「消費税の呪縛」とセブン&アイの「スピードウェイ買収」
ダイヤモンド・プリンセス号。
乗客の2人が亡くなった。
80代の男性と女性。
神奈川県の80代男性は、
気管支ぜんそくの持病があったし、
狭心症の治療歴があった。
2月10日に発熱。
翌日には呼吸が苦しくなって、
病院に運ばれたが、
肺炎が悪化して、
今日20日に亡くなった。
新型コロナウイルスに感染しても、
発症しない人が多い。
発症しても8割が軽症だ。
しかし心臓や血管、肺に持病を持つ人、
それから高齢者。
しかしほとんどの高齢者は持病をもつ。
重症化しやすい。
今回のクルーズ船の2人を含めて、
国内で死亡した3人の方々は、
いずれも80代だった。
中国疾病対策センターの報告。
新型肺炎の患者約4万7000人を分析。
重症は18.5%、死亡率は2.3%。
年代別の死亡率は、
10~30代が0.2%、
70代が8%、80代以上は15%。
ダイヤモンド・プリンセス号の乗客は、
当初2666人だったが、
46%が70歳以上だった。
今となっては後付けになってしまうが、
80代の人たちから完全介護するとか、
何とかしようがなかったか。
日本国全体で見れば、
広く深い知見を持った人もいただろう。
そういった人の見識を活かせなかったか。
残念ながら人災だ。
日経新聞「ニュース一言」
味の素㈱西井孝明社長登場。
今日、中期経営計画説明会を開催。
その席上で発言。
「新型コロナウイルスによる
肺炎の影響が長引けば
輸入原料の代替調達が必要で
コストは上がる。一方で、
原油安などで減少するコストもあり、
影響は冷静に見る必要がある」
味の素は中国事業における、
新型肺炎によるコスト変動の試算を公表。
上海工場の停止や原料の代替調達が、
今後3カ月続けば最大9億円の減益となる。
コスト増減のほかに、
需要の変動も見通しにくい。
味の素に限らない。
中国事業の直接投資事業の影響は大きい。
さらにインバウンド消費の影響は、
国内ビジネスにおいて広範で甚大だ。
日経新聞コラム「大機小機」
「消費税の呪縛」は続くのか
コラムニストは琴線さん。
「想定外の新型肺炎の感染拡大で
景気の先行きに暗雲が垂れこめてきた」。
「中国の工場閉鎖の長期化に伴う
サプライチェーンの途絶、
中国からのインバウンド観光の急減、
国際イベントの中止など
今起きていることだけをみても、
日本経済への衝撃は大きい」
同感だ。
昨年10・11・12月期のGDPは、
年率で前期比6.3%減。
消費増税と大型台風や暖冬。
個人消費が低落した。
「問題は20年1~3月期以降だ」
まさに今こそ大事な時期だ。
当初は好転を見込む声も出ていた。
しかしそんな声もしぼんでいく。
コラムニストが問題にするのは、
「人々の記憶である」
「数年後に消費増税がどう評価されるかだ」
1989年に税率3%の消費税が導入された。
さらに1997年、2014年に増税され、
2019年が3回目だった。
97年、14年ともに、
消費増税後に景気が悪化した。
その記憶が強く残っている。
しかし97年は4月の増税後、
7月にアジア通貨危機が発生、
11月には山一証券や北海道拓殖銀行など、
大型金融破綻が相次いだ。
つまり、景気悪化の原因は、
消費増税だけではなかった。
「世界経済や国内金融危機など、
複合的なものだったのだ」
ところが人々の記憶には、
「97年4月の消費税率引き上げ」が、
深く刻まれた。
「今は新型肺炎で大騒ぎになっているが、
数年たつと”景気悪化の起点が消費増税”
ということだけが、
残ってしまうのではないか」
「そうなると”消費税の呪縛”は続き、
次の税率引き上げのハードルは
さらに高くなる」
コラムニストは増税論者だ。
賢者は歴史に学ぶ。
歴史は子細な断片も含めて、
正確に分析し、詳細に記録に残し、
しかと記憶にとどめておかねばならない。
印象をもとにした記憶ではいけない。
仕事も同じだ。
しかしこの時必要なのは、
リスクを負った投資である。
商人舎流通スーパーニュース。
セブン&アイnews|
米国コンビニ「スピードウェイ」(4000店)買収独占交渉
㈱セブン&アイホールディングスが、
米国のマラソン・ペトロリアムから、
ガソリンスタンド併設コンビニを買収する。
その単独交渉に入った。
ブランドは主に、
「マラソン」と「スピードウェイ」で、
約4000店のネットワークをもつ。
買収提示額は約220億ドル。
現在の為替レートで約2兆4500億円。
日経新聞を初めNHKなども報じた。
米国のセブン-イレブンは、
昨19年11月時点で約9000店。
セブン&アイの完全子会社で、
米国ナンバー1のコンビニチェーンだ。
マラソンの店舗群を合わせると、
1万3000店を超えて、
圧倒的なトップになる。
これはリスクを背負って、
買うべきだ。
この会社を買収して、
活かすことができるのは、
セブン&アイしかない。
もちろん周到な調査と準備は必須である。
昨日19日に発表された1月実績。
セブン&アイの子会社の成長率順位は、
1 米国セブン-イレブン
2 国内セブン-イレブン
3 ヨークベニマル
4 そごう・西武
5 イトーヨーカ堂
6 デニーズ
もちろん収益性では、
セブン-イレブン・ジャパンが断トツだが、
米国セブン-イレブンには、
アジアの直接投資もあって、
国内飽和を間近にした日本より、
将来性は高い。
昨年10月にダラスの実験店を見てきた。
ファストフードとのコンバイン型。
斬新な店づくりとアソートメントの店舗で、
米国セブンの実力が垣間見えた。
消費増税の翌年、
東京オリンピックの年に、
米国で2兆円を超える投資をした。
その勇気は記憶に留められるだろう。
ピーター・ドラッカー。
「経済活動とは、
現在の資源を未来に、
すなわち不確実な期待に
賭けることである」
「経済活動の本質とは、
リスクを冒すことである」
至言。
それが人々の記憶に刻み込まれる。
顧客をはじめとして社員・従業員、取引先、
そして株主や世間にも。
〈結城義晴〉