デニーズの「本部在宅勤務」とメルカドーナの「分散型テレワーク」
休業や国内移動が全面解除された。
とは言っても自粛要請の解除で、
あくまで要請レベルの話だが。
それに応じて私も、
令和名人会拡大版。
梅雨の合間に、
絶好のゴルフ日和。
ホームコース。
ブルーチップ㈱社長の宮本洋一さん、
㈱アイダスグループ代表の鈴木國朗さん。
そして商人舎GMの亀谷しづえ。
満足のラウンドだった。
反省会のランチは川崎のデニーズで。
日経新聞にその「デニーズ」の記事。
本社全従業員・基本は在宅に
ファミリーレストランのデニーズ。
㈱セブン&アイ・フードシステムズの店。
本社勤務の全従業員約200人を対象に、
在宅勤務を基本的な働き方に改めた。
6月16日から。
凄い意思決定だ。
会社への出社は交代制にして、
1人当たりの出社日数を、
月10日以内に制限する。
効率的な働き方ができるし、
交通費などの削減につながる。
フードサービスのチェーンストア。
COVID-19感染防止対策として、
本社の130~140人を、
テレワークにしていた。
必要性が乏しい会議をはじめ、
余分な業務が減った。
家族と過ごす時間も増えた。
働き方に一定の改善効果があった。
セクションごとに出社する人を決めて、
1日当たりの出勤人数を60~70人に抑える。
将来的には本社の勤務場所の縮小も検討する。
交通費は出勤日数に応じて実費で支払う。
本社の家賃も削減できる。
固定費は大きく削減できる。
しかし在宅勤務は、
従業員の勤務実態や成果が見えづらい。
デニーズは当面、
勤務内容を従業員が毎日、
上司に報告する。
そして評価基準の見直しを進める。
意欲的な試みだ。
私は高く評価する。
多数の店舗をもつサービス業でも、
本部や本社の在宅勤務は可能である。
すかいらーくホールディングスは、
6月いっぱいで在宅勤務を終了する。
対照的だ。
この件で思い出したのが、
スペインのメルカドーナ。
かの国ではZARAのInditexに次ぐ、
第2位の小売業で、
1700店舗ほどのスーパーマーケットを展開、
9万人に及ぶ従業員。
スペイン国内の4分の1のシェアで、
2019年総売上高は 262億5600万ユーロ。
日本円換算で3兆1507億円。
私はこの会社に惚れ込んで、
何度もバルセロナを訪れた。
月刊商人舎2013年11月号特集は、
奇跡のMERCADONA!
絶不調スペインの絶好調小売業研究
この特集は今、読み返しても、
手前味噌ながら、実にいい。
2014年5月号では、
[特別規格]
再びMERCADONAの奇跡
ジュアン・ジリさんにインタビュー。
ジリさんは広報ディレクター。
ジリさんのコメント。
「メルカドーナには、
いわゆる本社がありません。
従業員も、店長も、
自宅のそばの店で勤務しています。
ロジスティックセンターは物流のみです」
ジリさん。
「コーディネーターがいて、
彼らが店舗へ指令を出します。
彼らも自宅のそばの店舗で
勤務しています」
「各地の店舗の中の事務所に
本部スタッフが散らばっています。
中央オフィスをつくったら
経費ばかりかかってしまいます」
会社全体のコミュニケーション。
「1カ月に1回は
自分の上司、部下と会議があります。
従業員の訓練センターが
ついている店がありますので、
そこに関係するスタッフが集まります。
しかし、移動すると経費がかかりますので、
通常は電話やインターネットを通じて
コミュニケーションをします。
そして年に1回は全員で集まります」
テレワークの先取りである。
バイヤーたちも、
「もちろん一番近い店に
オフィスを持っています。
基本的には、
社長がいるところも店ですし、
経理や財務のスタッフが
いるところも店です。
店の2階をオフィスに
したりしています」
ホアン・ロッジCEOも、
タベルネスブランケス店にいる。
バレンシアから5 キロほど離れた、
田舎に立地する同社1号店だ。
「日本と基本的に異なるのは、
家族との生活が一番大事だと
考えていることです」
「スペインでは転勤になると
半分の人がその会社を辞めてしまいます。
片道5分の職場に行くのと、
1時間かけて行くのでは
家族との生活が大きく異なります。
一番近いところで働けるということが
従業員にとって大事なのです」
会社が大きくなることに関して。
「われわれは、
80年以上の歴史のある会社で、
結果として大きくなりました。
大きくなるためには
ハードな仕事をこなしています」
「働いている人たちが幸せでないと、
お客さまにも
本心とは違うと伝わるはずです。
販売スタッフも笑顔では接客できません」
「メルカドーナは、
普通のオーナー企業とは異なります。
オーナーだけが
儲けているわけではありません。
例えば初任給は1200ユーロ、
4年経つと1500ユーロと
給料が決まっています」
「初任給の1200ユーロは
スペイン政府が定めた最低賃金の2倍です」
「誰がいくらの給料をもらっているかを
皆がわかっています」
「1年目の人、4年目の人、
そして私のように階級が一つ上の人間が、
いくらもらっているかがルール化されて
オープンになっています」
「メルカドーナ全体で、
営業利益が出たときには、
全員に還元されるシステムがあります。
社長から一番下の社員に至るまで、
1カ月分の給料相当を
手当てとしてもらえます」
「こうした社風を社員は好ましい、
幸せだと思っているはずですし、
それは家族の幸せにも
つながるのではないでしょうか」
1600店を超えるチェーンストアで、
スペイン第2の小売業が、
テレワークを基本としている。
多数の散らばっている店舗に、
本部機能が「分散型」で存在する。
それによって、
働く人たちの幸せも担保される。
コロナはいろいろなことを教えてくれる。
また、スペインに行きたくなった。
〈結城義晴〉