トップマネジメント・リレー対談【7】 サミット㈱社長 田尻 一さん
<結城義晴の述懐>
田尻一が「ロジカル・スーパーマーケット」を、
さらに「本物」にしていくとき、
今度はサミットが、
田尻一をより大きな「器」にしていくのだろう。
東京を中心に首都圏に強いスーパーマーケットを展開するサミット。
店舗数84店で、もう2000億円に手の届く年商となった。
私にはとりわけ感慨深いものがある。
田尻一さん(52歳)は、
そのサミットのプロパー社長である。
今年6月の株主総会で、代表取締役に就任。
サミットはもちろん、
100%の株式を保有する総合商社住友商事にとっても、
日本のスーパーマーケット業界にとっても、
大きな期待がかかる。
そして田尻さんは、
その期待に応えてくれる「器」の持ち主である、と私は思う。
温かいご支援を、私からもお願いしたいものだ。
サミットは、ご存知、荒井伸也氏(作家・安土敏氏)が、
住友商事から自ら志願して出向してきて、
マイナスから見事立て直したスーパーマーケットチェーンである。
そのサミットを、私は「ロジカル・スーパーマーケット」と見ている。
すなわち「論理的なスーパーマーケット」。
「手段」と「目的」が明確で、筋が通っている。
問題解決的組織によって、仕事をやり遂げていく。
これは、すべて、荒井氏のリーダーシップによって構築された。
極めてオーソドックスなチェーンストアでありながら、
小売業界では際立つ「差異性」を有する。
それが「ロジカル・スーパーマーケット」の所以である。
このロジカル・スーパーマーケットを引っ張ることになった田尻さん。
十二分にこのあたりは理解している。
「ロジカル」は田尻一の骨肉と化している。
その上で、「マーチャンダイジングのサミット」を目指す。
さらにマーケティングの基本は、明快である。
「消費者が変化していけば、それにちょっと遅れて付いていくくらいがいい」と。
毎年8%の成長を続けて、2019年に200店5000億円のビジョンを掲げる。
田尻さんがやる限り、実現は早まりそうな予感さえ与える。
住友商事に対しては、きっぱり。
「親会社の期待には100%応えます。
ただし、子会社が親会社に期待していることにも応えてほしい」
社員に対しては、
「一緒に幸せになろう」
それにしても、私には感慨深いことだ。
私が、最初にサミットストア(当時)を訪れて、
荒井常務(当時)にお会いしたのが、昭和52年。
『販売革新』誌のインタビューであった。
取材のテーマは、
同社にとって象徴的な店舗となった五反野店の店づくりについてであったと思う。
㈱商業界入社1年目の私は、
初対面の荒井さんと意気投合(気に入ってもらった)。
それ以来、私は立場もわきまえず、サミットファンになった。
田尻さんは、その1年ちょっと後に、
新入社員として、サミットに登場するのである。
その後、『販売革新』誌上で、
「他人の城」というタイトルの小説を1年間、連載した。
荒井氏の「安土敏」というペンネームは、
このとき生まれた。
この小説は、大変大きな反響を得た。
そして日経新聞から『小説流通産業』とタイトル変更されて単行本となり、
その後、講談社から『小説スーパーマーケット』として文庫本となった。
さらに伊丹十三監督の『スーパーの女』として映画化された。
安土敏は、優れたスーパーマーケット経営者であるとともに、
ユニークな作家として、鋭い評論家として、ビッグになっていった。
私は、初めて映画のパンフレットに原稿を書いた。
すべて最初は、サミットという「ロジカル・スーパーマーケット」を、
舞台にしていた。
田尻一が「ロジカル・スーパーマーケット」を、
さらに「本物」にしていくとき、
今度はサミットが、
田尻一をより大きな「器」にしていくのだろう。
<㈱商業界代表取締役社長 結城義晴>
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Posted by K at 2007年08月29日 00:55
すごい人って、いろいろな能力を持っているのですね。