「アベノマスク」(日本)対“Working to feed the nation”(英国)
しかし、誰が言ったか知らないが、
アベノマスク。
やっぱり「やってる感」満点のわが首相。
国民に一世帯あたり2枚ずつ、
マスクを支給してくれるらしい。
そのマスク代が200億円。
これ以外に手元に届ける配送費がかかる。
まったくの無駄。
考えていることは、
やはり「やってる感」だ。
ん~、残念。
それよりも小売業をもっと信頼して、
「協力してください」と言ってくれたら、
全世帯に配給することくらい、
やりますよ。
イギリスのスーパーマーケットは、
主要12社が共同宣言をした。
“Working to feed the nation”
「英国における食品供給の指針」
RTKデザイン代表の片山隆さんからの情報。
この宣言に加わったチェーンがすごい。
TESCO
Sainsbury’s
ASDA
M&S(マークス&スペンサー)
Waitrose
Morrisons
Coop
Costcutter
Iceland
Ocado
さらにドイツの2社。
Lidl
Aldi
これらを総合計した英国内シェアは、
99%を超える。
イギリスは上位寡占の典型の国だ。
その国内の99%以上の食品小売業が、
ボリス・ジョンソン首相の、
コロナとの「戦闘計画」に、
協力する姿勢を示して、
宣言に参加した。
だからイギリスでは、
首相が国民にマスクを配りたいと考えたら、
この12社に協力を要請すればいい。
すぐに全社の店頭で配ることができる。
そんなふうに政府や行政と、
産業を挙げて力強い関係を結ぶ。
コロナとの闘いとは、
それを可能とする時なのだ。
良いことは、
政府とも協力する。
行政にも協力する。
それこそが、
「店は客のためにある」ことになる。
さて昨日のフェイスブックへのご投稿、
ありがとうございました。
それぞれの商業界、
それぞれの販売革新、
それぞれの食品商業、
それぞれの青春や、
それぞれの出会いがあって、
ああ、役割を果たしたんだと、
とても感動しました。
株式会社商業界も、
産業のための使命を果たした。
それがせめてもの慰めでしょうか。
私も商業界の分まで頑張ります。
「無私と利他」を貫いて。
最後に今月の商人舎標語。
やはり倉本長治先生の言葉を選ぼう。
[Message of April]
創意を尊びつつ良いことは真似よ
創意を尊ぶ。
良いことを真似る。
その両方を行きつ戻りつしながら、
創造と模倣を進化させる。
これこそイノベーションである。
あるとき、
私は気づかされた。
故倉本長治は、
古き良き、美しき日本語を使って、
イノベーションを教えたのだ。
その倉本長治が創設した㈱商業界が、
2020年4月2日、
自己破産を申請して倒産した。
ずっと前にイノベーションが止まって、
そのコンセプトを信条とした会社が潰れた。
歴史の皮肉が顔を出したのだろうか。
企業存続の鉄則が貫かれたのだろうか。
見えざる神の手が働いたのだろうか。
時代がそれを要請したのだろうか。
はたまた自壊だったのだろうか。
ドラッカーが説くイノベーションとは、
新しい、より大きな富を生み出すことだ。
ここでいう「富」とは「人々の幸せ」である。
そして人々の幸せを願って仕事する限り、
会社や店が潰れることはない。
真似ることはイノベーションの一面である。
しかし誰も真似のできないほどの、
完璧な真似ができれば、
それはおのずと
創意を生み出すことになる。
その創造と模倣とが、
「模倣困難性」を創出する。
そしてこの模倣困難性が
持続的競争優位を
約束してくれる。
〈結城義晴〉