大久保恒夫・林廣美両講師とニューヨークへ/マンハッタンのイノベーションに遭遇
11月に入って、2日。
こちらでは昨日のニューヨーク株式市場で、
ダウ工業株30種平均が1万1657ドル96セント。
前日よりも297ドル05セント下がった。
これはマイナス2.5%。
先月下旬の10月20日以来の安値。
「欧州不安」が再燃し、株式市場がすくみあがっている。
さて、11月。
祝日は、ふたつ。
明日の11月3日「文化の日」と、
第4週の水曜日11月23日の「勤労感謝の日」。
昨年に続き今年も、
文化の日、勤労感謝の日とも、
三連休とはならない。
一昨年は勤労感謝の日が月曜日で三連休。
一昨昨年は、すごかった。
文化の日が月曜日で三連休、
勤労感謝の日は日曜日で月曜が振り替え休日となり三連休。
商売はやはり三連休がいい。
去年、今年と、それがない。
ただし、毎年のことながら、
11月にはいくつもの節目がある。
文化の日に続いて、
11月8日(火曜日)が立冬。
夏至と冬至が1年を二つに分ける。
その真ん中は、秋分の日。
この秋分の日と冬至の真ん中が、立冬。
「冬の気配が立つ日」。
それから11月15日(火曜日)は、「七五三」。
ただし多くの場合、12日の土曜日、13日の日曜日に、
七五三のお祝いが行われる。
11月17日(木曜日)はボジョレーヌーヴォー解禁日。
西友では、17日午前0時から発売。
それも「マスター・オブ・ワイン」といわれるフィリッパ・カール監修のヌーヴォー。
各社とも趣向を凝らして、解禁日に臨む。
そして11月23日水曜日の「勤労感謝の日」。
新嘗祭(にいなめさい)の日を起源として始まり、
その趣旨は「勤労をたっとび、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」。
私は毎年、勤労感謝の日は、
「商業にとって特別の日」だと言い続けている。
「勤労を感謝する日に勤労する」のが小売業・サービス業だからだ。
従って、11月の商人舎標語は、
毎年、恒例で、同じフレーズを使う。
「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」
朝、店のシャッターを開ける。
その時には、心に希望を。
昼、店にお客様を迎える。
ひたすら努力。
夕に、店を閉める。
夕ではなく、夜だったり、深夜だったり、
あるいは24時間営業の店があるから、
その場合には、その日の終わりの瞬間、
心から感謝。
毎日は、この繰り返し。
だから、「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」
勤労感謝の日が終わると、
クリスマス年末商戦に突入。
そんな11月。
私は、怒涛の10月が終わって、
ちょっと余裕が出る。
しかし第1週に帰国し、
第2週は立教大学大学院結城ゼミ生の卒業論文仮提出の締め切り。
12日土曜日です。
みなさん、頑張って。
翌第3週の15日、16日は、
コーネル大学RMPジャパン補講の日。
サミットのご協力で、
レイバースケジューリングの実習。
一番人気のある講座。
よろしく。
この週の金曜日18日は、
日本チェーンストア協会主催のパネルディスカッション。
「東日本大震災への製配販の対応」
私がコーディネーターで、
パネラーはイトーヨーカ堂、日清食品、三菱食品から。
第4週は講演などが入っていて、
第5週は29日から中国上海視察。
なんだかんだ言いつつ、
11月も忙しい。
「心を亡くさない」ように気を付けたい。
さて、今、ニューヨーク・マンハッタンのパーク・セントラル・ホテル。
昨日は、朝8時すぎに、
ワシントン・ユニオン駅に到着。
駅は改装中。
通勤客や旅行客が次々とやってくる。
ワシントンD.C.に3日間いて、
ニューヨークへ移動する。
今回はアムラック-56の列車の旅。
今年は列車旅行が多い。
先日はケルンからパリまで、
タリスの旅だった。
これもドイツ・ベルギー・フランスの農村が見られて、
とてもよかった。
マンハッタン・グランドセントラル駅までは、
3時間半の旅程。
始発電車だから、全員が同じ車両に乗り込む。
列車での移動は、心が落ち着く。
海辺を走り。
川を渡り。
12時半、少し遅れたが、
着きました。
グランドセントラル駅。
政治の街、ワシントンD.C.とは違うニューヨークの活気。
マンハッタン最初の視察店は、
超話題のイータリー。
昼時とあって、店内は超混雑。
TVクルーまでやってきて、ビデオ撮影。
われわれも、イータリーで昼食を楽しむ。
店内には10カ所のイートインスペースがある。
立って食べるスペース。
美味しいイタリアンとワイン。
ニューヨーカーの気分。
私たちは、店内レストランで、
席をとって、野菜料理を食べた。
これがおいしかった。
林廣美先生も、
「野菜料理に新たなヒントを得た」とご満悦。
次の視察は、
デュアン・リード・ウォールストリート店。
全米の話題の2店舗を真っ先に見る。
今回の研修会のテーマである「融合」を体感してもらうため。
百貨店のようなハイソサエティな売り場。
そこで展開される「フードとドラッグ」の融合。
すばらしい。
そして次に向かったのはディーン&デルーカ。
ニューヨーク・デリの繁盛店。
デリを中心にしつつ、
スーパーマーケットの部門構成をもつ。
しかしイータリーが出現してから、
やや古さを感じさせる。
店に入ってすぐに参加者は、
人気のショッピングバックのコーナーへ。
スタッフが商品を補充するほど、売上げに貢献。
「異常値」をたたき出した。
50メートルほどのところにあるユニクロ・ソーホー店。
ニューヨーク第1号店でのユニクロは、
すっかり定着。
ニューヨーカーが目の色変えて、
ヒートテックを買いあさる。
林先生も、ヒートテックをお買い上げ。
夕方になってしまったが、
定番のゼイバーズ。
「まあ、なんということでしょう!」
圧巻のチーズ売場。
最後は、驚きのマンハッタン内ショッピングセンター。
1000台は入るかという立体駐車場。
そして2階にターゲット。
ウォルマートと覇を競うスーパーセンターが、
マンハッタンに登場。
総面積が若干狭いので、
食品を絞り込んだ。
しかし牛乳など、品切れ寸前の売れ行き。
きちんとターゲットらしさを出した。
1階にコストコ。
これまたコストコの良さを失っていない。
両サイドの定番ラック売場はそのまま、
中央のシーゾナル売り場を大胆にカットし、
レジのそばに移動させた。
「絞り込み方はこうする」のお手本。
3階にベスト・バイ。
全米ナンバーワンの家電店。
全米チェーンストアランキング第9位。
年商371億ドル(3兆7100億円)、1312店。
3階にはギャップのオールドネイビー。
全米第1位のカジュアルファッションチェーンの低価格店舗。
ギャプは全米チェーンストアランキング第30位。
米国内年商117億1800万ドル、世界年商145億ドル。
。
オールド・ネイビーは、こういった大型店がいい。
そのパワーが発揮される。
かくして、マンハッタンに登場したパワーセンター。
大繁盛間違いなし。
私が保証するまでもない。
ディベロッパーの勝利。
すごい。
マンハッタンの商業機能が、
変わりつつある。
と、感動していたら、
急にサイレンが鳴って、
停電。
救急車まで出動した。
慌てて退避。
私はベスト・バイの店内にいたが、
真っ暗になって、サイレンが鳴り響いた。
ニューヨークだけに、
新手のプロモーションかと思ったら、
停電。
何が起こるかわからないニューヨーク。
刺激的な時空に身を置く。
それがまたいい。
(続きます)
<結城義晴>