結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年08月23日(金曜日)

平富郎「勢いが運を呼び込む」と米国企業「株主第一主義」からの転機

今日は二十四節気の「処暑」。

1年を15日くらいずつ24に分ける。
それが二十四節気。

その「立秋」の次のクールが「処暑」。
「暑さが峠を越えて後退し始めるころ」。

中日新聞の巻頭コラム「中日春秋」
この「処暑」をテーマにした。

「街の中で赤トンボが飛ぶのをみた。
アキアカネだろう」

そして飯田蛇笏の句。
いくもどり 
つばさそよがす 
あきつかな

あきつは「秋津」と書いて、トンボの別名。

「秋津を詠んだ名句ではないけれど」と、
コラムニストはちょっと、
生意気な言い回し。

「涼と残暑の間を行き来しながら、
秋の色は濃くなっていくのだろう」

㈱エコス会長の平富郎さんから、
私のスマホに電話が入った。
DSCN80419
「先生! 今月号、いいねえ」

ありがとうございます。
平さんが褒めてくださったのは、
月刊商人舎8月号特集。
増税前の店舗戦略査定!!
201908_coverpage-448x632

わが㈱商人舎には、
「発起人」の皆さんが、
93人、名を連ねてくださっている。
その皆さんを中心に、
私は毎月、レターをお送りしている。

今月の特集は6社、6店舗を、
「星一つ」「星二つ」「星三つ」で、
評価し、査定した。

そしてこのレターに書いた。
私の評価・査定に対して、
「ご批判は甘んじてお受けします」

平さんはこの私の呼びかけに、
わざわざ答えてくださった。
そして「評価」に賛同してくださった。

「星三つのロピアはいいねえ。
勢いが運を呼び込む」

これ、平さんの名言だと思う。

ロピアも完成まではまだまだだけれど、
J・バーニーが指摘する模倣困難性が、
少しずつ現出し始めた。

「ヨークベニマルとヤオコーも、
書いてある通りだ」

「先生は今、
ナンバー1のコンサルタントだ」

私は、いわゆるコンサルタントではない。
しかしそう言って褒めていただくと、
面はゆいけれど、身が引き締まる。
高い志を持ち続けねばならないと思う。

ありがとうございました。

さて今日は、朝から東京・大手町へ。
1014年開業の東京駅。
IMG_99999

その丸の内北口の天井。IMG_00039

駅前には新丸ビル。
IMG_00019

三沢厚彦のAnimal-2017-01-B2。
1961年、京都生まれの彫刻家。
IMG_99979

半年ほど前に、
急に血糖値が上がった。

そこで田嶼尚子(たじまなおこ)先生から、
特別に指導してもらった。
東京慈恵会医科大学名誉教授。

毎月、一度、先生の医院に通って、
検査を受け、診断をしてもらって、
節制に努めた。

今日も「Perfect!」と評価してもらった。

半年間、数値は理想的に推移して、
血糖値は101まで下がり、
ヘモグロビンA1cも6.6まで下がった。

もう一息だ。

田嶋尚子先生。
「こんな人はめったにいません」

うれしい限り。
ここでも身が引き締まる。

さて、8月20日の日経新聞「真相深層」
「米企業”株主第一”に転機」
藤田和明編集委員が書く。

「米国型の資本主義が、
大きな転機を迎えつつある」

この8月19日に、
米国のビジネス・ラウンドテーブル(BR)が、
声明文を公表した。

BRは米主要企業の経営者団体である。
1972年に設立されて現在、
米国主要企業200社の首脳が会員である。

アメリカの財界組織は主に4つある。
⑴全米製造業者協会
(National Association of Manufacturers; NAM)
⑵全米商業会議所
(U.S. Chamber of Commerce)
⑶全米独立企業連盟(中小企業の代表)
(National Federation of Independent Business)

そして⑷BRは、
大企業の利益を代表する組織で、
日本でいえば経団連。

そのBRの今回の宣言は、
従来の「株主第一主義」の見直しにある。

宣言のタイトルにあるのが、
「すべての米国人のためになる経済」

JPモルガン・チェース、アマゾン・コム、
ゼネラル・モーターズなど、
米国の大企業181人の経営トップが、
今回の声明に名を連ねた。

米国の企業社会は金融危機後の10年間で、
力強い回復をみせた。

その米国型経営では、
「株主利益を最重視することが
経済全体を前に動かす」と考えられてきた。

しかしその後、深まる格差や環境問題に、
向き合わざるをえなくなってきた。

そして、
顧客や従業員、取引先、地域社会といった
利害関係者に広く配慮し、
長期に企業価値を高める必要が出てきた。

この宣言は、
株主利益第一からの転換を意味する。

藤田編集委員は述懐する。
「振り返れば、金融資本主義の暴走が
リーマン・ショックを招いた。
しかし危機を脱するために取った施策は
さらなる金融緩和であり、減税だった」

そして株価や土地など、
資産価格の押し上げが、
米国経済を支えた。

しかし、
持つものと持たざるものとの格差は、
それまで以上に広がった。

仏経済学者ジャック・アタリ。
2030年を展望した著書で、
「99%の人々が激怒する」時代の到来を、
予測し、予言した。
51I97VRc1kL._SX349_BO1,204,203,200_
アタリは予言する。
「富の極度の集中、環境負荷に、
歯止めをかけなければ、
人々の怒りが爆発する」

この流れを米国企業も、
無視できなくなってきた。

そしてトップ自らが、
軌道修正を宣言した。

この意味は大きい。

欧州は米国よりも、
この修正において先を行く。

たとえば英国は、
上場企業の企業統治指針を改めた。
今年1月以降の決算期から適用している。
「利害関係者として従業員の声を
経営に取り込む」ような改革である。

しかし日本の「企業統治改革」はむしろ、
株主重視へ振り子を振る方向を選んだ。

つまり逆の振り子である。

もともと日本の企業には、
従業員や取引先、社会を大事にする、
そんな企業文化の素地がある。

近江商人の「三方良し」の精神である。

しかしその半面、利益水準は低いままだ。
30年に及ぶ株価低迷を抜け出せない。

この米国BRの宣言は、
「双方離れていた振り子が
米国からは日本の方へ
日本からは米国の方へ
寄る動きともみえる」

小売流通業のチェーンストアにおいても、
同じことが言える。

日本は米国のほうへ寄る。
しかし米国は意外にも日本を向く。

生前のサム・ウォルトンは、
日本型経営を志向していた。
201609010_sam-walton

ピーター・ドラッカー先生も、
日本のマネジメントに関心を抱いた。
Drucker57899999

だから盲目的な米国志向からは、
トンチンカンな施策しか生まれないのだ。

〈結城義晴〉


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.