天皇誕生日の祝日。
明日までの三連休。
日経新聞一面。
「セブン&アイのヨーカ堂売却」
――米ベインに優先交渉権
セブン&アイ・ホールディングスが、
ヨーク・ホールディングスを売却する。
その優先交渉権を与える先が、
明らかになったと日経が報じた。
米国投資ファンドのベインキャピタル。
1984年、マサチューセッツ州ボストンで創業。
独立系プライベート・エクイティ・ファンド。
複数の投資家から資金を集めて、
それをもとに企業の株式を取得し、
その企業価値を高めたあとで売却する。
世界で1000社を超える企業の買収や投資をしてきた。
日本では2011年10月にすかいらーくを買収。
2020年10月には、
キリン堂ホールディングスを公開買い付けし、
2021年5月に吸収した。
日本のエクイティ・ファンドとして最大規模。
その意味では実績がある。
ベインはヨーク・ホールディングスに対して、
7000億円を超える企業価値を提示したようだ。
昨2024年11月末に一次入札が締め切られた。
ベインキャピタル、日本産業パートナーズ、
KKR、住友商事、トライアルホールディングス、
フォートレス・インベストメント・グループなどが、
その一次入札に手を挙げた。
フォートレスはそごう・西武を買ったファンドだ。
ベイン、日本産業、KKRの3社がそれを通過して、
正式な買収提案をした。
セブン&アイは追加の提案内容を加味して、
ベインキャピタルを売却先に選んだ。
ベインの出資額や出資比率は、
「企業価値」をベースに決められる。
そして3月末までに最終合意する。
また1カ月の猶予期間が生まれた。
セブン&アイは現在、
ヨーク・ホールディングスの全株を保有している。
株式の売却によって出資比率を下げ、
2025年度に持ち分法適用会社とする。
セブン創業家の伊藤興産も、
一部出資することを検討している。
ベインは投資先の経営改善に主軸を置いたファンドだ。
だから好立地のイトーヨーカドーなどを、
「改装して集客力を高め、
各店の売上高を伸ばす戦略を検討する」と、
日経の記事にはある。
セブン&アイは自力でそれができなかった。
ファンドにできるのか。
それともファンドは、
それができる経営者を引っ張ってくるのか。
ファンドがやることは主にコストカットだが、
結局はそれが行われることになるのだろう。
「不動産大手のヒューリックなどと
連携する可能性もある」と記事は書く。
ヨーク・ホールディングスは、
イトーヨーカ堂とヨークベニマル、
それにセブン&アイ・フードシステムズ、
ロフト、赤ちゃん本舗など31社を束ねる。
「傘下企業の一部は個別に売却される可能性もある」
業態別に切り売りされる。
しかしヨークベニマルはどうなるのだろう。
この記事だけではわからない。
ヨーカ堂がベニマルの傘下に入る。
そんな憶測話も出ている。
その際はベニマルがヨーカ堂を買うことになるのか。
二つの業態を抱えるメリットは少ない。
それでもやるか。
腹の座った、頭の切れる経営者は、
どこかにいるはずだが。
それでも最後は、
セブン‐イレブンだけが残った、となる。
ただしこの世界最大のコンビニの経営も、
そう簡単ではない。
現経営陣ではやり切れないだろう。
イトーヨーカ堂は、
トヨタ自動車における、
豊田自動織機製作所だと考えれば、
亡き伊藤雅俊さんも浮かばれるか。
[豊田自動織機製作所正門]
一方、西友の売却期限も2月末に迫る。
KKRはヨークを手に入れることができなかった。
さて、どうするのだろう。
どうなるのだろう。
来週が山場だ。
〈結城義晴〉