「Group of Twenty 大阪宣言」の呉越同舟・同床異夢と「異榻同夢」
11年前の2008年9月、
リーマンショックが起こった。
20カ国・地域首脳会議は、
その年の11月に始まった。
アメリカのワシントンDCで、
14日と15日に開かれた。
この20カ国・地域を、
“Group of Twenty”と呼ぶ。
略してG20。
主要国首脳会議のG7の7カ国。
こちらは”Group of Seven”。
アメリカ、イギリスに、
ドイツ、フランス、イタリア。
そしてカナダと日本。
ここにEUとロシアが加わり、
さらに新興国11カ国が参加する。
中国、韓国、インドネシア、インド、
サウジアラビア、トルコ、
南アフリカ共和国、オーストラリア、
メキシコ、ブラジル、アルゼンチン。
これでG20。
実際にはメンバー20カ国以外に、
招待国や国際機関も加わって、
合計37の国・地域・機関の首脳が集まった。
残念ながら(?)、金正恩はいない。
そのG20大阪サミット。
今日6月29日の午後、
「大阪宣言」が採択されて閉幕。
「自由で公正かつ無差別な
貿易・投資環境を実現し、
開かれた市場を保つために努力する」
「貿易を巡る紛争処理機能を高める」
この世界貿易機関が掲げる、
重要な改革テーマも盛り込まれた。
昨日28日の京都新聞巻頭コラム、
「凡語」
「仲の悪い者同士が
同じ場に居合わせることを
“呉越同舟”という」
「中国の春秋時代、
呉と越の両国は敵対して憎み合い、
呉越は仲の悪い例えとされていた」
それが同じ船に乗る。
しかしもともとの出典の「孫子」では、
意味合いが異なる。
「呉越の人々が舟に乗り合わせ、
大しけで難破しそうになったら
どうするか。
助かりたい一心で、憎しみなど忘れて
一致協力するに違いない」
リーマンショックのときには、
世界経済が難破寸前となった。
だから各国首脳級の緊急会合が、
史上初めて開かれた。
未曽有の危機克服に向け、
本来の「呉越同舟」となった。
しかし呉越同舟はその後、定例化して、
一般に言われる「呉越同舟」となった。
G20には常駐の事務局がない。
毎回、主催国がつかさどる。
そして今回の船頭は、
「やってる感」の安倍晋三日本国首相。
課題は、立場や利害が複雑に絡みあって、
「一筋縄でいかない難問ばかり」。
そこでコラムの結論は、
「同床異夢」
「同じ床に枕を並べて寝ながら、
それぞれ違った夢を見ること。
転じて、同じ事を行いながら、
考えや思惑が異なること」(大辞泉)
それでも、安倍晋三首相というか、
日本国はよくやったとしておこう。
2年前のG20はドイツの主催。
ハンブルクサミットで、
アンゲラ・ドロテア・メルケル首相は、
「保護主義と闘う」と、
きっぱりと宣言した。
それは見送られた。
「やってる感」の「大阪宣言」は、
やはり、通常の呉越同舟で、
しかも同床異夢だった。
ただし、G20の成果ももちろんあった。
産経新聞の「産経抄」
「厳密なモニタリングを行い検査した結果、
規制対象から外します」
欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長の弁。
ルクセンブルク元首相、
ジャン・クロード・ユンケル。
東電福島第1原発事故に伴って、
日本産食品は輸入規制を受けていた。
それを大幅に緩和することを表明した。
福島県産の大豆や山菜も、
岩手・宮城・群馬・栃木・茨城・千葉の水産物も
受け入れられる。
G20ではなかったけれど、
フィリピンのドゥテルテ大統領も、
福島水産物への輸入停止措置解除を表明。
コンゴのチセケディ大統領も、
日本産食品の輸入規制の全面撤廃を発表。
G20や来年の東京五輪を通じて、
原発事故からの「復興・振興」を訴えたい。
さて、昨日の午前中、
下元康弘さん(中)と丸山英之さんが、
横浜商人舎オフィスに来訪。
下元さんは丸仁商事㈱社長、
丸山さんは常務取締役。
同社は1922年の創業。
高知市に本社を置いて、
砂糖の卸売業を営む。
菊屋㈱という菓子製造業を傘下に持つ。
丸山さんが第一屋製パン㈱の、
営業本部長だったこともあって、
商人舎にあいさつに来てくれた。
みなさんも、どんどん、
横浜商人舎オフィスへ、
おいでください。
商人舎はオープンマインドです。
いつでも扉を開けています。
「同床異夢」には対義語がある。
「異榻同夢」という。
「いとうどうむ」と読む。
「榻」(とう)は腰掛けのこと。
異なる椅子に座っていても、
同じ夢をもっている。
「異なる場所や立場にいても、
同じ意見や主張、価値観やゴールを抱く」
その意味ではG7が、
G20に広がったこの大潮流を、
基本に置きたい。
夢は大勢で見たい。
わが流通業も、
スーパーマーケット産業も、
「呉越同舟」や「同床異夢」から、
「異榻同夢」に変わらねばならない。
「いとうどうむ」です。
〈結城義晴〉