商人舎2月号「キャズムと破壊的創造」の対談が生み出すもの
月刊商人舎2月号発刊しました。
特集は、
「キャズム」と破壊的創造
[Cover Message]
日本のCOVID-19感染拡大は「第三波」に入ってしまった。
11都府県に対して二度目の緊急事態宣言が発出され、栃木を除いた10都府県でさらに1カ月延長された。
店頭の緊張感は続く。慣れやゆるみは許されない。
昨年から今年まで、そして国民的なコロナワクチン接種によって、本来のニューノーマル(新常態)が定着するまでの「断絶の期間」を「キャズム(Chasm)」と名づけて、警告を発するものである。
ポスト・コロナ時代はキャズムのあとにやってくる。そのキャズムの期間こそ、「コロナは時間を早める」。
そしてこの時間軸の短縮化が、小売流通業、サービス業にそれぞれの破壊的創造を強いるに違いない。
ポスト・コロナの前に、何を考え、何をするか。
4つの対談によって、それを明らかにしよう。
[目次]
中国の「論語」は、
孔子とその高弟たちの対論である。
ギリシアの哲学者プラトンは、
「対話篇」によって、
師ソクラテスの教えや自身の考察を残した。
ガリレオ・ガリレイの主著は、
『天文対話』と『新科学対話』だが、
いずれも当時のイタリア人が、
実際に話しているイタリア語で書かれ、
いきいきとした対話形式の本となっている。
対話や対談は、
互いの考え方がぶつかって、
あいまいな考え方を収れんさせたり、
新しい考え方を生み出したりする。
小説でも「対話」は、
物語の展開上、欠かせない技法である。
今月号は4つの対談を試みた。
いずれもコロナ禍と「キャズム」に関して、
至言が提示された。
そして「結城義晴の述懐」で、
その提示された言葉を短く評論した。
ヤオコーはこのキャズムのときに、
フーコットという新フォーマットに挑戦する。
キャズムを貴重なチャンスととらえているからだ。
生団連は国民生活の立脚点から、
政府や行政に物申す。
それは東京五輪パラリンピックの、
組織委員会問題にも通じるものだ。
日本チェーンストア協会の井上淳専務は、
この時代を的確にとらえて、
「流通ルネサンス」のキーワードを整理する。
そしてUAゼンセンの木暮弘副会長は、
労働現場からの報告をもとに、
流されがちな「働き方改革」に、
警告を発する。
特集の「まえがき」と「あとがき」では、
「ブレイクスルー思考法」の、
極めて重要な方法論を明らかにし、
問題提起する。
ご愛読を願いたい。
最後に再び[Message of February]
あすへの希望
新型コロナのおでましだ。
新型コロナのおとおりだ。
そうして一年、すぎました。
そうして一年、ゆきました。
ちいさな喜び、つくります。
ささやかな幸せ、ご提供。
あすへの希望、つむぎます。
そうして一年、ゆきました。
雨が、あがって、風が吹く。
雲が、流れる、月かくす。
そうして一年、すぎました。
そうして一年、ゆきました。
ちいさな喜び、つくります。
ささやかな幸せ、ご提供。
あすへの希望、つむぎます。
そうして今日が、おわります。
それが私のしごとです。
それが私のやくめです。
そうして今日が、はじまって、
そうして今日が、おわります。
新型コロナの行く手には、
まだまだ、深い、ため息が、
なんだかはるかな、幻想が、
湧くけど、それは、つかめない。
だれにも、それは、語れない
ことだけれども、それこそが、
いのちだろうぢゃないですか。
けれども、それは、示(あ)かせない……
新型コロナのおでましだ。
新型コロナのおとおりだ。
そうして一年、ゆきました。
そうして一年、すぎました。
ちいさな喜び、つくります。
ささやかな幸せ、ご提供。
あすへの希望、つむぎます。
そうして今日も、おわります。
〈結城義晴〉