結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年12月14日(水曜日)

ユニクロ柳井正「民間が世界に日本の良さをアピール」と三越伊勢丹・石塚邦雄の「在庫リスクと売り切り」

12月14日。
赤穂浪士討ち入りの日。

元禄15年というから、1703年。
12月14日は旧暦1月30日。

深夜、吉良義央の屋敷に討ち入り、殺害。
元赤穂藩士大石良雄以下47人の武士。

読売新聞一面コラム『編集手帳』が取り上げた。
熱燗や討入りおりた者同士 (川崎展宏)

2011年の今年の江戸は、
まだ熱燗の季節を迎えてはいない。
暖かい。

日経新聞『人こと』に、
ファーストリテイリングの柳井正さん登場。
「欧米企業の投資意欲が落ちている今こそ
海外に出るチャンスだ」

私は今年、アメリカ、ヨーロッパ、アジアで、
ユニクロの店を見てきた。

ニューヨークではソーホーの店が相変わらず大繁盛。
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5番街の店は、スウェーデンのH&Mやスペインのザラ、
アメリカのギャップ、フォーエバー21など、
名立たるファッションチェーンを向こうに回して、
圧勝。
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日本人として、
胸のすく思いだった。

パリのオペラ座裏の店も、
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斬新な店づくりで、大繁盛。
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ありきたりな言い方だが、
パリジェンヌに一目置かれる店となっていた。
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上海では、これまた、
目抜き通りの路面店や百貨店のインショップで、
ユニクロは引っ張りだこ。
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ここでも、競争相手は、
ザラ。

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そしてH&M、ギャップ。
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そして彼らを打倒している。

その原動力は、もちろん、
「ジャパン・テクノロジー」を謳う商品の質と価格だが、
日本人らしい接客やホスピタリティを、
現地の社員・従業員が提供している点も見逃せない。
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アメリカではアメリカ人が、
法被を着て、日本的声掛けを、
英語でやっていた。

パリではフランス人が、
上海では中国人が、
ユニクロ流、日本流の接客。

その一つは、試着室。
他のファッションチェーンには、
試着室数が少ない。

ユニクロでは、
どの店でも、
多くの試着室があり、
さらにそこに行列。
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衣料品だから、まず、着てもらう。
食品は、食べてもらう。
生活用品は使ってもらう。

これを「ライフテスト」という。

それなくしては、販売はないし、
それが顧客の立場に立った販売だ。

柳井さんは意気込む。
「民間が国を代表して、
世界に日本の良さを
アピールしたい」

海外の店を訪れると、
このトップの意気込みが、
現地従業員に伝わっていて、
心地よい。

柳井さんは力説する。
「あくまで日本に根ざした企業」

海外展開に伴って外国人の新卒採用を増やし、
社内公用語を英語にしても、
「ユニクロは日本企業」のスタンスを崩すものではない。

それがユニクロのポジショニングだからである。

柳井さん自身の後継者問題に関して、
「日本人のDNAがわかっている人が
就くべきだ」

私もそれがいいと思う。

日産自動車のトップに、
カルロス・ゴーンが就任して成功したのは、
日産がルノーになったから。
すなわちDNAを変えるためだった。

さて、今朝の日経は『トップに聞く企業戦略』で、
三越伊勢丹ホールディングス社長も登場させている。
石塚邦雄さん。
同社は日本最大の百貨店で、
なおかつ低迷のこの業界の中にあって、
「業績回復が鮮明」。
2011年上期の4~9月、
連結営業利益は前年同期比10倍の90億円。
来年3月期の本決算では営業利益は、
「(82%増の)200億円を目指したい」と発言。
ただし、三越伊勢丹と言えども、
減収増益。

この基調に変わりない。
「今年10月~来年2月は前年同期比3%の減収計画」

利益が出るのは、
「宣伝費や人件費など経費削減も進んでいる」から。

「今年4月に百貨店運営子会社の『三越』と『伊勢丹』を統合」
これによって「運営効率が改善」した。

「仕入れ構造の改革も進め、原価を引き下げる」
そのためには、
「単純に商品を仕入れて売るだけではダメだ」
「自ら商品を企画して原材料も調達し、
生産委託して販売するなどの取り組みを加速する」

これはユニクロと全く同じ考え方。

だから、「在庫リスクが生じるが、
商品を売り切る比率を向上し
利益率を高める」

在庫リスクを背負って、
それを売り切ることで利益を出す。
どんな商売も、ここに始まり、ここに終わる。

さらに今朝の日経新聞『戦略分析』では、
イトーヨーカ堂の衣料品売り場の改革。
ひとことで言えば、
総合スーパーに、
百貨店の商品と売り場をもちこむ作戦。

「セブン&アイ・ホールディングスは、
総合スーパーのイトーヨーカ堂に、
百貨店のそごう・西武が運営する衣料品売り場を導入する」

改装開業するショッピングセンター「アリオ松本」に、
420平方メートルの「SEIBU」の看板を掲げた売場をつくる。

レナウンの「ポートダーバン」、
東京スタイルの「アドレス」、
詩仙堂グループの「第五空間」など、
5つのテナントを展開。

そごう・西武の直接仕入れの雑貨売り場も設置。

運営はそごう・西武で、
同社社員やアパレルの派遣社員が百貨店流の接客を展開。
商品価格帯はヨーカ堂より少し高い。

私は総合スーパー・イトーヨーカ堂の改革アイデアのひとつは、
ジュニアデパート化だと考えているし、
言い続けている。

その一つの実験となる。

アメリカには「コールズ」というケーススタディがあり、
イギリスには「マークス&スペンサー」という事例がある。
ただし、イトーヨーカ堂のポジショニングの中に、
「SEIBU」の売り場が完全に同化されなければ、
上手くはいかないと思う。

それでも混迷した総合スーパ―の、
その元凶だった衣料品マーチャンダイジングにまた、
一つの試みが行われる。

立地によっては、大成功するだろうし、
ピクリとも動かない立地の店も出てくるだろう。

そこで、いかに考えるか。

イトーヨーカ堂とそごう・西武、
お手並み拝見と参ろう。

今日は「四十七士討ち入りの日」だ。

<結城義晴>


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