“Integrity/真摯さ”とチェーンストア現代化の作法
今週から商人舎も、
急に仕事が動き始めた。
昨日の月曜日は、
商人舎オフィスに、
鈴木國朗さんがやって来てくれた。
スーパーマーケットに関しては、
当代一の一流コンサルタント。
顧問先企業に対して、
極めて真摯に対応する。
ピーター・ドラッカーは、
マネジャーに必要な資質は、
Integrityであると言いきっている。
Integrityとは、
「高潔、誠実、清廉、完全な状態」。
英語ではHonestyをさらに突き詰めたもの。
故上田惇生先生は、
ドラッカーのIntegrityを、
「真摯さ」と訳した。
その「真摯さ」とは、
「まじめでひたむきなこと」
倉本長治先生は教える。
「損得より先に善悪を考えよう」
これはIntegrityである。
商業界の編集長のころ、
3年に1回くらいの頻度で、
特集を組んだ。
「コンサルタントの活用の仕方」
故川崎進一先生に、
メインの原稿を書いてもらった。
川崎先生も真摯さのない者は、
コンサルタントになってはいけないと、
強く指摘した。
故藪下雅治先生も、
コンサルタントの心得帳を書いた。
要約すれば「真摯さをもて」。
みんな故人となってしまったが。
それがないコンサルタントは、
詐欺師以下の存在だ。
ドラッカーの『マネジメント』より。
「インテグリティの欠如した者は、
人間という最も重要な資源を破壊し、
組織の精神を損ない、
業績を低下させる」
マネジャーやコンサルタントに限らない。
政治家も役人も、医者も科学者も、
アーティストもジャーナリストも、
Integrityがなければいけない。
その鈴木さんと、
真剣に論議した。
私はコロナの中で生やした髭をいじりながら、
考えては話した。
対談というのは、
インスピレーションのキャッチボール。
自分がもともと考えていたこと、
その考え方にひらめきが加わっったもの、
それらが次々に現れる。
ソーシャルディスタンシング。
全部終わってみると、
3時間くらい話していた。
心から感謝。
月刊商人舎7月号。
楽しみにしてください。
今日は朝から、
ZOOM会議。
㈱True Data社長の米倉裕之さん。
そして外山敬晃さんと岡本佳子さん。
米倉さんや若い人たちから、
新しい時代の新しい事業について、
いろいろなことを教えてもらい、
そのうえで意見を交換した。
有意義だった。
感謝したい。
紫陽花の花が美しい。
今日は午後から、東京・神田。
コンサルティング。
私はあまりコンサルティングはやらない。
しかしヒアリングを繰り返して、
組織をどう改善するかの提案はする。
ドラッカーは、
オーストリアからイギリスにわたり、
アメリカにやって来て最初に、
ゼネラルモーターズを
コンサルティングした。
それは聞くことから始まった。
それが第3作目の著作となった。
『企業とは何か』
“Concept of the Corporation”
私のやり方も同じだ。
ゼネラルマネジャー、
ブロックマネジャー。
合計で8人のマネジャーたちと、
ゆっくり話し合った。
古典的なチェーンストア理論は、
会社を急成長させるときには、
確かに役立った。
しかし会社が大きくなったり、
上場したりすると、
そこにほころびが出てくる。
ドラッカーは書いている。
「ある程度の規模や複雑さに達するや
摩擦が随所にみられるようになる。
急速に誤解と反目を生み、
やがて帝国と化す」
そのほころびは、
ほとんどの大企業に共通している。
特別なことは少ない。
だからどう処方すればいいかは、
たいてい同じだ。
社内では標準化至上主義が、
声高に標榜されているのに、
その標準化が、実はできていない。
誤解の激しい「標準化」の意味が、
組織内で理解されていない。
認知されていないし、
納得されていない。
そして世界を見渡せば、
新しいチェーンストアの方法がある。
新しい「標準」の考え方がある。
鈴木敏文さんはそれを、
「脱チェーンストア」と言った。
㈱セブン&アイホールディングス前会長。
柳井正さんは、
「超チェーンストア」と呼ぶ。
もちろん㈱ファーストリテイリング会長兼社長。
そして川野幸夫さんは、
「チェーンストアとしての全員参加型個店経営」
㈱ヤオコー会長。
アメリカのトレーダー・ジョー。
コストコホールセール。
そしてスペインのメルカドーナ。
Harvard Business Reviewが評価した、
世界の「好循環小売企業」
これらのチェーンストアには、
日本の古典的チェーンストアにない、
現代化のManagementがある。
ドラッカーと上田惇生は、
「ポストモダンの作法」と称した。
私のこれからの役割の一つは、
旧いチェーンストアのほころびを、
繕って歩くことにあるのかもしれない。
〈結城義晴〉