ホテルの会議室では、
ロピアの経営理念と7大用語の唱和。
アメリカ小売業の大潮流。
レース型競争からコンテスト型競争への変容、
そしてクリティカルマスと、
寡占・鼎占・複占の理論。
さらにマーケットリーダーと、
マーケットチャレンジャー、
マーケットフォロワー、
マーケットニッチャーの競争。
ロピアのトップたちに語り続けてきた理論を、
わかりやすく講義する。
トップと共有できるようにと考えている。
最後の最後は、
業種、業態、フォーマットの理論。
そして、
[基本業態+ポジショニング=フォーマット]
コーネル大学のフォーマット論。
肉の宝屋藤沢店から、
ユータカラヤ、
そしてロピアへ。
さらにOICグループへ。
かれらは教科書通りに、
短期間で企業を変容させてきた。
それがロピアの成長の軌跡である。
そしてそれはまだ途上にある。
2時間、声をからして、
全身全霊で講義をした。
終わると最後の視察に向かう。
目的はマンハッタン島内、
ウェグマンズ・アスタープレイス店。
2023年10月にオープン。
1階と地下1階の2層店舗。
その地下1階に「さかなや」を設けた。
日本型の魚売場だ。
早くも昨年には部分的に改装を行った。
アメリカ風の対面売場と合体させて、
販売面積を広くした。
丸物の陳列。
週2回、日本の豊洲市場から空輸される。
カッティングは日本式。
岸田前首相夫妻が訪米した際に、
奥様が店を訪れた。
その新聞記事をPOPとして使う。
ウェグマンズではインタビュー。
店長のJAREDさん。
忙しいなか、われわれの質問に答えてくれた。
颯爽と現れ、的確に語って、
そして颯爽と消えた。
商品化や客層の問題など、
具体的な運営について話してくれた。
質問にも丁寧に答えてくれた。
とても嬉しいことに、
ハマチの刺身と寿司の試食を用意してくれた。
富澤さんの案内で、
少しだけ観光。
バッテリーパークそばの公園で、
自由の女神を背景に写真撮影。
9・11メモリアルパーク。
富澤さんの説明を聞く団員たち。
オキュラスは駅舎。
スペインの建築家サンティアゴ・カラトラバの設計。
2016年にオクルス・ニューヨーク駅として完成した。
敬虔な気持ちになる。
その真っ白なオキュラスの中で再び写真。
ワールドトレードセンターの一角に、
イータリーがある。
売場は建物の3階。
イータリーのコンセプトは、
「学び、食べ、買う」。
つまり市場であり、食堂であり、
学校である。
ガラス張りの店内は、
周囲にぐるりとレストランを配置して、
その内側の売場を回遊させる動線。
青果、ベーカリー、チーズ、パスタなど、
イタリア食材が対面のショップで販売される。
イタリアの市場の店を模している。
チーズショップとミートショップ。
この手前にレストランがある。
カフェやレストラン、イートインスペースは、
窓側にあって、3階からの景色が楽しめる。
イタリアの食文化を案内した通路。
食材や製法などが展示されている。
しかしこの観光スポットと化した2号店は、
レストラン中心の店へと傾斜した。
学校と市場の要素が少なくなってきた。
その分、魅力が薄れたと思う。
フラットアイアンの1号店のほうが、
勉強になる。
そちらがお薦めだ。
ロワーマンハッタンを後に、
ミドルタウンへ。
1階がコンビニ機能。
珈琲やソフトドリンクの飲料とサンドイッチなど。
エスカレーターで2階に上がると、
広大なフードコートと売場。
ニューヨークに来ると、
必ずこの店を訪れる。
「GAME TIME」と記されたケーキ売場。
明日2月9日の日曜日は、
全米が沸き上がる「スーパーボウル」。
つまり「Game」のとき。
NFLのチャンピオンチームを決める優勝決定戦。
アメリカ人は全米一のスポーツイベントを、
友人や家族と一緒に応援する。
その際にケーキも食べる。
ここでランチ。
私はセルフデリの温野菜とチキン、
そしてブロッコリとロブスターのスープ。
ハドソンヤードを後に、
一気にアッパーウェスト地区へ。
つまりはセントラルパークの西側。
ブロードウェイ沿いにある4店舗を散策。
起点はゼイバース。
たった1店舗のスーパーマーケット。
ユダヤ系ウクライナ人のゼイバー兄弟が創業。
スモークサーモンとコーヒーの店から始まった。
たった1店だが人気は衰えない。
売上げの4分の1がネット販売だ。
その配送のためのバンが店の前に止まっていた。
ニューヨークデリと魚が人気の、
シタレラ。
ニーヨークデリには顧客がついている。
奥壁面の鮮魚売場は洗練されたデザイン。
高齢のマダム客が多い。
シタレラの隣には、
フェアウェイマーケット。
八百屋出身だから青果部門が強い。
売場のいたるところに、
アメフトのオブジェがある。
ブッチャーショップとフィッシュマーケット。
対面売場だが、以前より売場は半減した。
郊外展開をしたが失敗した。
ダウンタウンの店は得意の立地がいい。
最後はトレーダージョー。
地下1・2階の2層の大繁盛店。
スーパーボウルの日を家で楽しむために、
トレーダー・ジョーで買物をする。
だから顧客が殺到する。
売れ筋のバナナは午後3時にはもう売り切れ。
エンド陳列はボリューム感満点なのだが、
それがどんどん売れている。
冷凍食品はケースの底が見えている。
ゼイバーズ、シタレラ、フェアウェイマーケット、
仕上げがトレーダー・ジョー。
これらの競争の中で、
ウェストサイドマーケットは姿を消した。
とびきりの特長をもたない店は、
舞台から退場させられる。
それがマンハッタンの最新の競合だ。
つまりポジショニング競争である。
(つづきます)
〈結城義晴〉