バナナとポッキーの「持つところ」と「店と売場と人間と政治家」
12月に入ったというのに、
暖かかったり寒かったり。
それでも全体に不気味な温暖さがある。
商人舎流通スーパーニュース。
ユニクロnews|
11月既存店100.5%/気温高く冬物コア商品苦戦
㈱ユニクロの11月実績。
既存店が前年比100.5%、全店で100.8%。
11月上旬は大幅増収で好調だった。
「ユニクロ誕生感謝祭」が11月19日(木)開始。
しかしこの期間の気温が高かったため、
冬物コア商品が苦戦した。
不気味な暖かさが原因だ。
今日も1日中、横浜商人舎オフィス。
原稿を書いては入稿するという仕事。
あっという間に外は暗くなる。
そうするとやはり寒い。
マフラーを首に巻いて、
ダウンジャケットを羽織る。
そして久しぶりに、
やってみようか。
Go! Go! ポーズ。
Go Toではない。
商人舎編集スタッフの鈴木綾子。
アメリカ育ちの帰国子女。
とはいっても二人の息子たちは、
高校生と中学生。
その綾子さんが言う。
「Go To EatやGo To Travel、
違和感いっぱいで気持ち悪い」
ネイティブにとっては語感が悪い。
まあ、いいけど。
糸井重里のほぼ日。
その巻頭エッセイは「今日のダーリン」
「バナナは、天然のままで、
“持つところ”のついている食品である。
その意味でも、バナナには
大きな取り柄があると言える」
いきなり、バナナ。
その「持つところ」の話。
「大事なことだから、もう一度言おう。
バナナには”持つところ”があって、
すばらしい」
「バナナの近くに棲んでいる
サルや類人猿のみなさんも、
バナナの”持つところ”には
とても重宝しているらしい」
なるほど。
「グリコの”ポッキー”は、
人工的に”持つところ”をつけたお菓子である」
「細いクッキーに、
チョコレートをコーティングしてある。
もし、”ポッキー”がサービスのつもりで、
“両端までたっぷりチョコレートをかけたよ!”
なんてことをしたら、
たいへんなことになるだろう」
「そのまちがったサービスのせいで、
“持つところ”が
なくなってしまうからである」
目のつけどころが糸井流。
「世の中に昔からある
“いいもの””べんりなもの”には、
だいたい”持つところ”がついている」
「リュックサックなんかのことを
考えてみたまえ。
あれは、肩にかけて背中に背負うものだ」
「しかし、よく見たらわかると思うけれど、
ふくろ(ザック)の上部には、
“持つところ”がある」
「ポットややかんなどは、もう、
“持つところ”こそが
本体ではないかというくらいに、
“持つところ”を重要視してつくられている」
ゴルフクラブでは、
「グリップ」と呼ばれて、
持つところはとても大切だ。
「自転車でも、自動車でも、
“持つところ”がある。
一般にハンドルと呼ばれているが、
あれは、操縦をするためのものでもあり
“持つところ”でもある」
「この先、自動車は
“自動運転”になっていくらしいが、
そのとき”持つところ”のことを
なおざりにした企業は、
おそらく手持ち無沙汰になるであろう」
「持つところ」の話で「手持ち無沙汰」。
糸井のダジャレ。
「人体は、実に、
“持つところ”の集合体である。
人間が好かれるのは、
“持つところ”が多いせいだ」
手は持つところであり、
持たれるところでもある。
手と手が合えば、握手。
耳も鼻も、
持つところでもある。
足首も膝もふくらはぎだって、
持つところだ。
腹も出てくれば、持つところになる。
人柄も持つところである。
「聞いた話だけれど、ビルにも
“持つところ”があって、
“定礎”の文字のある石を外すと、
すぐ見つかるそうだ」
そしてこれが言いたかった。
「文章にも”持つところ”は必要で、
それがないとモテない」
これもダジャレだが、
文章の「持つところ」は、
読者が好ましいと思ってくれる、
とっかかりのところ。
私も今日の1日、
文章の「持つところ」に四苦八苦した。
そして小売業の店や売場を見ると、
糸井が言う「持つところ」だらけだ。
ショッピングカートの持つところ、
ショッピングバッグの持つところ。
商品の持つところ。
店舗外装の持つところ、
売場装飾の持つところ。
店長やチーフの持つところ、
チェッカーさんの持つところ。
好ましい、
心に引っかかるところがない店は、
「持つところ」がない。
一言で言えば「魅力がない」。
政治家にもそれは言える。
小泉純一郎は持つところだらけだった。
トランプもある意味では持つところだらけ。
下手なところを持ったら気持ち悪いが。
それに引き換え、菅義偉は、
持つところがなくて、
なんか、不思議な政治家だ。
〈結城義晴〉