小中高臨時休校の「安倍のやってる感」とヤクルト本社記念講演
「三寒四温」とはよく言ったもので、
「暖冬だ! 暖冬だ!」と嘆いていたが、
今日はひどく寒い。
一喜一憂してゐる三寒四温かな
〈竹中しげる〉
それでも、
東京大学の木本昌秀教授の警告。
地球温暖化は進み、
[極端気象]は避けがたい。
安倍晋三首相。
昨日は、スポーツ・文化イベントの、
2週間の中止・延期など自粛を要請した。
勢いづいてか、今日は、
全国すべての小中高校、特別支援学校を、
来週月曜日から春休みまで、
臨時休校にすることを要請した。
一般的に春休みは、
3月25日または3月26日から始まる。
だから24日間か25日間の臨時休校となる。
これは子どもたちや教員が、
長時間集まっていることによって、
感染するリスクに備えるため、とする。
入試や卒業式などは、
必要最小限の人数に限って開催する。
だから卒業式にも、
保護者などは参加できない。
一方で、民間企業に対しては、
保護者が子どもの世話のために、
休みがとりやすくなるよう、
「配慮してほしい」とする。
その間に、政府として、
感染拡大を食い止める。
国民生活や経済への影響が、
最小となるように、
必要な法案を準備する。
しかし国民生活も経済も、
甚大な影響を受ける。
間違いない。
安倍首相のこの要請を受けて、
千葉市の熊谷俊人市長は、
ツイッターで反論した。
「いくらなんでも…。
社会が崩壊しかねません」
「医療関係者や福祉関係者、
警察・消防など、
社会を支える職種で、
親等に預けられない事情を抱える方々を
何とかしなければ…」
小売りサービス業の従業員も、
子どもを持つ親は多い。
主婦のパートタイマーも、
一番多い産業である。
そんなことはお構いなしだ。
安倍晋三独特の性癖がある。
「やってる感」
日本経済新聞出版社刊『政治が危ない』
御厨貴・芹川洋一の対談本。
「次々新しいスローガンを
掲げ続ける経済政策は、
確かに頑張っている印象を与える」
「頻繁に外遊をこなし、その度に
テレビに自身の姿を映し出す外交姿勢は
『やってる感』満載」
「しかも首相自身が、
“やってる感が大事なんだ”と意識して
行動している」
小中高校の臨時休校要請は、
総理大臣の権力を行使して、
この「やってる感」モロダシ。
千葉市長は主張する。
「低学年と特別支援学級を中心に、
保護者が対応できないケースについて
学校で、感染防止に十分配慮した上で
預かる方向で検討します」
これは助かる。
あくまで政府の要請だが、
これはほとんど、強制。
だから今週末から、
小売りサービス業は、
春休みモードの品揃えや、
サービス態勢の整備が求められる。
それ以上に人員確保は必須。
「安倍のやってる感」に、
一喜一憂している暇はない。
新型コロナウィルスが、
中国湖北省武漢市で発生したのが、
昨年12月段階のことだ。
その時点での判断は、
確かに難しかっただろう。
振り返っても詮無いことだが、
今年の春節の時点で、
「やってる感」ではなく、
シャットアウトの手を講じておけば、
ここまでひどくはならなかった。
世界各国から、
「中国同等の仕打ち」は受けなかった。
ダイヤモンド・プリンセス号に対しても、
「水際対策」は後手後手に回った。
「やってる感」で切り抜けられる。
――このことの過信は、
「新型ウィルス」には、
まったく効かない。
残念だ。
さて今日は東京・新橋。
㈱ヤクルト本社。
入口に製品が展示してある。
控室で仕事。
そして2019年度直販事業推進委員会。
その基調講演。
司会は青柳進さん。
ヤクルト本社直販営業部部長。
青柳さんは元プロ野球捕手。
ヤクルトスワローズでは、
故野村克也監督や古田敦也捕手とともに、
日本シリーズで優勝している。
今は、現役を引退し、
ヤクルト本社で営業部長。
私のタイトルは、
「流通が変わる・商売が変わる」
流通業やチェーンストアが、
これからどう変わっているのか。
とりわけローカルチェーンが徐々に、
リージョナルチェーンへと統合され、
一方、ナショナルチェーンも、
リージョナルチェーン単位で、
大きく再編成される。
レギュラーチェーンだけでなく、
生活協同組合も今、
リージョナル単位の統合が進んでいる。
その流通業界の趨勢を語った。
最後はコモディティ化現象の中で、
ビッグデータがどのようにコネクトされ、
ID-POSデータがいかに活用されるか。
そしてそれがメーカーの営業に、
どのように役立つか。
資料を使って最新の情勢を分析した。
90分の基調講演が終わって、
盛大な拍手をいただいた。
心から感謝したい。
我々の実務は「やってる感」ではいけない。
それに一喜一憂するのでもいけない。
確実に、数字に反映される成果を、
あげねばならない。
〈結城義晴〉