第一パンの「KYT」と在庫循環から見た「世界景気」の好転
今日の午前中は東京・小平。
第一屋製パン㈱の取締役会。
パン工場の現場でKYTに取り組む。
Kは危険、Yは予知、
そしてTはトレーニング(訓練)。
KYTを展開してから、
声掛けして事故を防止する。
そのためにKYMを頻繁に行う。
こちらは危険予知ミーティング。
重要なことです。
1963年、ジョン・F・ケネディ大統領が、
コンシューマードクトリンを発信。
「消費者の4つの権利」
その第1番目が、
安全である権利。
顧客や消費者、
そして働く人たちの安全を担保する。
そのためのKYTとKYM。
よろしくお願いします。
横浜商人舎オフィスに戻ったら、
「Meiji Marketing Review」が届いていた。
私の連載は45回を数える。
季刊誌だから年4回発行で11年と1四半期。
「小売業のスーパーマーケティング」
今回のテーマは、
「商売の品格をマーケティングする」
手に入る皆さん、読んでみてください。
それから初摘み新茶も贈られてきた。
㈱伊藤園特別顧問の江島祥仁さんから。
「新茶の香り漂う季節となりました」
心から感謝します。
ありがとうございました。
さて昨日の日経新聞夕刊。
「社畜」漫画 共感広がる
「働き方改革関連法が順次施行される中、
過重労働やハラスメントに耐えて働く
“社畜”を描く漫画本が共感を集めている」
記事には「社畜」の説明がない。
しかしこの言葉は、
安土敏さんの秀逸の造語。
サミット㈱社長、会長を歴任しつつ、
作家となった。
あの荒井伸也先生。
その言葉を評論家の佐高信さんが広めた。
「家畜」は人間に飼い慣らされた動物。
「社畜」は会社に飼い慣らされた会社員。
「会社員でぶどり」は、
橋本ナオキ作。
劣悪な職場環境に
順応していたニワトリ会社員が、
後輩ヒヨコの突っ込みで
覚醒する4こま漫画。
清水めりぃ作。
「ブラック企業の社員が猫になって人生が変わった話」
とりのささみ。作の、
「テイコウペンギン」
一方、人間が主人公の漫画も受ける。
「僕たちはもう帰りたい」
さわぐちけいすけの作品。
読者は年齢、性別を問わない。
職業も多岐にわたる。
「社畜」化現象が進むほど、
社畜漫画が登場し、読まれる。
政府が「働き方改革」を提唱するほど、
「社畜」は増え、その漫画が作品化される。
その社畜の反対語が、
「脱グライダー人間」か。
私は「脱グライダー商人」と言っている。
故上野光平先生は、
「独立自営商人」と名づけた。
西友の実質的創業者にして、
流通産業研究所所長理事長。
飼い慣らされてはいけない。
忖度もつまらない。
会社に属していても、
「独立自営の志」をもちたい。
もう一つ日経新聞、
「大機小機」
コラムニストは富民さん。
「在庫循環からみた世界景気」
いつも素晴らしい。
「米中貿易戦争が始まって1年、
米中間の貿易は15%減少した」
ドナルド・トランプ大統領は、
そのうえで、さらに脅しをかける。
トランプはイソップを知らないらしい。
「北風と太陽」
経済協力開発機構(OECD)の分析。
「米国が2千億ドル分の中国製品への関税を
10%から25%に引き上げると、
世界景気がさらに0.1%下がる。
すべてに25%が課されると、
0.3%押し下げられる」
国際通貨基金(IMF)の予測。
「今年の世界の成長率予想は3.3%だが、
3%程度に減速するかもしれない」
そこでコラムニストは、
世界景気を在庫循環から眺める。
「景気が悪化すれば
在庫が増え、
在庫調整が完了すれば
景気は浮上する」
これが原則。
「グローバル化で、
一国の過剰在庫が世界需給を変える」
世界景気を読むために、
世界全体の在庫を見る。
自分の店頭在庫もそこに含まれるが、
そんな小さなスケールではない。
「主要50カ国を合計した在庫投資額は、
過去50年に13回在庫循環があった」
その世界の在庫回転。
周期は4年弱、
調整期間は平均15カ月。
「昨年1月をピークに世界景気が減速し、
7~9月に過剰在庫が積み上がり、
10~12月から在庫調整が始まっている」
すごい分析。
「調整開始から半年、
一部の国に景気回復の兆しもある」
そこで富民さん。
「経験則では、
今年末には世界の在庫調整が
完了することになりそうだ」
世界半導体市場統計によると、
「世界の半導体市場は
昨年の4~6月から、
調整局面が始まっている」
「サイクルの山から谷までの調整期間は
平均5~6四半期だから、
今年後半にはシリコンサイクルも、
底入れする可能性が高い」
「貿易戦争の行方いかんで
多少遅れがでるかもしれない」
それはイソップを知らない男の所為だ。
「だが、在庫調整の進展とともに
年末には世界景気に
明るさが広がることになる」
明るい分析で頼もしい。
「今年の年末から来年は、
世界景気の好循環に入る」
もちろんそれが、
消費局面に影響を与えるまでには、
タイムラグがある。
しかしそのタイムラグを我慢しつつ、
自分の顧客の需要につなげる。
今年いっぱいは辛抱のとき。
来年は好循環に入る。
それを信じよう。
景気の周期は4年弱だ。
〈結城義晴〉