「収斂進化」の中国経済発展と「フォーマットによる業態間競争」
商人舎オフィス裏の遊歩道。
窓から見下ろすことができるが、
今日、桜が開花した。
多分、横浜で一番早い桜だ。
今日、達筆の手紙が届いた。
亀ヶ谷純子さん。
㈱カメガヤ名誉会長。
近況や月刊商人舎を読んだ感想、
ときに決意表明などが書かれている。
亀ヶ谷さんは勉強家だ。
1年前にユヴァル・ノア・ハラリの
『ホモ・デウス』を読んだそうだ。
「人間至上主義を捨て
データ至上主義を選んだホモ・サピエンスは、
感染症含むすべての困難を克服し、
ホモ・デウスを目指してしまう、
と知らされたばかりにところに
このコロナ!!」
「アンパンマンと同じように、
ばいきんまんとの共存を
早く手に入れたいと願っております」
素晴らしい。
ありがとうございます。
ブログでご紹介してしまいました。
さて、日経新聞の巻頭コラム「春秋」。
生物学の「収斂進化」を紹介する。
「しゅうれんしんか」と読む。
「ハトは鳥類でコウモリは哺乳類なのに、
どちらも翼を羽ばたかせて空を飛ぶ。
モグラとケラは同じような形の前脚を使い、
土の中を器用に掘り進む」
「種類が違っても暮らす場所が同じだと、
生き物はときに似た姿形に進化する」
「環境に適応し、
共通の特徴を持つにいたるさまは
生命の神秘というべきか」
「だが見た目は似ていても、
栄養の取り方など
体内の構造の多くはなお別物」
英国の生物学者アンドリュー・パーカー。
その著『眼の誕生』(渡辺政隆・今西康子訳)
動物を分類する際は、
「外部形態よりも
内部の体制のほうが一般に重要」
コラムが言いたいのは、
中国の体制の話だ。
現在開催中の全国人民代表大会。
「全人代」と略されるが、
便宜上「国会に相当」と注釈されている。
「だがその言葉で想像するものとは異なり、
響くのは礼賛の拍手の音ばかり。
国会とは似て非なる空間で、
香港の議会から民主派を排除する
ルールづくりが進む」
つまり資本主義と共産主義の、
「種類」は違う。
一方、
「2021年の成長目標は6%以上」
「グローバル化が進む経済環境にうまく適応し、
株式会社や資本市場など
他の国と似た仕組みを整え、
デジタル金融でモデルをつくろうとする」
「経済規模は遠からず
米国に並ぶという予測もある」
経済は似てくる。
「だが内部の体制」は別物だ。
小売業で言えば、
ドラッグストアとスーパーマーケットは、
「業態」の種類が異なる。
しかし顧客が暮らす場所が同じで、
競争が激化すると姿形は似てくる。
私は、業態が成熟すると、
それは徐々に細分化されていって、
フォーマットになると考える。
神戸大学名誉教授の田村正紀先生の持論。
『業態の盛衰』でその詳細が描かれる。
そしてこのフォーマットの時代になると、
店舗の姿形が似てくる場合がある。
例えばドラッグ&フードと、
フード&ドラッグ。
しかし組織風土や経営体質などの、
「内部の体制」は別物だ。
どちらがいいとか、
どちらが強いとか。
それは断言できない。
かつて、
業態間競争は起こらないと言われた。
業態とは社会的機能である。
したがって社会的機能が異なる業態間に、
競争は起こらない。
ところが現在は明らかに、
「業態間競争」花盛り。
「収斂進化」と名づけられたごとく、
「業態間フォーマット競争」は「進化」である。
かくて資本主義と共産主義も、
イデオロギーを無視して競争する。
こちらにも「進化」を期待したいものだ。
〈結城義晴〉