トップマネジメントリレー対談【4】イズミ社長山西泰明さん
結城義晴の述懐「地域の活性化に腐心する姿は、美しい」
リージョナルチェーンの時代である。
日本でもリージョナルチェーンが強みを発揮できる体制が整ってきた、
と言い換えた方がよいかもしれない。
イトーヨーカ堂が関東最強の総合リージョナルチェーンであり、
ヨークベニマルが東北最強のリージョナルチェーンならば、
イズミは中国・九州最強のリージョナルチェーンである。
そのイズミのリーダー山西泰明さんは、
実に謙虚なトップマネジメントである。
しかし、山西さんが変わり始めた。
5年くらいのことであろうか。
この2年ほどで、さらに大きく変わった。
本物の自信がついてきて、
それがにじみ出てきた、
と表現するのが良いのだろう。
発言と行動が積極化した。
新しい商勢圏・九州は、
もうイズミ全体の半分を占める位置づけである。
もし九州に進出していなかったら、
と考えるとイズミの今はない。
現在からふり返って見ても、
九州への進攻とその成功は、
驚くべき勇気の元になされた決断と実行の成果ということになる。
それが山西さんの自信と、
そこからにじみ出るものの正体ということになるのだろう。
そしてこの自信は、
この経営者を「地方」「地域」のために貢献することに、
命をかけた取り組みにチャレンジさせ始めた。
「小さな池の大きな魚」――ローカルを知る経営者の言葉である。
「商売は松梅」――。
「松」「竹」「梅」の上と下を押さえたマーチャンダイジング。
これもローカルマーケットで苦労した経営者の発想である。
「3世代の“千客万来”」「一客再来」
――日本ローカルの商売を的確に捉えた表現である。
山西さんの言葉の使い方には、独特なものがある。
それがイズミ全軍を見事に動かしている。
地方で最強のリージョナルチェーンをつくるためには、
総合店の強みを発揮させなければならない。
それがゆめタウンである。
だが総合をつくるために、
部分的には他者の力を存分に借りる。
「地方の場合、モノを売るだけが商売じゃない。
店にはあらゆる機能が必要」
この人は、本当の総合のあり方を知っている。
対談をしていて突然、私は、
関東最強の総合リージョナルチェーンのイトーヨーカ堂と、
イズミのゆめタウンを、
真っ向から戦わせて見たいという無責任な誘惑に駆られた。
中華人民共和国というローカルで成功を収めたイトーヨーカ堂。
九州で第2のリージョナルチェーンをつくりあげたイズミ。
このとき、へんな言い方だが、
人口過疎の本物の田舎が戦場となるならば、
私はイズミに軍配を上げる。
多くの具体的な実例が語られたが、
それを知りたい人は、ゆめタウンを訪れてください。
あるいは山西さんに直接、どうぞ。
きっと応えてくれるでしょう。
はっきりとは応えないにしても、
山西さんのにじみ出るものから感じ取れば、
答えも見えてくる。
ただし、本心から「地方に貢献しようと考える人」に、
限られるかもしれないけれど。
<㈱商業界社長 結城義晴>