三度目の「緊急事態宣言」と「FABEX訪問」と「有明ガーデン」視察
緊急事態宣言が発令された。
東京都・大阪府・京都府・兵庫県の4都府県。
期間は25日から5月11日まで。
緊急事態宣言は三度目となる。
昨年4月、つまり1年前と、
今年の1月。
首相官邸では、
新型コロナウイルス対策本部が開かれ、
侃々諤々(かんかんがくがく)の議論の末、
17日間と決まった。
専門家たちは「短い」と主張。
政府は東京五輪を視野に入れて「様子見」。
トレード・オンの意思決定が必要な時代だ。
トレード・オンは二律背反のテーゼを、
丁寧に丹念に解きほぐしていくこと。
ただしこれは、
「二兎を追う」こととは、
決定的に違う。
「トレード・オフ」では、
COVID-19パンデミックは乗り切れない。
二律背反するテーゼの、
どちらかを割り切ってカットするのが、
トレード・オフ。
二兎を追うもの一兎も得ず。
ここがとても難しい。
しかし今、その難しいことの、
舵取りをしてもらわねばいけない。
菅義偉首相の発令記者会見。
そのあとの質疑応答。
説得力は薄い。
最近は記者たちの質問も露骨だ。
メディアもいら立っている。
ジャパンタイムズの杉山記者。
「3月18日の会見で、総理は、
再び緊急事態宣言を出すことがないように、
こうした5つの対策をしっかりやるのが
私の責務だと述べていますが、
5つの対策にもあるワクチン接種も
まだ十分に広まっていない中で、
再び緊急事態宣言を出すことに当たっての
総理の政治責任について、
どのようにお考えでしょうか」
総理の政治責任を問う。
北海道新聞の佐藤記者。
「政府は飲食の場を急所と定めて
中心に対策を打ってきましたが、
今回、1年前のゴールデンウィークと同様、
人の流れの抑制という強い措置への
転換を迫られました。
飲食中心のまん延防止措置の
効果がなかったとは言いませんが、
変異株の拡大の懸念がある中、
この間、毎週末対策強化を
迫られたことを考えると、
この判断は誤りだったのではないでしょうか。
見解をお伺いします」
まん延防止措置の判断は、
間違いではなかったか、と問う。
いずれもまっとうな質問だ。
しかし残念ながら、
菅首相はいずれにも、
まともに答えていない。
「総理の政治責任は重い。
辞める覚悟で緊急事態宣言を発する」
政治責任を問われたら、
こう切り返すしかない。
ごまかしたり、はぐらかしたりは、
絶対にいけない。
私はそう思う。
「まん延防止措置は間違いだった。
私も間違いばかりで申し訳ない。
しかしだからこそ、
緊急事態宣言を発するのです。
二度と間違いは起こさない。
是非ともご協力をお願いしたい」
私なら、そう言うだろう。
トレード・オンは、
本当に難しい。
それは小売業やサービス業の、
経営においても同様だ。
さて今日は夕方、
東京お台場へ。
「ファベックス2021」
“The World Food And Beverage Great EXpo”
中食・外食産業の業務用専門展。
主催は日本食糧新聞社。
入口には、
今野正義会長CEOの立ち姿。
その立ち姿の前で写真。
入口の販売コーナーでは、
私の新著を販売してくれた。
「コロナは時間を早める」を持って、
光栄にも今野会長自ら撮影してくださった。
終了間際の会場をひと巡り。
海外ブースも充実。
最後に控室で写真。
右が日本食糧新聞社社長の杉田尚さん。
左は副社長の平山勝己さん。
ありがとうございました。
このFabexがスタートした24年前、
私は「食品商業」の編集長だった。
ちょっとお手伝いした。
それがこんな立派な展示会となった。
しかも明後日から東京に緊急事態宣言。
幸いなことにその直前の開催だった。
万全の感染防止体制を築いて、
無事、大盛況のうちに終わった。
本当に幸運だった。
参加者、展示者ともに、
大いに満足して、
ポスト・コロナ時代の「食」の在り方を、
つかんだに違いない。
このリアル展示会が盛況だったことは、
コロナ禍中の「キャズム」期にも、
それ以後のポスト・コロナ時代にも、
リアル店舗の価値が下がらないことを、
証明している。
私は、そう感じた。
ファベックスを辞して、
お台場地区を車で走る。
10分ほどで「有明ガーデン」。
商人舎流通スーパーニュース。
住友不動産news|
有明ガーデン4/24開業、イオンスタイルなど203店
昨年4月24日開業。
ちょうど1年前だ。
駐車台数は1800台。
フロア構成。
1階にイオンスタイル有明ガーデン。
692坪のスーパーマーケットだ。
イオンリテールnews|
レジゴー導入「イオンスタイル有明ガーデン」4/24開業
この店はデリカテッセンが素晴らしい。
ファベックスのトレンドと同期している。
イオンリテールの食品の充実がよくわかる。
レジゴーが導入されている。
顧客はタブレットをもって、
1品買うごとに、
商品のバーコードをスキャンする。
そしてレジゴー専用チェックスタンドへ。
クレジットカードやワオンカードで決済する。
店側はスキャニングをしない。
それはそれで便利だが、
顧客が自分でスキャニングするのが、
ちょっと面倒だ。
アメリカでもこのスタイルが主流で、
アマゾンゴーのような完全レジレスは、
まだまだこれからというところだ。
有明ガーデンの最上階の5階には、
「水のテラス」がある。
下には4階の「風のテラス」が見える。
5階は飲食を中心に、
美容・アミューズメント。
4階はキッズ・生活サービス。
ボーネルンドが入っている。
丸善の新フォーマットも。
3階はスポーツファッション・生活雑貨。
イオンのスポーツオーソリティ。
ニトリのデコホーム。
2階がアパレルのフロア。
その2階は中央部分が吹き抜けになっていて、
このスペースを中心に、
X型のコンコースがつくられている。
渥美俊一先生がご存命ならば、
このレイアウトを「怒るだろうな」と思った。
それでもこの閉鎖された商圏には、
マンション群が立ち並ぶ。
イオンスタイル有明ガーデンは、
ドル箱の「スター」店舗だろう。
リアル店舗とリアル展示会。
私たちが生きていくうえで、
やっぱり人間臭いものは不可欠だ。
スガさんもやってる感ばかりではなくて、
人間臭いところを出したらいいのに。
〈結城義晴〉