立春の日の皮算用「全米小売業店舗活用のワクチン接種」
立春。
1年の始まりは元旦。
毎年、そこから1日ずつ数えていく。
しかしその元日に準ずる起点が立春だ。
日経新聞巻頭コラム「春秋」。
「ここからの日数は
農作業を進めるうえでの
目安ともなっている」
「夏も近づく八十八夜」は、
今日から数えて88番目の夜。
霜が降りなくなって、気候が安定するころ。
今年は5月1日。
「二百十日」は、
米作の稲の実りを襲う台風への警戒のころ。
例年は9月1日だが今年は8月31日。
「延長が決まった緊急事態宣言、
果たして立春から何日で
解除となるだろうか」
そのあとのワクチンは、
いつ、始まって、
いつ、自分の1回目の番が回って来て、
いつ、2回目となって、
いつ、ほぼ全国民が、
接種できるのだろう。
最後に「立春から170日」は、
東京五輪ではあるまいか。
さて、アメリカの話。
テレビなどで報じられたし、
日経新聞が電子版で記事を書いた。
バイデン政権は、
コロナワクチンの普及を加速するために、
小売業の店舗を活用する。
まず6500店舗に100万回分を供給する。
全米に店舗網を持つ巨大チェーンと組む。
連邦政府が供給するのが、
ドラッグストアのCVSヘルス。
それからウォルマート、コストコ。
持病を抱える人、高齢者など、
政府指針で認められた人から順次、
近くの店舗でワクチン接種を受ける。
ワクチンメーカーの供給能力が向上すれば、
最終的に4万店舗に広げる計画だ。
ワクチンに小売業が協力する。
素晴らしい。
日本でもそうなってほしいところだ。
2020年度米国チェーンストアランキングで、
全米第1位のウォルマートは、
米国内に5355店。
主力のスーパーセンターも、
発展の礎となったディスカウントストアも、
ネイバーフッドマーケットも、
メンバーシップホールセールクラブのサムズも、
いずれもドラッグストアを併設しているから、
ワクチン注射もできる。
CVSヘルスは全米第7位で、
国内ドラッグストア第2位だ。
そのドラッグストアはCVSファーマシー。
このCVSファーマシーは、
全米第8位のターゲット全店に入っている。
同社はもちろんウォルマートのライバル。
CVSヘルスとターゲットは同盟を組んで、
ウォルマートやアマゾンと闘っている。
さらにCVSは昨年11月段階で、
COVID-19検査を行う検査所を400カ所開設し、
約600万件のPCR検査を行った。
CVSファーマシーは米国内店舗9909店、
ターゲットは1868店。
コストコは全米第4位企業で、
店舗数は542店。
それ以外にも、
全米第3位のクローガーが3003店。
スーパーマーケット第1位企業。
全米5位のウォルグリーンが9168店。
ドラッグストアでは全米トップ企業だ。
これらの店舗の総数は2万9845店。
最後には4万店に広げるが、
ここにアルバートソンの2258店、
ロイヤルアホールドデレーズの1973店、
パブリックスの1479店。
これらはフード&ドラッグ。
HEBとマイヤーとショップライトも、
333店、247店、352店ある。
ウェグマンズは101店だが、
もちろん協力する。
さらにドラッグストア第3位の
ライトエイドの2461店など加えると、
すぐに4万店となる。
14社で4万店に近くなる。
しかもこれらチェーンストアは、
それぞれに独自の物流網を持っているから、
連邦政府はワクチンをセンターに運んで、
あとはお任せするだけでいい。
これまでは各州・地域政府が、
公共施設などでワクチンを接種してきた。
それよりも、
上位チェーンの店舗網を活用すれば、
あっという間に接種が可能となる。
連邦政府政府高官のコメント。
「公平にワクチンを届けるために、
アクセスしにくい場所にある店舗に
まず供給する」
ホワイトハウスによると、
従来ルートで全米に供給するワクチンは、
来週から週1050万回分となる。
5%増える見込みだ。
バイデン政権は、
発足100日後の4月末までに、
1億回分の接種を目指しているが、
これまで遅れが目立ってきた。
2月1日までに4994万回分が供給され、
1回目の接種を受けたのは2602万人。
チェーンストアの威力を見せつけて、
そのスピードは急速にアップする。
日本でも、
イオンやセブン&アイをはじめとして、
ドラッグストア各社が、
協力できないかと思う。
しかし日本のスーパーマーケットは、
フード&ドラッグではない。
残念ながらコンビニは、
この際、拠点となりにくい。
アメリカではほとんどの州で、
薬剤師が注射を打つことができる。
日本ではそれもできないし、
このあたりの法律改正は、
そう簡単ではない。
そう考えると、
高齢者のワクチン接種終了は、
八十八夜くらいか。
オリンピックの170日はどのくらいか。
二百十日には国民の半分くらいには、
いきわたっているか。
ああ。
来年の立春まで、
コロナ禍のキャズムは続くのか。
それでも、
河野太郎さん、
頼むよ。
小売業を活用しようよ。
場の提供くらいはできるよ。
〈結城義晴〉