結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年02月23日(日曜日)

「ヨーク・ホールディングス売却」はベインキャピタルに優先交渉権

天皇誕生日の祝日。
明日までの三連休。

まだ時差ボケが残り、
ニューヨーク「ロス」の状態だ。
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日経新聞一面。

「セブン&アイのヨーカ堂売却」
――米ベインに優先交渉権

セブン&アイ・ホールディングスが、
ヨーク・ホールディングスを売却する。

誰が決めたか、それは決まっている。
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その優先交渉権を与える先が、
明らかになったと日経が報じた。

米国投資ファンドのベインキャピタル。
1984年、マサチューセッツ州ボストンで創業。
独立系プライベート・エクイティ・ファンド。
複数の投資家から資金を集めて、
それをもとに企業の株式を取得し、
その企業価値を高めたあとで売却する。

全世界で約12兆円の資金を運用する。
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世界で1000社を超える企業の買収や投資をしてきた。
日本では2011年10月にすかいらーくを買収。
2020年10月には、
キリン堂ホールディングスを公開買い付けし、
2021年5月に吸収した。

日本のエクイティ・ファンドとして最大規模。
その意味では実績がある。

ベインはヨーク・ホールディングスに対して、
7000億円を超える企業価値を提示したようだ。

昨2024年11月末に一次入札が締め切られた。
ベインキャピタル、日本産業パートナーズ、
KKR、住友商事、トライアルホールディングス、
フォートレス・インベストメント・グループなどが、
その一次入札に手を挙げた。

フォートレスはそごう・西武を買ったファンドだ。

ベイン、日本産業、KKRの3社がそれを通過して、
正式な買収提案をした。

セブン&アイは追加の提案内容を加味して、
ベインキャピタルを売却先に選んだ。

ベインの出資額や出資比率は、
「企業価値」をベースに決められる。

そして3月末までに最終合意する。
また1カ月の猶予期間が生まれた。

セブン&アイは現在、
ヨーク・ホールディングスの全株を保有している。
株式の売却によって出資比率を下げ、
2025年度に持ち分法適用会社とする。

セブン創業家の伊藤興産も、
一部出資することを検討している。

ベインは投資先の経営改善に主軸を置いたファンドだ。

だから好立地のイトーヨーカドーなどを、
「改装して集客力を高め、
各店の売上高を伸ばす戦略を検討する」と、
日経の記事にはある。

セブン&アイは自力でそれができなかった。
ファンドにできるのか。

それともファンドは、
それができる経営者を引っ張ってくるのか。

ファンドがやることは主にコストカットだが、
結局はそれが行われることになるのだろう。

「不動産大手のヒューリックなどと
連携する可能性もある」と記事は書く。

ヨーク・ホールディングスは、
イトーヨーカ堂とヨークベニマル、
それにセブン&アイ・フードシステムズ、
ロフト、赤ちゃん本舗など31社を束ねる。
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「傘下企業の一部は個別に売却される可能性もある」

業態別に切り売りされる。

しかしヨークベニマルはどうなるのだろう。
この記事だけではわからない。

ヨーカ堂がベニマルの傘下に入る。
そんな憶測話も出ている。
その際はベニマルがヨーカ堂を買うことになるのか。
二つの業態を抱えるメリットは少ない。

それでもやるか。

腹の座った、頭の切れる経営者は、
どこかにいるはずだが。

それでも最後は、
セブン‐イレブンだけが残った、となる。

ただしこの世界最大のコンビニの経営も、
そう簡単ではない。

現経営陣ではやり切れないだろう。

イトーヨーカ堂は、
トヨタ自動車における、
豊田自動織機製作所だと考えれば、
亡き伊藤雅俊さんも浮かばれるか。
[豊田自動織機製作所正門]
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一方、西友の売却期限も2月末に迫る。
KKRはヨークを手に入れることができなかった。

さて、どうするのだろう。
どうなるのだろう。

来週が山場だ。

〈結城義晴〉

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